第1話 僕の記憶
僕の名前は
友達からは、ニノって呼ばれている。
さっきまでお見舞いに来てくれた友達が教えてくれたのだ。
なぜこんな話をしているのかというと、僕は記憶喪失らしい。
3日前に起きた交通事故によって、頭を強く打ち付けた僕はつい先ほど目を覚ましたのだ。
しかし、記憶喪失の僕は友達や家族との接し方でさえも忘れてしまっているため、本当のニノではない感じがしてみんな戸惑っている。
ニノは僕であって、僕ではないのだ。
言わば、「彼」の体を借りている僕であるといえる。
さらに、もう一つ問題はある。
それは、お見舞いに誰もこなくなったときに現れる女の子である。
彼女の名前は、
細身の体系に黒髪のストレートロングで、ミステリアスな人である。
その人がいうには、「彼」の彼女であるらしい。
茶山さんは、毎日だれもいなくなった病室に一人で訪れる。
「ニノ君、来たわよ」
「あ、茶山さん。こんばんは」
僕は体を起こして、彼女を出迎えた。
「いいのよ、寝ておけば」
「大丈夫だよ。せっかく来てくれたんだから。しかも、もうすぐ退院だしね」
「退院ね・・・」
茶山さんは、少し悲しそうな顔をした。
「ねぇ、キノ君。見舞いに来てくれている人たちには私のこと話していない?」
「うん、大丈夫だよ」
そう、茶山さんがこの時間にくるのは、他の人たちに会いたくないらしい。
その為、他の人には話さないようにしてほしいと頼まれていいるのだ。
「ありがとね、ニノ君」
茶山さんが笑顔でこっちを見てくれた。
なんとなく、恥ずかしくなってしまう。
「ニノ君。退院したらどうするの?」
「どうするって、家に戻って普段の生活に戻るよ」
「普段の生活って・・・・」
茶山さんは、僕の手を握るとこちらをじっと見た。
その目はどこか悲しそうだが、僕の背筋に悪寒が走った。
僕ではないなにかが、逃げろと警告している気がする。
「ねぇ、キノ君。君は依然の君じゃないんだよ。家族や友達もそう気づいているでしょ?」
茶山さんが言った言葉がぐさりと胸に刺さった。
自分でも、分かっている。
これは、僕の体じゃない。
「彼」のものだ。
そんなのわかっている、分かっている。
分かっている分かっている分かっている分かっている分かっている分かっている
分かっている分かっている分かっている分かっている分かっている分かっている
分かっているwかっているwkxってるえdかえる・・・・
「う、うぁxきえfkdvんさfjdえf!」
あれ、どうしたんだろ?
目の前が真っ白になっていく。
ねぇ、だれか助けてよ。
僕は、僕だよ。
「彼」じゃなくて、僕を見てよ!
駄目だ、考えることさえ厳しいほど頭が重い。
また、気を失うのかな。
次目覚めたら、いいことが待っているといいなぁ・・・・
ニノ君は気を失ってしまった。
幸い、さっきの叫びは誰にも聞かれずすんだのかしら。
誰も来る気配がない。
でもまぁ、これでよかったのよね。
だって、今のキノ君を愛せるのは私しかいないもの。
でも、もう少しキノ君の家族や友達連中との関係をどうにかしないといけないわね。
私は、キノ君の寝顔を写真に収めると、病室をあとにした。
君と僕の3年目の恋 niya @detoraito
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