第6話

 両腕を挙げ続けていると疲れる。抵抗しないから下げさせてほしい。

「あのぉ」

「黙れ」

 ケーゴさんは聞く耳を持ってくれない。葉月の足元に置かれた拳銃と軽機関銃を、ショーキチさんが拾っている。これらを持って行かれると、いよいよ葉月には武器がない。

「要求があると思うんですけど。……ありますよね?」

 葉月は不安になって問いかける。無いならとっくに殺している筈だ。あるいは、シンジさんの指示を待っているとかだろうか。そうだとするとよろしくない。捕まってしまった以上、葉月の生殺与奪はシンジさん次第である。そして葉月はシンジさんに大変恨まれている。

 ショーキチさんが葉月の武器を持って離れていく。まことにマズい。

「ウチのボスは、君を部下にしたいみたいだ」

「え。部下ですか」

 葉月は意外に思った。よかった。殺されるかと思っていた。シンジさんは今でこそ中堅の傭兵だけど。昔は高価格帯の人だったし、今後も軌道に乗れば返り咲くことはありうる。アサマさんもそう言ってた。であれば、部下になれるのはとってもラッキーである。

「なるなるなります!」

「切り替えが早すぎる。まず聞け」

「はい!」

「葉月ちゃん、これクルツ?」

「はい?」

 ショーキチさんが口を挟んだ。葉月の軽機関銃をいじっている。

「クルツって何ですか?」

「知らないの? いや俺も意味は知らないけど」

「えぇ?」

「MP5の小っちゃいやつでしょ。かっけぇ~」

「あ、そうです。小っちゃいやつです。安くなってますよ」

「マジ? 買おうかな」

 将来の仲間同士、意気投合している感じである。和気あいあいとした職場になりそう。

「ショーキチ。黙れ」

「あ、すみません……」

 ショーキチさんがうな垂れた。葉月も何となくうな垂れておいた。

「五年前のことを憶えているな」

 葉月は両手を頭の後ろで組んだ。疲れたからである。

 ケーゴさんは終始シリアスである。深刻な空気は疲れる。

「はい」

「当時の仲間が三人、君に殺された」

 事実と異なる。葉月がやったのは二人で、あと一人はアサマさんがやっつけてくれた。そんなこと言ったら怒られそうなので黙って聞くことにした。葉月でも空気を読む場合はある。

「損害額は計り知れない。君には返済のために働いてもらう」

「それって、具体的にはいくらですか」

「知らんな。ボスに聞け」

 雲行きが怪しくなってきた。おじさん三人の命なら一人五百万として、千五百万ってところだろうか。そうならいいんだけど、具体的な額を教えてくれないのは困る。葉月は年収いくらで計算すればいいんだろう。何年働けばいいんだろう。返済中の生活費はどうすればいいんだろう。色々不透明すぎて何とも言えない。

 交渉するのはやぶさかではないけど、不平等条約は御免である。

「ショーキチさんは年収いくら貰ってますか」

「え。教えないよ」

「なんでですか。シンジさんはどこですか」

「え。いや。何と言うか」

「待っていれば来るんですか」

「うん。まあ。そうだ」

 葉月は問い詰める。ショーキチさんは目をキョロキョロさせている。たぶんケーゴさんの方を見て、指示を求めている。「黙っとけ」ってジェスチャーとかで言われていると思う。問い詰められるとテンパる気持ちは葉月にも分かる。そして、そういう時は情報を漏らしやすい。葉月が知りたいのは、シンジさんが近くにいるか、否かである。ショーキチさんの目を見て推測する。葉月に読心の技術は無い。全くの勘で推測している。

 たぶん、近くにはいないと思う。いやどちらかと言うと、いないと思いたい。

「デカブツ!」

 ショーキチさんの目を見て言った。ショーキチさんは身体が大きい。まるでショーキチさんを急に罵倒したように聞こえる。ショーキチさんは傷ついた表情になった。

 実際には、彼に言ったわけではない。葉月は腰にスマートホンを挿している。これは奪われていない。スマートホンは人形たちと通信している。今、通信が生きている人形は、ジローと、もう一体だけである。スマートホンには当然マイクがあり、音声認識が可能である。

