第2話 新月

「早く終礼終わらないかな…」

まぁ、早く終わって欲しいと言っても、僕は絵を描いているから、話を聞いていないも同然だけど。

そんなことを考えながら絵を描いていたら、話す姿やドアを開けて帰っていく皆の姿が目に入った。

「終礼、いつの間にか終わってたんだ」

そんなことを一人呟いた。

よし、今描いてる絵を早く描き終えてしまおう。

「やっと描き終わった…。」

どれくらいの時間が経っただろう。

気付けば、時計の針は5時を指していた。

「あ!やっと描き終わったんだ!!」

「え…?」

声のする方を見てみたら、学級委員長の"あおい"さんだった。

「あおいさん…? 何してるの、こんな時間に」

「いや、本宮くんこそ何してるの!!こんな時間まで絵描いてさ」

「僕の右隣の人を想像で描いてただけだけど。」

そう言ったら、あおいさんが僕のほうに寄ってきて、僕の描いた絵を僕から奪った。

「ちょっと、返してよ」

「凄いね、金髪で目の色が水色って、凄い綺麗」

「…え?」

僕の白黒の絵にあおいさんは色が見えてる?

「僕の絵に__」

そう言いかけた時に最終下校を示すチャイムが鳴った。

「あ!帰らないと!」

「そうだね。」

「じゃ、本宮くん、バイバイ!!」

「うん、さよなら」

そう言って、あおいさんは走り去っていった。

「僕も帰るか。」

荷物を片付けて、教室を見渡して、ドアを施錠した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

満月の日に 月菜 @tukina_bm

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る