第4話
夏休みに入ると早速、俺は瑠衣と旅行に行くことになった。とはいえ、幼なじみとはいえ、高校生が2人で旅行に出かけるなんて簡単には許してはくれない・・・と思っていたが、お互いの親はすんなりと行ってもいいと言ってくれた。
しかし梅雨も明け、連日のようにうだるような暑さがいよいよやって来る。都心部でも40度近い気温になるのはもはや日常・・・と言っても過言ではない。
◇ ◇ ◇
当日の朝、俺と瑠衣は電車に乗り、東京から熱海までは新幹線を使い、2時間以上かけて伊豆の海水浴場に到着した。しかし、雲ひとつない青空だ。とはいえ、かなり蒸し暑い。今日も日中40度近く行くのかな。
海水浴場に着くと、水着に着替えるため、お互い更衣室に入った。そして程なくして、シャワーを浴びたのか、少し濡れた瑠衣が現れた。
「大好きなトシのために、この間渋谷で買ったの。似合ってる?」
可愛い!可愛すぎるぞ!
海水浴場では2人で浮き輪に乗ったり泳いだり、そしてビーチパラソルの下で2人でイチャイチャしてた。
「ねー、トシ。向こうの女の子ばっかジロジロ見てない?」
「いやいや!俺は瑠衣しか見てねぇよ!」
「ほんとに?」
「本当だって!」
「そう・・・なら信じてあげる」
写真集やグラビアで瑠衣の水着姿を見る機会は何度かあったが、瑠衣の水着姿を生で見るのは久しぶりだ。多分小学生以来。しかし、やっぱり瑠衣は胸デカいな・・・
そして夕方になりホテルに向かった。チェックインを済ませると、早速部屋に入った。部屋は最上階丸ごとのスイートルームで、伊豆の海が一望できるらしい。
「ねぇトシ、見てー!周り海しかないよー!地平線も見えるよ!」
部屋に入るとすぐ、瑠衣はベランダに張り付いていた。そして、
「ここ、専用の露天風呂あるじゃん。さすがスイートルーム」
俺は部屋に入るや否や、その露天風呂に入った。部屋の中に階段があり、階段を登り、更衣室のドアを開けると、そこには露天風呂があった。伊豆の海が一望できる。真奈が言っていた通りに、周りは海しかないし、地平線も見える。そして夕方になり、どんどん西に傾く夕陽が綺麗だった。しかし、夕食まで時間あるし、それまで温泉でも楽しむか。
夕食はバイキングだった。伊豆という土地柄もあって、海の幸が豊富だ。板前さんが目の前で寿司を握ってくれるし、今日、水揚げされたばかりのマグロの解体ショーもあって、解体したばかりのマグロをその場で食べることもできた。
「トシ、さっき風呂入ってたでしょ?」
「バレたか」
「うん」
「しかし、露天風呂が絶景なんだよな。伊豆の海が一望できるし、周りは海しかないし、地平線も見えるし・・・」
「そうだね・・・私も知ってるよ。でも、せっかく同じ部屋なんだし、彰吾と一緒に入りたかったな・・・」
「えっ・・・」
「私はトシと一緒に露天風呂に入りたかったの!」
「ま、待て!早まるな!俺たちまだ高校生だし・・・」
「裸ならもう何度も見たでしょ!それにお風呂だって何度も一緒に入ったし!」
「それ何年前の話だよ!当時とはもう色々違うんだぞ!」
「そうだね・・・私達、もう高校生になっちゃったんだね・・・」
食事が終わると、部屋に戻った。その間、2人はただひたすら沈黙していた。そして華凪は、上にある露天風呂に向かった。ほどなくして、上から瑠衣の独り言が聞こえてきた。何を言っているかまではわからなかったけど。しばらく経って、瑠衣が露天風呂から上がってきた。風呂から上がったばかりの瑠衣は髪の毛が濡れてて綺麗だった。浴衣姿も良く似合う。俺は風呂から上がったばかりの瑠衣を卓球に誘うことにした。瑠衣は俺の誘いに乗ってくれた。そして卓球場に向かった。そして卓球勝負の結果は・・・
瑠衣の完勝だった。俺は負けた側の罰ゲームとして、華凪にジュースをおごることになった。瑠衣は上機嫌だ。「私、卓球が得意なこと忘れてたでしょ〜」とまで言っていた。
そして卓球が終わると、売店で伊豆の土産物を色々と買い、部屋に戻った。もう12時近くじゃん。そろそろ寝ようか。しかし、せっかくの瑠衣との旅行だ。いよいよアレを言う時が来たのかもしれない。俺は寝支度を済ませると、重大な決意をした。
「瑠衣、寝る前にお前に大切な話がある」
俺は息を飲み、寝支度を済ませた瑠衣にこう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます