旅七日目 世界が闇に閉ざされた!? アマテラス様の岩戸隠れ
ここは、機織場です。美しい女神達が高天原に住む神々のために、衣類を作っている場所です。
何故、機織場に来たのかというと、スサノオ様がここに歩いていく所を見かけたからです。
ですが、肝心のスサノオ様が見当たりませんね。何処に行ったのでしょうか?
うわ! 天井からすごい音がしました。どうやら屋根が壊されたようです。
おや、天井の穴から、何か大きなものが投げ込まれました……って、馬の死体じゃないですか!
グロ注意! グロ注意ですよー!
私達だけじゃなく、凄惨な姿をした馬に驚いた女神達が逃げ出していきます。私達もここから出ましょう。
いくら感情が昂っているからといって、スサノオ様は少しやり過ぎな気もします。
「なんで、もう、私、どうすればいいの!?」
おや、アマテラス様の声が聞こえてきます。大丈夫でしょうか? 様子を見に行きましょう。
アマテラス様が泣いています。スサノオ様の乱暴な振るまいにどうしていいか、わからなくなったのでしょう。
慰めたいところですが、私達は神話の旅人。神々に干渉する事は出来ません。
「うち、もう、知らーーーーーーーーーーーん! わーーーーーーーーー!」
アマテラス様が泣きながら走っていきました。そうとう精神的に追い詰められていたようです。
そっとしておきましょう……あれ、なんだか暗くなってきましたね。日が暮れるには、まだ早い時間ですが……まさか、アマテラス様の身に何か起こったのでしょうか!
アマテラス様を追いかけましょう。
ああ、なんという事でしょうか。アマテラス様が
しかも、入り口を大きな岩で閉じようとしています。
これは、まずいですよ。太陽を司るアマテラス様が洞窟に引き込もっていまったら、この世界から日の光が消えてしまいます。
ダメです。岩戸から出てきてください! あ、私の声は神々に聞こえない事を忘れていました。
アマテラス様が完全に岩戸の中に閉じこもってしまったので、高天原は完全に闇に包まれてしまいました。
きっと地上でも同じ事になっている違いありません。
日の光が消えたので、悪霊が騒ぎはじめました。
なんだか、ハロウィーンみたいですが、騒いでいるのはコスプレをした子供達じゃなくて、ガチな悪霊なのでお菓子をあげても退散しれくれません。
おや、向こうから話し声が聞こえてきます。
どうやら、アマテラス様を岩戸から出す作戦を話し合っているようです。
私達も見に行きましょう。
たくさんの神様が河原に集まって協議をしています。そして、その中心にいるのは知恵の神である
おじさんの神様ですがダンディな風貌が、知的で頭が良さそうな雰囲気を醸し出していますね。
「アマテラス様が岩戸から出てくる妙案を思いついたぞ!」
月の頭脳であるえーりん( ゚∀゚)o彡゜ じゃなくて、流石、知恵の神であるオモイカネ様です。
「この中に
神々の集団の中から呼ばれた、二人の神様がオモイカネ様の前にやってきます。
「
高天原の一大事なので、二神はすぐに作業に取りかかり、神のチート能力で八尺瓊勾玉と八咫鏡を、あっという間に完成させました。
アマゾンのお急ぎ便も、ビックリするような納品スピードです。
そしてそれらを、岩戸の前に生えている、榊の木に飾り付けます。
次にオモイカネは強力の
なにやら、賑やかになってきましたね。
オモイカネ様は一体何を企んでいるのでしょうか?
「アマテラス様が岩戸から出てきますように」
まず、
「よし、これで祭りの準備は整った。タジカラは、岩戸を塞ぐ岩の影に隠れていれくれ」
「はい、わかりました」
「ウズメビは舞台にあがってくれ」
「うん。わかったよ!」
「さて、皆、準備は整ったな? それじゃあ、祭りの始まりだ! 大いに盛り上がれ! ミュージックスタート!」
オモイカネ様の掛け声と共に、ニワトリは盛大に鳴き始めました。
勾玉は音楽を鳴らし、八咫鏡(やたのかがみ)はキラキラと輝きはじめました。
現代でいうなら、スピーカーとミラーボールのようなものでしょうか。
そして、音楽が鳴り響くと、舞台に立っているアメノウズメビ様が、皆の前で躍りはじめました。
それを見ている神々は、合いの手を打ったり、お酒を飲んだり、楽しそうにしています。
いやあ、世界が闇に閉ざされているとは思えないような、賑やかさです。
ウズメビ様の舞いは次第に激しさを増していき、着ている服がはたけてきてました。大丈夫でしょうか。
運営にBANされそうで心配ですが……というか、自ら服を脱ぎはじめました。
これは危ない!
性的なコンテンツはBANされるので、残念ですがウズメビ様にはモザイク処理をさせていただきます。
この、モザイクをかける能力に名前をつけるとしたら、『モザイクロール』ってところでしょうか。
えっ? ボカロの曲だから能力の名前にはならないって!?
『チョコレイト・ディスコ』だって、能力の名前になったんだから、ボカロの曲でも能力の名前になれるはずです
さて、神々はウズメビ様の姿に息を飲み、歓声を上げるものいます。どんなエロいダンスをしているのか気になりますが、私達にはモザイクしか見えません。
おや、モザイクの境目の辺りで、なにか動きました。
どうやら、岩戸の奥に隠れていたアマテラス様が、外の騒がしさが気になってきたようです。
「そんなに騒いで、何をしているのですか?」
アマテラス様は岩戸の岩を僅かに開けて、モザイク……じゃなくて、ウズメビに何をしているのか聞きます。
「アマテラス様より、もっとすごい神様が現れたので、嬉しくて遊んでいるんです」
「私よりもすごい神様なんていません!」
「それなら、自分の目で確かめればいいんじゃないですか。ほら、あそこにいますよ」
ウズメビ様が指をさしたのは八咫鏡です。
アマテラス様は自分よりもすごい神様が気なっているようです。目を凝らしますが、八咫鏡に映っているのは自分の姿です。
しかし、岩戸の中から覗いているだけなので、それが自分だとは気付いていませんね。
「ううん、よく見えない……」
アマテラス様が、もう少し岩を開けた。その時、岩の影に隠れていたタヂカラ様が岩戸を閉ざしていた岩を一気に退かし、それをぶん投げました。
すごい力ですね。巨大な岩が遥か彼方へ、飛んでいきます。
岩で壁の穴を塞いだエレンを超える、パワーなんじゃないでしょうか。
そしてタジカラ様はすかさずアマテラス様の手を引っ張って、外に連れ出す事に成功したのです。
アマテラス様が外に出た途端、高天原だけでなく地上にもまぶしい日の光が戻ります。
そして、他の神々によって岩戸には素早く注連縄がはられました。
もう二度とアマテラス様が入れないように、岩戸を封印したのです。
「アマテラス様、私達にはとってすごい神様は、貴女以外にいません」
ウズメビ様はそう言って、見守っていた神々はオモイカネ様の作戦が成功した事に、大きな歓声をあげました。
いやあ、太陽が戻ってよかったですね!
今回の騒動は『岩戸隠れ』と呼ばれ、神々はスサノオ様が原因だと非難し、彼を地上に追放したのです。
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