1-3 公とは具体的にどこを指すのか

 本論ではゾーニングを、公から性暴力表現を追放することと定義する。では、公とはどこを指すのだろうか。


 ここでは、公を、その表現を自ら進んで見に行かなくても目に入る場所と定義する。


 例えば、コンビニの成人雑誌コーナーである。多くのコンビニで撤去されつつあるが、通路を通れば否応なく目に入るあの場は完全に公の場であり、ゾーニングとしては不十分である。

 同じような理由から、十分な仕切りや目隠しの無い書店の一角なども公の場として扱われる。


 また、電車の中吊りや広告ポスター、テレビや動画サイト上の映像も、同様の理由から公の場としてここでは考える。


 逆に、レンタルビデオ店でよく見かける、のれんで区切られた一角は、自ら進んで入らなければ見えることはないので、公とは言えない(のれんの区切りが不十分だという意見はあろうが)。


 同様の理由で、年齢認証が必要なサイト、初めから表現の方針を明示した動画チャンネル、鍵をかけたTwitterアカウントも公とは言えまい。


 また、美術館の展示も、展示方法の如何によるが、ここでは公とは言えない。基本的には、自ら進んで観賞しようとしなければ作品を見ることはないからである。


 本論で肯定するゾーニングは、換言すれば、見ようと思わなくても見えてしまう場所から性暴力表現を追放することとなる。より強い規制も考えうるが、本論で扱うゾーニングの強度はこの範囲に固定する。

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