記憶

「あの、これからどうすればいいんでしょうか……」


「今あなたは記憶を失っている状態でしょ。

だから、取り戻しに行かないと。」


「なんであなたが死の世界?に行くのを止めたんです?」


「なんか神様が【記憶をなくしたまま死の世界に行くのはかわいそうだ】

って言うから天使の私が手伝ってこいって言われたんだよねー」


神様なんなんだ……


「で、神様に名前教えてもらったんだ」

「よろしくお願いします。」






てかなんで私死んだんだ?






「あのー、私ってどうして死んだんですか」

「自殺だよ」


え?


「だから今から自殺したところに行く。」


えぇ……?



「じゃ、行くよー」

指をぱちんと鳴らすと、

空に私達は浮かんだ。

「落ちる落ちるうううう」

「大丈夫よ。羽をあげたから。」


たしかに首を後ろにひねると、

つややかな羽が付いてみるのがわかった。


(こっちにいこう!!!)


なんかよくわからないけど、普通に進むことができた。


「あの、名前ってなんていうんですか?」

「私の名前?」

「はい。」

天使は少し間をおいてから、

「ない。」

と答えた。

「だって天使なんだもん。天使は天使だもん。」

少し開き直ったように言った。(なにに)


「じゃあ、天使さんでいいですか?」

「なんでもいいからそれでいいよー」




ぱたぱた……






「希美ちゃんは、ここで死んだの。」



学校?



「ここ、私の通っていた学校ですか?」

「神様がそう言ってたよ。」


「それにしても人だかりがすごいねー……」

救急車や、在校生たちなどで、

人がたくさんいた。


「親とかはまだいないの?って、記憶なくしてるんだった。ごめん。」

天使さんがそう言ったから、

ダメ元で思い出そうとしてみる。


すると。


「あたたたたた……!?」

頭がガンガンと痛み出した。

私の異変に気づいた天使さんが

「の、希美ちゃんっ?」

と言っていた気がするけど。


もう分からない。


目の前が真っ暗になった。

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君と私と天使の思い出 夜野桜月 @Spi-s-ca

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