花の贄

花のにえ 完結済 長編180,053文字

荒廃した世界で紡がれるハイファンタジーです。

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 https://kakuyomu.jp/works/1177354054890681300


「花の開く夢を見た。世界の滅ぶ夢だった。」


 白い炎に包まれて、世界が滅んだ。世界を滅ぼした白い人は、エルバに剣と三つの願いを与えた。


 エルバが夢から目覚めると、そこは見知らぬ荒野だった。手には夢の中で与えられた剣。

 緑の絶えた荒野、荒廃した文明、異なる文化、襲い来る化け物、剣と魔法。


 己の身に起きた事態を理解しないまま、エルバは世界を救う旅に巻き込まれてゆく。

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 ダークソウル3というゲームをやって、その退廃的な雰囲気に強く惹かれたのが本作が生まれたきっかけでした。

 そのゲームの退廃的な雰囲気が何に起因するものなのか捉えきれず、結局私なりの退廃を描きました。植物の存在しない世界です。


 植物は私たちの文明には未だ欠かせない存在です。衣食住の全てに食い込んでいますから。植物のない世界で、人間は一体どうやって生きるのか? そしてなぜ植物は絶滅したのか?

 植物は生態ピラミッドの基盤でもあります。植物がなくなれば草食動物は餓死してしまい、それに伴って肉食動物も衰退するでしょう。この世界の恒温動物と言えば共食いと人食いによって辛うじて命を繋ぐ飢えた獣がわずかに生息するばかりです。一方で、奇妙な食性を持つ変温動物が多く生息しています。


 ヒトハミという怪物も、この世界を構成する大きな要素の一つです。動物の形をしていながら動物としての反応を示さず、また様々な種の形をしているのに何故か人間には一目でそれがヒトハミと解る。そんな怪物が世界を跋扈ばっこし、道行く人を襲います。


 ヒトハミと肉食獣が徘徊しているために多くの人は街の外に出ることができず、交易が滞って物資・情報的な分断も発生しています。

 

 このような状況を発生させたのが、二百年前から百年間に亘って世界を恐怖で支配した「分断の王」。民衆によって処断される折、分断の王は世界に呪いをかけたと言います。その呪いが、世界から植物を絶滅させ、ヒトハミという怪物を生み出したというのが、この世界の人々の認識です。


 私たちの社会に比較的近い世界で育ったエルバは、ある日突然この荒涼とした世界に放り込まれます。彼がどのような冒険をし、どのような真実に出会い、そして何を決断するのか?


 最後まで読んだ時、あなたは本作のタイトル「花の贄」の意味を知ることでしょう。


 自他ともに認める作者の最高傑作です。

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