6.リラクゼーションセラピストの知識


 リラクゼーションセラピストになるために、どの程度勉強するの?とよく聞かれます。


 前述でリラクゼーションセラピストと名乗るには資格が必要ないと言いましたが、一旦技術さえ学んで覚えてしまえば、あとは知識など特に必要ないものでしょうか…?


 答えは否。


 人の身体を触っていく以上、身体の知識はもちろん必要になってきます。

 しかし、「頭の骨は頭蓋骨って言うんですよ」…みたいな誰でも知っているような知識程度ではお客様は信用してはくれないでしょう。


 更に言うならば、ネット等手軽に情報が手に入る時代なのでお客様も色々な知識を持っていますが、そのお客様よりも技量も知識も上回っている存在でなければ、お客様にお金を気持ちよく支払ってもらえませんしリピーターにもなってもらえません。


 また、施術前のカウンセリングで必ず怪我や触ってはいけないところ等を伺うのですが、中には大丈夫、何も問題無いと仰ってた方が施術が始まり改めて聞くと「いや、実は…」と言われるパターンがビックリするほど多いので、施術前に外観から予想される疑わしい症状について位は尋ねられる知識が無いと困る訳で。


 リラクゼーションセラピストが行う施術は医療行為ではないので、具体的に効果を述べたり診察や診療と受け取られるような言動はできません。

 しかしだからといって店の信用にも関わるので間違った事や適当な事を言う訳にもいきません。


 お客様の問いに診療行為にならないような言い回しで答えるにしても、ちゃんと知識があるけど敢えて遠回しに言っているというのと、知識無くて適当に濁してるのはやはり言葉の重みが全く違うので、そういう意味でも知識は大事━━━



 十数年前、私が初めてこの業界に勤める際に研修の先生は、このように知識の大切さを説明され、資格保有者並とまではいかなくとも人体生理学やら解剖学やら病理学辺りの座学を研修の半分の時間を丸々使って短期間で勉強とテストを繰り返し、大学の受験前か塾の合宿かよ?!と思うほど死ぬ気で詰め込まされたものですが……




 聞けばどうやら最近の研修はどうも様子が違うようで。


 よく、大手の研修を受けた後に条件が合わなかったかして研修終了後すぐに転職という形で来られる方が割合うちにも多いのですが、その来られる方々が別の企業でそれぞれ研修受けてるにも関わらず、揃いも揃ってほぼ人体についての知識が皆無な状態なのです。


 恐らく研修の質が技術メインになってしまっているんでしょうね。


 中にはテレビとかでも有名な店舗で高額な研修費を取っているという所から来ました!だから私一人前です!ってな感じで自信満々にディプロマを見せてくれたりするのですが…

 そういう方でも研修で座学は殆どやってませんだとか仰って、下手をすれば学生時代に学ぶような筋肉と骨の関係さえもあまり理解してない人も。



 思うに、多くの企業が利益を求めて店舗をどんどん増やしたのに離職率が異常に高いせいで人員不足になって、取り急ぎ技術教えてさっさと早くデビューさせなきゃ!知識なんて後から自分で勉強させれば良い…ってなっていったのかなと想像。


 でもそんな状態で技術教えようとしても、人体のパーツ名のような基礎知識を殆ど使わずに、例えば押さえるポイントを指して「だいたいこの辺り」なんて教え方しかできない。


 だから事故が起こりにくいポイントで適当に押しても影響の無いような詰めの甘い施術を教えてるのだとは思いますが、そんな技術でお客様に上手いと思ってもらえるはずもなく。


 そうなってくると人体に興味を元々持っていて自らの意志で勉強する向上心があり、独学で自分の技術をブラッシュアップしていけるような人以外には、いつまで経っても指名のお客様が付かなくて結局稼げず大量に人が辞めていくという悪循環が発生するんですよね。


 ただ、私が研修受けた当時でも座学があまりに難しくて自分には合いませんと早々に研修辞退した人も1割程度は出てたので、座学のレベルを落としてでも研修卒業させる人員を増やしたいという企業側の意見も理解しない訳ではない…




 私の主観だけで言うならば、後々知識は必ず自分にとって大きな武器となるので、リラクゼーションセラピストになるのであれば広く浅くで良いので出来る限り様々な知識を学ぶ事をおすすめします。


 でも単純にリラクゼーションセラピストになるだけなら、最近はそんなにがっつりストレス溜まるほど勉強せずともデビューはさせてもらえるようですよ。



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リラクゼーションセラピストになってはいけない K.C.moon @KCmoon

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