1-6 本論の構造

 第1章で前提が理解されたうえで、本論の構造を概観する。


 本論では、性暴力表現が(主に)女性への人権侵害であるために、ゾーニングが必要であるという主張をする。基本的に、生存権や幸福追求権から導かれる、身の安全を脅かされることなく生活する権利を根底とする。


 その際、主に2つの点から権利の侵害が起きていると主張する。1つは、性暴力表現がもたらす現在についての侵害、もう1つは未来に起こりうる侵害の可能性である。


 前者については続く第2章で述べる。第2章の内容が本論の中心となるだろう。


 後者については第3章で述べる。この点に関しては筆者の専門が絡むところであり、またネット上にはびこる俗説を否定する必要もあって分量がやや多くなった。しかし、ゾーニングの肯定には本来第2章の内容さえあれば十分なのであり、最悪第3章の内容は理解されなくても構わない。そのような比重であると考えてほしい。


 第4章では、性暴力表現の範囲の拡張を試みる。一見暴力を描いていない表現でも、その文脈や公開の方法によって暴力的になり得ることを指摘する。

 また、続く第5章ではそれとの関連から、性的な表現を広告に使用することの問題点も論じる。


 そして第6章では、ケーススタディとして、ネット上で、特にオタクを自認する人々の間で話題となったケースを取り上げて議論をまとめる。

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