「キルイット!」

 叫ぶと同時に葉月は突進した。ショーキチさんに向けて丸腰で体当たりする。丸腰の女の子であるからか、ショーキチさんは油断した。銃弾で止めようとはせず、身構えて両腕で組み伏せようとした。実際、葉月の格闘能力は貧弱である。葉月だけを相手にするなら別にそれで問題なかった。

 ショーキチさんと並行して、葉月は背後のケーゴさんも相手にしなければならない。そっちは手信号でジローに指示を出した。と言っても、ジローに見えるよう背後を指さし、その後親指を地面に向けて振り下ろすだけである。ジローはそれで理解し、背後への制圧射撃を開始した。ケーゴさんの方はそれで止められる。

 ショーキチさんの方は、デカブツが止める。デカブツとはつまり、古い方のイチローのことである。世代交代前の旧世代機である。脚は遅いが、遅くても動くには動く。ゆっくり動いてここまで来た。大きくて重いため、ライフル弾を発射できる。ライフル弾は拳銃弾よりも威力に優れる。防弾も貫通できる。

 デカブツが撃った弾は、ショーキチさんの横腹を貫き、逆側の腹を抜けて飛んで行った。ショーキチさんは体勢を崩した。葉月はそこに体当たりする。自分の拳銃を取り戻す。安い軽機関銃よりも、こっちの方が大事な武器である。何せアサマさんに貰った銃だから。

「ごめんね」

 倒れゆくショーキチさんの耳元で、葉月は謝った。暴言で傷つけたからである。葉月は傷ついたおじさんに優しい。

 そのまま逃げた。ショーキチさんはたぶん死ぬだろう。

 またシンジさんに恨まれる。今から憂鬱であった。



 ショーキチが死んだ。

 シンジは静かに息を吐いた。ショーキチを殺した大蜘蛛を今しがた達磨にしたところである。蜘蛛型オートマトンの外殻は堅牢であったが、関節はいくらか脆弱である。関節を破壊すれば脚を切り離せる。脚を破壊すれば行動不能にできる。そのように攻略した。

 問題は蜘蛛どもの主人、頭のおかしいクソ女、葉月である。五年前もこのガキに仲間を殺された。再びやられてしまった。警戒していたからこそ、ベテランのケーゴとともに行かせたが、足りなかったらしい。しかし、シンジは地下で二体の蜘蛛を相手取っていた。残り一人は護衛対象の繁在家さんに付けて逃がした。これで人員は全部である。可能な限り安全な配置にしたつもりであった。つまり、人員が足りなかったのだ。いつものことである。人はいつも足りない。人を育てる金も時間もない。どうにか調整して二人を育てたが、また一人減った。どうにもならない。

【すまん。アサマの弟子なら、協定は守るものと思った】

 日本の傭兵業界には不文律がある。小規模傭兵が流行する昨今、負傷者が出た時点で停戦交渉に入ることが多い。交渉中は攻撃を行わないことになっている。マトモな傭兵ならこれを守る。交渉中の不意打ちは、短期的には利益を得られる。しかしその後の交渉が成立しなくなり、双方の損害が増える。長期的には損である。

「お前の感覚が正しい。あの女の頭がおかしい」

 会話をしながら、葉月の最後のオートマトンをケーゴが仕留めた。いよいよ後は小娘一人であり、小娘はハンドガンしか装備していない。にも関わらず、油断してはならない。葉月は単体では貧弱である。葉月の強さは、咄嗟に迷いなく殺人を選べるという精神性にある。シンジもケーゴも殺人は躊躇する。傭兵は基本的に殺人を好まない。採算が取れないからである。殺人で金が貰えるとしても、リスクが大きすぎる。誰だって殺されそうになれば死に物狂いで抵抗する。攻撃対象には逃げ道を用意してやるものだ。何よりも自分の身の安全のためである。あと単純に、人を殺すのは倫理的に良くない。

