旅四日目 黄泉の国からの脱出
暗い黄泉の国を走るのは大変でしたが、なんとかイザナギ様に追い付きました。
おや、後ろから何か迫ってきます……嫌な予感しかしないので、振り返るのは怖いですが、日本神話の案内人として後ろを見ない訳にはいきません。
はい、見なければよかったです!
追ってきたのは無数のゾンビです。しかも、ヨタヨタと歩いてくるタイプじゃなくて、最新式で走るタイプのゾンビです。
伝わりやすいので、ゾンビという言葉を使っていますが、正確に言えば後ろにいるのはゾンビじゃなくて、
怒ったイザナミ様がけしかけてきたのでしょう。
見た目はゾンビのようですが黄泉醜女は、思いの外アクティブな動きをしています。
みるみる内に、逃げるイザナギ様に迫っていきます。
このままでは、捕まってしまうかもしれません。
おっとここで、イザナギ様が走りながら何か投げました。私達の頭上を通り過ぎていったものを見ると、それは髪飾りのようです。
地面に落ちた髪飾りは神のチート能力で、ブドウの木となりました。それだけでなく、美味しそうな果実を実らせています。
それを見た黄泉醜女達は、追いかけていたイザナギの事なんて忘れて、ブドウ狩りを始めました。
いやぁ、神様のチート能力って、本当にすごいですね! グルメな私としては、あのブドウの味が気になるところですが、黄泉醜女が群がっていて、食べられそうにないので諦めましょう。
おや、ブドウが食べられなかった黄泉醜女が、迷わずイザナギ様に向かっていきます。
さて、イザナギ様に何か策はあるのでしょうか。そう、思っていると今度は櫛を投げました
この櫛も、神のチート能力にタケノコになりました。すると、ブドウが食べられなかった黄泉醜女達は、タケノコ狩りをはじめました。
イザナギ様は持ち物を食べ物に変える事で、時間を稼ぎ逃げていきました。
「黄泉醜女! 何をしているんですか! 食べ物なんて放っておいて、早くイザナギを追いかけなさい!」
「ウマイ、ウマイ、ブドウ、ウマイ」
「ウマイ、ウマイ、タケノコ、ウマイ、私ハタケノコ派」
おっとタケノコ派なのか、何派なのか、自身の派閥を語るのは危ないですね。先日、やしろあずき先生もTwitterで、自身の派閥をツイートしたら炎上したようなので。
炎上も怖いし、何かとデンジャラスなので、早くこの場から逃げましょう。
「黄泉醜女は役にたちません! 黄泉の国の魔物達。イザナギを食い殺しなさい!」
私達の脇を何かが通りすぎていきましたね。あれは
雷獣は食べ物には目もくれず、一目散にイザナギ様に襲いかかっていきましたが、簡単にやられるつもりはないようです。
イザナギ様は十拳剣を抜いて、襲いかかる雷獣を斬りました。
一撃で倒すとは、いい太刀筋をしてます。
おや? 剣の威力が増しているというか、以前と雰囲気が違います。よく見るとカグヅチ様を斬った時、その魂が宿ったようですね。
どうりで、剣の攻撃力が増している訳です。
あ、そうそう、十拳剣というのは『握り拳が十個分ほどの長さの剣』というのが名前の由来になっています。全然関係ないですが、ドナルド・マクドナルドの靴のサイズは、ハンバーガー、四個分です。
十拳剣は実は量産型の剣で、RPGで例えるなら初期装備くらいの武器だと思ってください。
色々な神様が十拳剣を装備して現れますが、量産型なので名前は同じでも、違う剣です。
さて、十拳剣に関してのうんちくを語りながら走っていたら、黄泉の国と現世の境界である、
どうやら、黄泉の国に入った時とは違う出口にたどり着いたようです。
しかし、後ろには黄泉の国の軍団が無数に迫ってきています。私達はともかく、イザナギ様は無事、ここから脱出する事が出来るのでしょうか。
おや、イザナギ様が何かに気がつきました。彼の視線の先にあるのは桃の木です。
イザナギ様は桃の果実を手に取ると、それを手榴弾のごとく追っ手に投げつけました。
すると、桃は聖なるエネルギーを放出し、黄泉の国の神々や魔物は退散していきます。
「お前のおかげで助かったよ。ありがとう。お礼に
イザナギ様は桃の木に対し、助けてくれたお礼に、名前を授けたようですね。
いやあ、桃の威力はすごいですね。それにしても、この桃は丸々としていて美味しそうです。
折角なので、一つ食べてみましょうか。
うん、美味しい♪
いけません! 桃を頬張っている間に、今度はイザナミ様本人が迫ってきました。しかも、私達より、一足先に黄泉の国から脱出したイザナギ様が大岩を動かして、黄泉の国への入り口を塞ごうとしています。
このままでは、黄泉の国に閉じ込められてしまいます。急ぎましょう!
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