何方様ですか? 婚約破棄? それは美味しいの

一ノ瀬 彩音

第1話 この人は一体誰なのでしょうか

初めまして、私のお名前は栗原愛実クリハラアイミ

年齢23歳で職業がOLです。


OLといってもそこらへんにいる地味なOLです。


私が得意な事と言えば、これといってぜんぜんありません。


そういえば、私に対して婚約破棄したいという人がいるのですが

ぜんぜん身に覚えがありません。


これはどういう事なのでしょうか。


そして、なぜか私は今、公園に居るのですがよくわかっていません。


それに私の目の前には見知らぬ男性が立っているのでした。


私は色々と聞いてみる事にします。


「あの、すいません、何方様ですか?」


見知らぬ男性はこう言ってくるのです。


「何方様ですか? じゃないだろ、俺だよ、浅野信二アサノシンジ

年齢25歳、浅野家の御曹司だ、忘れたのか?」


「ごめんなさい、覚えてないです」


「覚えてないってそりゃあ…………困るな…………」


「どうしてですか?」


「婚約破棄しにここまで来たのにまずいだろ」


「婚約破棄? それは美味しいのですか」


「食べ物じゃないし、美味しくないよ」


「そうなんですね」


「俺と婚約している約束も忘れてるのか?」


「はい、覚えてません」


「まじかよ」


浅野信二さんという人は本当に困っているという顔をしています。


私にはどうする事も出来ませんが、それも仕方がないと思っています。


「それで浅野信二さんはどうしたいんですか?」


「だからな、婚約破棄したいの、わかるだろ」


「それはわかりますが、貴方との面識もないのにどうしてそんな事を

言われないといけないのでしょうか」


「本当に俺の事を覚えてないのか?」


「はい、ごめんなさい」


「よく頭の中で思い出してくれよ、頼む」


「わかりました、努力してみます」


私は頭の中で相手の事を思い出そうとしているものの、なかなか

思い出せないでいる。


きっとこの浅野信二さんという人とは初めから面識がないに決まっています。


そういう風に言ってみるとしましょう。


「あのですね、頭の中で思い出さそうとすると出来ません」


「出来ないってどういう事だ」


「浅野信二さん、きっと人違いじゃありませんか?」


「そんなわけない、愛実が俺を公園へ来るように呼び出したんじゃないか」


「そうなんですか」


「そうなんですかって何なんだよ、くそっ」


このままではどうする事も出来ない私がいるのでどうしようか迷っていると

私は浅野信二さんにこう言うのでした。


「婚約破棄したいというのはわかりました」


「ああっ」


「それでですね、私が思い出すまで婚約破棄の件は保留というのは

どうでしょうか?」


「保留ね…………、それでもいいが思い出したらちゃんと連絡よこせよ」


「はい、わかりました」


私と浅野信二さんという人は一旦、私が思い出すまで別れる事にするのです。


お互いにそれぞれの自宅へと帰宅する事とします。


公園から自宅までは歩いて30分程で着くので私は歩いて帰る事にします。


30分程歩いて自宅に到着すると私は玄関の鍵を開けて、

扉を開けて家の中へ入ると内側から鍵を閉めます。


玄関で靴を脱ぐと私はリビングに行ってソファーがあるのでソファーの上に座ると

私は一休みします。


私はどうして浅野信二さんという人と婚約の約束をしていたり、公園に呼び出したのかが

いまいちわかっていません。


そんな事を考えているとテーブルの上に何かが置いてあります。


「これはお手紙でしょうか」


私はお手紙を手に持ってお手紙を読もうとすると頭痛がしてきて

それどころじゃないと感じています。


「頭痛がして嫌だよ、どうしてなの」


頭痛がして私はソファーに倒れこんで意識を失う。


しばらくお時間が経過して私は目が覚めると

「えっと、確か私は…………」


私はついに思い出したのです。


浅野信二さんという人物の事も婚約の約束もすべて思い出したのです。


もう一度、私は浅野信二さんに公園へ来てほしいとご連絡をするのでした。


私も急いで家を出て公園に向かいます。


公園に到着すると私は浅野信二さんの事を探します。


「どうやらまだ来てないようね」


しばらくして浅野信二さんが公園へ来て私の方に歩み寄ってくると私は

「思い出したのです」


「そうか、それは良かった」


「はい」


「婚約破棄の件は受け入れます」


「そうか」


「はい」


「どうして忘れていたのかを思い出したのか?」


「それはよくわかりませんが、きっと何かがきっかけで忘れたのでしょうね」


「そういう事になるのか」


「はい、そうなります」


「どうして婚約破棄したいのかを聞かせて下さい」


「それはな、別に大好きな人が出来たからだ」


「それは美味しいのですか?」


「えっ?」


「冗談ですよ」


「そ、そうか」


「はい」


「それでは、幸せになって下さいね」


「ああっ、じゃあな」


「はい」


私と浅野信二さんとの恋愛はここまでのようです。


どうして私が一時的に浅野信二さんの事や婚約の約束を忘れたのかは不明です。


しかし、思い出すと婚約破棄されてしまったので悲しいですよね。


こんな事なら思い出さない方が良かったかもしれません。


どっちにしても婚約破棄というのはされるのもされる方も苦い思い出となりますね。


私は出来れば浅野信二さんとご結婚をしたかった。


それももう出来なくなったから残念です。


これからは新しい恋愛をして浅野信二さんより素敵な男性を見つけて

絶対に結婚してみせます。


結婚して幸せな家庭を築くのが私の夢なんです。


きっとその夢を叶えて見せます。


まずは異性を探して恋人となって結婚する所から始めないといけないよね。


次はどんな恋愛が出来るのかが楽しみでしょうがありません。


私に幸せが訪れますように………………。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

何方様ですか? 婚約破棄? それは美味しいの 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