1-4 性暴力表現が侵害する権利
さきほど、ゾーニングの要求が権利の問題であると述べた。ここではそのことを、もう少し詳しく解説する。
性暴力表現を公に開陳する権利があるという主張は、主に日本国憲法の第21条が規定している表現の自由の権利を根拠としている。
このような行為が他者の権利を侵害すると主張するのであれば、具体的にどのような権利を侵害しているのかを説明するのが一般的であろう。
性暴力表現が公にあることは、主に女性の「安寧に暮らす権利」を侵害している。この権利は、主に第25条の生存権、あるいは第13条の幸福追求権から根拠づけることができると考えられる。
もっとも、憲法の専門家からすれば、このような認識は誤りであると指摘されうるかもしれない。
しかし、別に問題はない。ここでは一般的な作法に従って、大体こんなところだろうという条文を挙げたに過ぎない。
女性に限らず、あらゆる人間が暴力的な脅迫に晒されることなく暮らす権利を有することは、条文にあたるまでもなく自明のことである。
故に、本論では表現の自由と衝突する権利を、特に条文で示すことなく、単に女性の権利などと表現する。
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