旅二十四日目 オオクニヌシ様の国譲り

【お詫び】

 朝に最新話を投稿していますが、今回は私の不手際で、投稿したつもりが出来ていませんでした。


 名前を上げるのは、控えさせていただきますが、いつも欠かさず拝読してくれている方々に深くお詫び申し上げます。


 今後はこのような事がないように、気を付けます。

 

 それでは、本編をお楽しみ下さい。


【本編】



 さて、地上を武力で攻める事が決まったので、なんだか高天原も物々しくなってきましたね。

 しかもあまかける巨大な船の神様。天鳥船神様アメノトリフネノカミサマまでいます。


「タケミカヅチ、頼みましたよ。もう失敗は許されません!」

「おまかせください。アマテラス様。必ずやこの任務、達成してみましょう!」

 

 さすがタケミカヅチ様です。鋭い眼光と凛とした表情には、いままでの神様にはない強さを感じます。

 ブチャラティの言葉を借りるなら、『スゴ味』があるッ! と言ったところでしょうか。


 早速、タケミカヅチ様がトリフネ様に乗り込みましたね。折角なので私たちも、トリフネ様の中にお邪魔しましょう! 



 風と雲を切るように、トリフネ様は空を進んでいきますね。ファイナルファンタジーの飛空挺に乗っているような気分です!


「さて、オオクニヌシは何処にいるのか?」

 トリフネ様の先頭に立つ、タケミカヅチ様は言いました。

 

 タケミカヅチ様はただの武神じゃなく、雷を司る雷神らいしんでもあるので、風格が違います。

 きっとリヴァイ兵長のように、どんな状況にも動揺しないのでしょうね。


「出雲ノ、浜ニ、イマスヨ」

「トリフネ、お前、喋るのか?」

「勿論、私ハ、船ダケド、神様ナノデ」

「なんだか、ロボみたいだな」

「ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ」

「ロボだ。これー!!!」


 タケミカヅチ様、めっちゃ動揺してます……きっと、戦いなると違うのでしょう……多分。


 

 トリフネ様に乗ってきたので、目的地の出雲の浜辺まであっという間でしたね。 


 トリフネ様の言った通りオオクニヌシ様がいます。颯爽と砂浜に降り立ったタケミカヅチ様は、何も言わず十拳剣を抜きました。

 早速、オオクニヌシ様に勝負を仕掛けるのでしょうか!?

 

 剣をオオクニヌシ様に向けるのではなく、タケミカヅチ様はそれ逆さまにして波打ち際に刺し立てました。

 そして刃の上に胡座あくらをかいて座ります。

 

 どうやら武神ならではの演出のようですね。

 

「この国は元々、アマテラス様のご両親であるイザナギ様、イザナミ様が創った所。故にアマテラス様のご子息が治めるべきだ」

 ケミカヅチ様はオオクニヌシ様に、国を譲り渡すように迫ったのです。


「いや、しかし……」

 オオクニヌシ様は困った表情をしています。

 相手は剣の上に胡座をかくような武神。とてもお色気が通用するとは思えません。


「私はもう、おじいちゃんです。息子の事代主神コトシロヌシノカミに決めさせたいのですが、今はあいにく漁に出てまして。もし、よかったら私の宮殿で休んでいかれませんか?」

 オオクニヌシ様は決断を避け、交渉を引き伸ばそうとしています。


「ならば、トリフネよ。コトシロヌシを探して来るのだ!」

「…ガッ、ガッ、ピー……ワカリマシタ。任セテクダサイ」

「やっぱりロボだな」

 タケミカヅチ様はそう呟いてます。


 トリフネがすぐに飛び立つと、すぐに海で漁をしていたコトシロヌシ様を見つけ、浜辺に戻ってきました。


(コトシロヌシ、頼むぞ)

 オオクニヌシ様は密かに、コトシロヌシ様がタケミカヅチ様に抵抗してくれると期待しているようです。


「私も地上はアマテラス様のご子息に、譲った方がいいと思いますよ」

 あら、コトシロヌシ様はオオクニヌシ様の期待を裏切りましたね。

「さて、他に意見を言う奴はいるか?」

「う、うう……」

 オオクニヌシ様は追い詰められています。



「誰だ! 俺たちの国を奪おうとするのは!」

 おっ! 誰かやって来たようです。しかも筋肉を強調するかのように、巨大な岩を持ちながら現れました。

 さあマッチョアピールをしながらやって来たのは、たくさんいるオオクニヌシ様の息子の中でも、最も力が強い建御名方神様タケミナカタノカミサマですね。

 ちなみにタケミナカタ様は、オオクヌシ様と沼河姫様との間に出来た子供です。


 あと、タケミカヅチ様とタケミナカタ様の名前は似ていますが、それぞれ違う神様です。


「俺たちの国を奪うというのなら、力比べで勝ってからにしろ!」

 タケミナカタ様は巨大な岩を砂浜の上に置くと、タケミカヅチ様の腕を掴みました。


 この力比べが相撲の起源だと言われてします。はたして軍配は、どちらに上がるのでしょうか!?



 タケミナカタ様はタケミカヅチ様の腕を掴み、豪腕で握り潰そうとしました。


 しかしタケミカヅチ様の腕は、『ターミネーター2』に出てくるT-1000のように、剣に変化したのです。


 驚いたタケミナカタ様は手を離します。

「さっきまでの威勢はどうした?」

 ニヤリと笑ったタケミカヅチ様がタケミナカタ様を掴むと、まるで子供のように容易く投げ飛ばしたのです。

 

「ひいいいいい!」

 タケミナカタ様が逃げ出しました。

 すぐにタケミカヅチ様は追いかけます。



 そして二神の逃亡と追跡は出雲(島根)から、なんと信濃(長野)まで続きました。

 

 諏訪胡まで逃げたタケミナカタ様でしたが、そこでタケミカヅチ様に追い詰められてしまします。


「タケミカヅチ様、すいません。もう逆らいません。私は今後、諏訪から出てきません」

 こうしてタケミナカタ様は諏訪の地で、八坂神奈子、洩矢諏訪子、東風谷早苗など東方風神録の元ネタとなる諏訪大社に祭られるようになりました。

 

 このように自慢の息子達がことごとく敗れ、なす術ないと悟ったオオクニヌシ様はついに観念します。

「もう、息子達が傷つくところはみたくありません」

 諏訪から戻ってきたタケミカヅチ様に、オオクニヌシ様は言いました。


 オオクニヌシ様は多くの女神達とやりまくったプレイボーイです。しかしオオクニヌシ様は、誰に対しても優しい心を持った神様なのです。


「この葦原の中つ国(日本)はアマテラス様にお譲りしましょう。しかし、お願いがあります」

「なんだ?」

「わたしの隠居先の宮殿を造ってください。天に届くほど高い神殿がほしいです。そうして祭っていただけるなら、私はアマテラス様に口出ししません」

「老後が心配なら仕方がない」

 

 こうして建設されたのが、島根県にある有名な出雲大社なのです。



 さて、オオクニヌシ様は「天に届くほど高い神殿」を要求しています。


 出雲大社の社伝には「出雲大社の本殿は高さ約50メートル」という記述が残っており、発掘調査でも巨大な建造物を支えていた柱の一部が見つかっています。

 古代、出雲大社は本当に天に届くほどの、巨大建造物だったのではないかと言われています。


 いやー、浪漫を感じますねー。

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