女、諦めないひと
アンティゴネはポリュネイケスの亡骸に土を掛ける。兄の弔いの為、神の法の要請の為、そして自身の享楽の為に亡き兄の亡骸へ土を掛ける――それが禁じられていたとしても、ゆえに自分が命を落とす事になるかも知れないと承知しながら尚。
アンティゴネは欲望の非整合性をまるごと受け入れていたのだ。欲望の自身の解放を妨害しているのは、欲望そのものである事を十分に受け入れる必要がある。解放の第一条件は、阻害された欲望の悪循環を断ち切り、私の欲望を自律的に公式化すること。クレオンの悪しき支配に抗う崇高な力がここにある。この神話から見てとれるように――女性は男性に比べて、根本的なレヴェルで諦めない……。欲望に関して譲歩してはならないというラカンの言葉に、アンティゴネのように従事するのである。
こう問う必要がある「私は誰か?私は本当は何を欲しているのか?」これをよく理解していないと、コダマナオコ『コキュートス』の主人公のように、罪を贖うことになる。大切なのは、人の欲望に対する保証は<大文字の他者>の中にはないということだ。アウグスティヌスがよく承知していたように、羨望と怨恨とが人間の欲望の本質的構成要素だ。それらをぶつけ合う――百合は、欲望を諦めない為のヒントになる。
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