王国首都のパレード(目抜き通り)
馬車の後部左の座席には、淡いグリーンのドレスを身にまとった若い女性、セレスティーナ・シルワウィリデがいる。
その白く美しい
何も知らぬ彼女は、周囲の群衆に手を振っている。シンプルなデザインのドレスにも、唇に
しかし、穏やかな光をたたえる黒い瞳に、透き通るような白い横顔、そして落ち着いた優雅な仕草は、
姿勢良く伸ばされた背筋を腰まで流れる
もし彼女の持つ複雑な要素をあくまで一言で表すという無謀な試みをするならば、「調和」という言葉に
その
中でも、いちばん人を
そのとき、ふと、
この日、王国首都は華やかな
それは、王国空軍少佐でもある、ルトギエル・ヴァルシュタット
パレードの車列が
王国首都中央部の
その石畳を多少の軍事知識を持つ者が観察することがあったならば、所々に
そして、決して平坦ではなかった、この国の歴史にも
視点をセレスティーナの隣、後部右の座席に移す。そこには、白い王国空軍士官の
照準器越しの像はもう揺れてはいない。遠距離かつ
純白の空軍士官礼装は、お世辞にも女性受けするとは言い
ルトギエルも、周囲の群集に手を振っている。
これを似合いと言わずして、何を似合いと言うのか。そんな男女の馬車に続く
こちらはオープンカーだが前の馬車とは異なり、前部座席の運転手と護衛のほかに、後部座席に乗車しているのは小柄な少女だけだ。
彼女も、王国空軍士官の白い礼装に身を包んでいる。事情を知らない者が見れば目を疑うかもしれない。
軍人というイメージにはおよそ不釣り合いな、小柄でまだ表情にあどけなさが残る少女が、王国空軍士官の礼装で腰掛けているのだ。
編み込んで押し込まれた明るい
しかし、彼女、ルトギエルの妹であるレティシア・ヴァルシュタット王国空軍少尉の表情を正面から見た者がいたならば、何より記憶に残ったのは、何か思い詰めたかのようなその
にこやかな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます