とある高地5

 地上の共和国軍は“きもを冷やす”どころの騒ぎではなかった。


 鉄帽ヘルメットを狙撃で弾き飛ばされたアレクサンドルを後送した副官は、「もし自分に何かあっても、本国の意向を最優先とせよ」というアレクサンドルの指示を忠実に守ろうとした。


 再び訪れた闇の世界に乗じて、王国軍の陣地を脅かそうとする共和国軍。


 もうこうなると、射撃の技術の優劣とか戦術がどうこうという話ではない。どちらにより戦う意思が強い者が多く存在するのかという……人間の原始的なものが試される場となってゆく。


 そこで突如、上空から共和国軍に降り注いだ銃弾は実際の損害うんぬんよりも、極限状態にあった共和国軍将兵の精神メンタルに与えた打撃ダメージがいかほどだったか……はかり知れないものがあった。

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