王国首都郊外の農場(母屋の一室)
その日、〈
その一人、ルトギエル・ヴァルシュタット王国空軍中佐のあまりに
ルトギエルは、〈アトロファネウラ・プロジェクト〉に深くかかわっており……。
〈
そのため、本来、プロジェクトが最終段階に入るまで〈
しかし、
〈
「お呼びでしょうか? 閣下……」
ルトギエルはフライトジャケットを着た妹の下半身が、なんというのか……やけに
「閣下はよせ。レティシア、お前は輸送機の副操縦士だったはずだ。今すぐ原隊へ復帰せよ」
レティシアが長らく空軍士官宿舎暮らしだったため、兄妹が再会するのは久しぶりのはずだったが、少なくともそれが感動的なものになりそうな気配は
「できません」
「
「王室からの特別命令ゆえです」
「そんなもの!! 私から、
「王国がこのレティシアを必要としているのです。その
「母上になんという? 男爵家の
「中佐がそれをおっしゃいますか?」
「実の兄の私以外に誰が言う?」
「母上もヴァルシュタットの女。私が王国空軍操縦士となったとき、
「輸送機の操縦士であるからと説得していたではないか。『後方で物資を輸送するだけゆえ、危険はありませぬ』とかなんとか……」
「……失礼します 」
勝手に敬礼してドアノブに手を掛けたレティシアに向けて、ルトギエルが
「待て、レティシィ!!」
それまで比較的冷静に対応していたレティシアだったが、立ち止まって振り返ると
「兄上っ!!」
レティシアはルトギエルを
ヴァルシュタット家の者特有の「あの吸い込まれるかのような……」とよく形容される
こういうとき、この妹は兄を兄と思わぬようなところがあった。
「私のことをそう呼んでいいのは……父上だけです」
静かに言い残すと、レティシアは〈
ルトギエルは妹の後ろ姿……その綺麗な脚線美をなんとなく思い出しながら、
「とても、本人に
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