面会
深川夏眠
面会
お盆休みに、おじさん一家が泊まり掛けで遊びにやって来る。父の従兄だから正確にはおじさんではないが、呼び方を調べてもいない。ともかくおじさんの一種で、その子供らははとこと認識している。
おじさんたちは他の親戚への挨拶回りに出るのだが、何故か私が同行するのが慣例になっていて、その日は長らく入院中の身内を見舞うことになった。
病床の老女は、おじさんのおばさんか、大おばさんか、よくわからないが親類には違いないそうだけれども、そこまで行くと私との関係は不明だ。おじさんが「ほら、タカオの娘のミキも一緒だよ」と老女に私を紹介する。わかっているのか、いないのか、彼女は横になったまま、霞がかかったような目を上向けて頷いていたが、不意に、
「ミキちゃん、久しぶり」
初対面ではなかったか。
「お母さん似かと思っていたけど、年頃になったら変わってきたね」
母もご存じですか、そうですか、すみません、私はあなたを覚えていません。
「目鼻立ちが男親そっくりだ。あの子がタカオさんの前に一緒だった人にさ」
……おい。
【了】
◆ 初出:note(2015年)退会済
*縦書き版は
Romancer『掌編 -Short Short Stories-』にて無料でお読みいただけます。
https://romancer.voyager.co.jp/?p=116877&post_type=rmcposts
面会 深川夏眠 @fukagawanatsumi
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