 五年前、葉月は子供だったが、躊躇なく人を殺した。シンジもケーゴも当時は新人である。人殺しを見たのは初めてであった。それから五年経っている。二人とも人殺しを経験している。今度こそリベンジを果たす。それはそれとして、どういうわけかシンジは葉月のことが割と好きであった。ああいう反社会的な頭のおかしい女を支配したい欲求が常にある。これはショーキチやタイスケには言っていなかった秘密である。できれば、彼女を殺さずに捕えたい。危険ではあるが、もはや葉月には武装がほぼない。可能性が見えてくると、やってみたくなってしまう。彼女の技能は有益である。これまでの損害をカバーできる。人員も補充できる。いや、冷静になるべきだ。油断するな。いやでもやるべきだ。

【見つけた】

「俺も見つけた」

【スモーク使うぞ】

「了解。俺が突進する」

【気を付けろよ】

「勿論」

 スモークが撒かれた。葉月の周りを煙が覆い、視界を遮る。葉月は反射的に発砲したし、その射撃は、スモークグレネードを投げたケーゴを正確に捉えていた。ケーゴには防弾がある。葉月は「しつこい……!」と抗議しながらまた逃げようとしている。シンジは回り込む。

「無事だな?」

【無事だよ】

「よろしい」

 回り込んだ先で反撃を受けた。突進を読まれていたらしい。煙の中で姿を確認する前に、シンジの胸部付近に銃弾が飛んできた。これは防弾で耐えられる。しかし、シンジは訝しんだ。ケーゴたちと間近で遭遇している以上、防弾があるのは知っている筈である。馬鹿の一つ覚えみたいに同じ場所を狙うだろうか。撃つなら脚部だ。頭部は的が小さい。そうしなかった理由は何か。シンジは瞬時に結論を出した。小柄な子供兵ならではの手段だが、葉月の体格ならギリギリ可能だろう。要するに股抜けである。脚と脚の間を通り抜けるつもりだ。

 シンジの予測は当たった。四足獣みたいに姿勢を低くした葉月が煙の中から現れる。予想していれば何のことはない。蹴り飛ばしちゃおうかと思ったが、脚を怪我すると嫌なので上から押し潰すことにした。葉月はぐえっと蛙のように鳴いて潰れた。

 片膝で首根を押さえつけながら、銃口で小突いた。

「参ったか」

「参りました。仲間にしてください」

「嘘をつけ」

 頭の後ろを殴り、拳銃を奪った。

「いだっ…………ひどい」

「お前の方がひどい。あのなあ、ショーキチは、俺が一年かけて育てた。大して憶えは良くなかった。あいつにかけた時間を全部使って、俺が一人で働いていたら、まあ一千万ぐらいは稼げたと思う。でもそれよりも、あいつが将来稼ぐだろう金に期待したんだ。そういうもんだろ」

 シンジは片手で葉月の首を掴んだ。無意識の動作である。動脈を感じる。血液が力強く流れている。この女は生きている。これがあの葉月の頸動脈だ。素晴らしい。シンジは半分潰したり、引っ掻いたりして遊んだ。

 葉月はシンジの小指を掴み、へし折った。シンジは微笑んだ。

「果敢だね。治療費で五億追加だ」

「うぇえっ? 今のナシです!」

「もっと折ってもいいよ」

「ごめんなさい……、もうしません」

 シンジなら中指と親指さえ残っていれば絞め殺せる。でも殺してはいけない。いや、どちらかと言うと殺した方がよい。このイカレ女の場合、躊躇していたらこっちがやられる。でも殺したくない。正確に言うならば、殺し続けたい。殺してしまったら殺すことができない。

