第5話

せっかくの瑠衣との旅行だ。いよいよアレを言う時が来たのかもしれない。俺は寝支度を済ませると、重大な決意をした。




「瑠衣、寝る前にお前に大切な話がある」




俺は息を飲み、寝支度を済ませた瑠衣にこう言った。瑠衣は「何?トシが私に改まって何か言うなんて珍しい」と俺に言った。そして、




「瑠衣。俺、お前のことが好きだ。16年間ずっと好きだ。一人の女性として愛している」




俺の告白を聞いた瑠衣は当初、無反応だった。しかし、ほどなくして、




「私も寿が好き。愛してる。やっと私の恋が報われたんだね・・・」




と言ってくれた。そして、お互いの唇が深く、激しく触れ合った。しかし、瑠衣とは何度キスしたのだろうか。しかし、高校生になってからのキスはもちろん初めてだ。瑠衣だってそうだろう。これはもう、俺も瑠衣もファーストキスだと思う。その感触は、脳が溶けるようなとても甘い感触だった。




◇ ◇ ◇




結局その日の夜は全く眠れなかった。なぜなら俺が瑠衣にあんなことを言ってしまったのと、すぐ隣で瑠衣が寝ていたからだ。大好きな彼女が隣で寝ているのだから、夜なかなか眠れなかったのは男として仕方がないことだろう。一方、瑠衣は疲れていたのか、すぐ寝てしまったようだ。




翌朝、なかなか眠れず、朝早くに目が覚めた俺は露天風呂に入った。瑠衣はまだ寝ている。早朝の露天風呂はまだ涼しく、東から段々と上がってくる朝日がとても綺麗だった。そして、朝早くに入る露天風呂は目覚めが良くなりそうな気がした。しかし、昨日相当海で陽に灼けたせいか、まだヒリヒリする。




そして風呂から上がると、さっき起きたばかりだという瑠衣とともに朝食を取るためレストランに向かった。朝食はビュッフェ形式だった。お腹が空いていた俺はパンやらビザやらパスタやら色々食べることにした。瑠衣も大体そんな感じで朝食をとる。




「瑠衣、朝からそんなに食べるのか。お前いっつも食べてばっかだし、いつか太るぞ?」


「私、いくら食べても太らないもん!寿だっていっぱい食べてるじゃん」


「年頃の男の子はたくさん食べなければいけないんだよ!」




食事を済ませると、2人で売店に行き、昨日同様、土産物を色々買った。売店で土産物を買い終えるとそのままチェックアウト。ホテルを後にした。時刻は朝10時前。夕方に東京に戻るとして、時間はだいぶある。どうしようか。


結局、遊覧船に乗ることにした。海からの風が涼しく感じる。ここ数日の暑さも忘れるくらいだ。昼食は、地元の食堂で食べることにした。さすが伊豆、海鮮丼が美味しい。そして瑠衣も海の幸を堪能していた。




昼食を食べ終えると、2人でぶらぶら回ることにした。観光地ということもあって、土産物屋がいっぱいある。結局、色々伊豆のお土産を購入し、夕方には東京に戻った。




2人がそれぞれの家に戻る頃には、もう陽は完全に西に傾いていた。俺と瑠衣はお互いの家の前で一度足を止める。そして、




「寿、2日間付き合ってくれてありがとう!私、寿の恋人になれてすっごく嬉しいよ。この旅行は一生忘れないからね、ダーリン♡」




と幼なじみであり恋人でもある大岩瑠衣おおいわるいは最高の笑顔とともに、俺にそう言ってくれたのであった。




◇ ◇ ◇




俺と瑠衣は高校を卒業するとすぐに結婚した。それとほぼ同時期に、華凪はアイドルグループを卒業し、芸能界を引退した。人気アイドルの『卒業即結婚』は芸能界、そして日本社会を巻き込んだ大事件とまでなった。俺と瑠衣の結婚は連日報道され、2人の自宅にもマスコミが連日連夜押しかけたくらいだ。そして・・・




瑠衣は今、俺との子どもを妊娠している。




妊娠が発覚したのは2月の初めだった。お互い学年末試験が終わり、卒業式まで自由登校になる時だった。俺は高3から芸能活動を本格的に再開し、ドラマやCMにも出演。主演することになった映画の撮影も順調に進み、夏には公開が控えていた。そして瑠衣も高校を卒業し、これからアイドルとしての活動が本格化するところだった。


高校の卒業式が終わった3月には、瑠衣が月末でグループを卒業することを発表し、併せて芸能界を引退することも発表した。そして4月初旬、俺との結婚と妊娠を発表したのだ。




「寿也、こんなことになってごめんね・・・」




籍を入れ、中島瑠衣なかじまるいとなった妊娠中の幼なじみは、結婚と同時に住むことになった東京都内のマンションで、俺にそんなことを言っていた。出産予定日は9月初旬だそうだ。例の妊娠結婚発表以来、結婚相手である俺は度重なるバッシングを受けていた。3月末に撮影が終わったばかりの主演映画は、公開が延期され、いつ公開されるかも未定である。しかしそれでも、




「私は寿也と結婚できて幸せだよ」




と最愛の妻は言ってくれた。そして、「俺も瑠衣と結婚できて幸せだよ・・・」と夫である俺は瑠衣にそう言ってあげたのだった。




◇ ◇ ◇




最後の段落はエピローグ的な話になりました。でも、前書いたやつとほとんど同じだな・・・とはいえ、寿也と瑠衣はお互い家族想いです。この永遠の愛はずっと続くでしょう。私が保証します。




そして、最後に2人のキャラ設定を書いて終わりたいと思います。




中島寿也なかじまとしや

誕生日・・・9月15日

年齢・・・16歳(高校2年)

出身地・・・東京都

血液型・・・A型

身長・・・175cm

体重・・・65kg


大岩瑠衣おおいわるい

誕生日・・・7月20日

年齢・・・16歳(高校2年)

出身地・・・東京都

血液型・・・O型

身長・・・160cm

体重・・・50kg

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『幼なじみがアイドル』って、男だったらみんな憧れる展開ですよね! 青獅子 @bluelion

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