シーン02 ニワトリ小屋の少女



 俺は人から見降ろされるのが嫌いだ。

 上から目線で指図されると虫唾がはしる。


『貴様、そこの不細工。道をあけろ。邪魔だ』


 そんな最悪の出会い方をした人間とは、一生仲良くできると思えなかった。


 だが、こんな状況は想定していなかった。


「ぶっ、げほっげほっ、きっ、貴様……っ。何を見ている、早く助けろっ。この卑しい下民…げみ、きゃああっ。こないで、いやっ」


 目の前にいる少女。

 餌まみれになってニワトリにつつかれているその女が、とうとう白と赤とちょっと黄色の生き物に埋め尽くされて見えなくなった。

 

「なに、やってんだ。てめぇ……」


 再会したら、その綺麗な面を殴り飛ばしてやろうと思ったのに。


 あれだけの高みにいながら、あれだけ傲岸不遜な態度をとっていながら、こんな阿呆な再会をするやつが、かつて俺の人生の中にいただろうか。


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