シーン03 絵の中の少女
お化けがでるという噂のある図書館。
そこは、まともにサービスを提供する気があるのかと疑いたくなるくらい、おんぼろな建物が建っていた。
きっと、図書館の敷地が無駄に広くて、無駄に蔵書量が豊富だから、おなさけで存続しているんだろう。
地域社会のショジジョウとやらに思いをはせながら、僕はそんな図書館の、さらにぼろっちい内部を歩いている。
セイビヒが足りていないのか、電灯が切れているところがちらほら。
奥の方にいくと、全滅している区画もある。
薄暗い区画を歩くのは勇気が必要だった。
けど、僕は臆病な虫を叩きふせて、さらに奥へと進んで行く。
お化けなんていない。
怪談なんて怖くない。
この化学の時代にそんな非化学な話で右往左往してる同年代の少年少女たちに向かって、僕が証明してやるのだ。
「ここだ」
他踊り着いたのは古びた絵の前。
暗い色ばかりで描かれた不気味なその絵の前に、黄昏時に立つの中にすいこまれてしまう。
そんな噂のある絵だ。
僕は腕時計を見て時間を確かめる。
もうそろそろだ。
目の前の絵をじっと見つめていると、変化が起こった。
絵の中から真っ白な腕が伸びて来たのだ。
二本の腕は僕を掴んで中へと引きずり込もうとする。
「う、うわぁぁぁ!」
僕はようやく悲鳴を上げて、腰をぬかしそうになりながらも、必死に抵抗するけど、相手の方が力が強かったみたいだ。
このままだと、絵の中に引きずりこまれてしまう。
そう思った僕は、絶望の未来を想像したのだが。
「何よ、そんなに驚かなく経っていいじゃない。ちょっと脅かしただけなのに」
二本の腕があっさりと僕を離した。
絵の方から女の子の声が聞こえてくる。
「え?」
「あーあ、もうちょっと遊びたかったな。だって、つまんなかったんだもん。こんなおんぼろ図書館に来る人なんてたまにしかいないし、来たら来たでちょっとちょっかいかけたらすぐに逃げちゃうし」
「ええー?」
何だろう、この拍子抜け間。
絵画の中からすっと出てきたのは、僕と同じくらいの年の女の子だった。
印象に残る出会いを研究 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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