 ゆっくりと絞め始めた。葉月は首を逃がそうとしたが、うつ伏せの状況では逃げ切れない。逃げる首筋にシンジの指は付き纏い、籠める力を強くしていく。

「やだ! やっ、うぅ」

「何が?」

「う……ぅ……」

「おーい」

 葉月の声が小さくなっていく。でもまだ何かするだろう。何かするに違いない。してくれなくては困る。急に強く絞めすぎたかもしれない。ちょっと緩めてみたら、一生懸命呼吸している。とても可愛い。

 恐怖はゆっくり与えるべきだ。走り寄る恐怖よりも、忍び寄る恐怖の方が心を蝕む。尾を引き、生活に残留する。女性の生活に残留する恐怖は素敵である。女性は常に怯えているのが好ましい。

 シンジの殺意は親指と中指を除いて抑制されている。こいつらだけがなかなか言うことを聞かない。殺人は我慢すべきだ。我慢した方が気持ちが良いから。だから、簡単に殺してしまうのは躊躇するものである。それが正常な感覚だ。何事もゆっくりじっくり楽しむのが大人である。一息に消費してしまうのは幼稚である。

【シンジ。車がきた】

「…………車?」

 シンジは上の空である。鬱陶しそうに応えた。

【運転席に人がいない】

 エンジン音が聞こえる。瞬時に正気に戻った。

「散って逃げろ」

【了解】

 葉月を放り出して駆け出す。

 成程ね。まだ何かするとは思ったんだ。



 葉月は死ぬ程呼吸した。死ぬ程無呼吸だったからである。

 シンジさんはやっぱりとっても怒っていた。正直言って葉月が八割ぐらい悪いことは理解している。可能な限り無様に命乞いする言葉を考えてみていたが、酸素が無ければそれも言えない。なんでも言うから酸素がほしかった。

 頭の中で反省会をする。葉月はそれほど悲観的ではないが、人によっては走馬燈と呼ぶかも知れない。ラップトップが壊れた後、人形たちの動向を正確に掴めなくなったのが痛かった。スマホでも見られるけど、やっぱりウェアラブルデバイスとかで情報を管理した方がよさそう。そもそも葉月が自分で動かなきゃいけないような事態がダメだ。手一杯になって情報を管理できなくなる。人形を増やしたい。でも減ってしまった。壊すなんてひどすぎる。一体壊した時点で交渉を持ち掛けてくれたら、葉月だって土下座して謝ったのに。

 色々考えていたら何か知らないけど首を放してくれたので、ようやく呼吸できた。

「散って逃げろ」

 シンジさんが指示を出している。誰にだろう。葉月もだろうか。

 シンジさんは葉月ではなく別の方向を見ている。ついさっきまで粘着質な視線を向けていたくせに。どこかに走り去ってしまった。葉月は弱っていてマトモに動けない。うつ伏せに倒れたままである。逃げろって、何からだろう。どこにだろう。

 もっと周りを見て、音を聞いて、状況を把握すべきだ。

「おきろおきろ起きろ、起きろぉっ」

 自分を応援しながら地面に手を突いた。腕に力が入らない。諦めて仰向けに転がった

「無理ぃ…………」。

 弱音を吐いた。葉月は頻繁に弱音を吐く。

 とにかく、シンジさんには殺されなくて済んだ。シンジさんが逃げたということは、何だろう。何か邪魔が入ったってことだ。警察とかだろうか。パトカーのサイレンは聞こえなかったけれど。さっきから聞こえているのは何か低い音である。地面が揺れているような気がする。たとえば車のエンジン音みたいな。

「あ」

 葉月は気づいた。

「葉月か?」

 夢かと思った。アサマさんが見える。倒れた葉月を見下ろしている。

 アサマさんの車が突進してきたから、シンジさんは逃げたのだ。車は葉月の頭部のすぐ近くで待機している。これは単なる錯覚だと思うけど、あと少しで葉月も轢かれるところだったように見える。

