第24話井戸の中へ
「一、公民館の方へは一人で行ってくれ。ちょっと調べたい事ができた」
そう言うと遼は、一の前から走り去っていった。
「お、おい遼」
一の戸惑った声などまるで聞こえないこのように、遼は立ち去っていった。
夜中に聞こえた軋む音。
川に投げ捨てられた少女の服。
ハーメルンの笛。
白い浴衣の少女。
遼のなかで、違和感という呼び水が洪水のように溢れ出しそうになっていた。
「やはり…嘘をついている」
そう呟いて、遼が向かった先は山部邸だった。
村長と奥方は、確か公民館の集まりの方に顔を出していて、この時間は留守だ。
きらした息を整えながら、古井戸の前に立ち
遼は、古井戸の中へと吊らされた繩紐をつたい、下へと降りて行った。
神隠しの森 北条秋月 @syu-getu
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