「お前、何でこんなところにいる」

「あ、アサマさ」

 跳ね起きて抱き付こうとした。脚に力が入らなくて転んだ。

 しょうがないからアサマさんの脚に抱き付いた。涙が溢れていっぱいこぼれた。

「アサマさぁん、 遅いですぅ……」

「顔がひどいな」

「か、え。顔が何ですか? え?」

「会うなりやかましいな。放せ放せ。お前は後だ」

 振り払われて、首根っこを掴まれて引きずられる。引きずられた先に壁があったから、葉月はその壁に寄り掛かった。戦闘に巻き込まれないように、隠してくれたのだと思う。アサマさんは葉月に優しい。

「シンジくーん」

 アサマさんがシンジさんのことを呼んでいる。まるで葉月じゃなくてシンジさんに用があって来たみたいに聞こえる。いやそんなことはない筈だ。愛する葉月を傷付けられたから、怒って報復しようとしているに違いない。

「何すか」

 シンジさんがどこからか応えた。ふてぶてしい。

「さっき君の仲間に襲われちゃって。すまん。倒してしまった。戦闘の意志は無い」

 ケーゴさんのことだろう。アサマさんは乱戦に割り込む時はセダン車を突撃させることが多い。それで敵が壊乱したら、ターゲットを簡単に仕留められる。ちょっと賢い敵は散開して逃げる。そういう場合は各個撃破することになるので、アサマさんは面倒くさそうにする。

「そうですか。生きていますか」

「勿論生きている。向こうに死体があったけど、それは俺じゃないぞ」

「それはそちらのお子さんの仕業です」

 アサマさんは問題児を見るような顔で葉月を見た。言いがかりである。弁明しようとしたけど、頭上から垂直落下の拳骨を食らった。問答無用である。葉月のせいじゃない。葉月を虐めようとした人が悪い。という顔をしていたらもう一度殴られた。

「なんで二度もぶつんですか! ひどいひどいひどい!」

「シンジくんすまーん。とりあえず殴っておいた。その件は後で相談しよう」

「……これは停戦交渉ですか?」

 シンジさんが尋ねる。

「いや。違う。繁在家ってやつを粛正したい。面倒だから護衛を先に排除しようと思ったら、君だった。知らなかった。迷惑かけないようにやるよ。どういう契約?」

「成程。停戦交渉ではない」

「うん。ん?」

 シンジさんがまーたフラッシュバンを投げた。葉月は目をぎゅっとつぶる。耳に指を突っ込む。たくさん爆弾を持っていてずるい。身体が大きいから色々持ち運べるのだ。やっぱり荷物持ちのお人形がほしい。アサマさんにおねだりしてみよう。今日あったことを全部聞かせれば、同情してくれると思う。

 衝撃波に晒されて、葉月は頭の後ろを壁にぶつけた。さっきシンジさんにも殴られたから怪我している。痛すぎて「うえぇん」と子供みたいに甘えた声を出した。ちょっと可愛い子ぶっている。フラッシュバンでこんな衝撃波は出ない筈だから、同時に何か爆発したのだろう。アサマさんがやったのなら、爆発したのはたぶん車である。シンジさんがもし閃光と同時に遠くに逃げたのでなければ、位置関係的に爆発の影響を一番受ける。

 葉月は目を開けた。溜まってた涙がこぼれた。手の甲でごしごし拭いた。

 目を擦ったから不鮮明だけど、やっぱりシンジさんが吹っ飛んで倒れている。

「もういいか? でさぁ」

 アサマさんが何事もなかったみたいに話を続ける。

「できれば場所も知りたいんだけど。教えてくれる?」

 シンジさんはひっくり返って溜息を吐いた。

「はぁあ~。教えません!」

「あらら」

 閃いた。

 葉月が見つけて教えてあげよう。そしていっぱい褒めて貰おう。

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