橙の風に吹かれて

Lalapai

トリックオアトリート

 

街中はみんながみんなお化け。お姉さんもお兄さんも中にはおじさんも、そして可愛らしいお化け達がはびこる。世間はハロウィン一色であった。私たちの地域でも

 

「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞー!」

 

まあかわいいこと♪ザ・ハロウィンって感じでいいわよね。この子の魔女の衣装はピカイチね。可愛さでいえば本物に負けず劣らず、いや、可愛さという魔法ではそれ以上ね。

 

「あらななちゃんよく来たね~。はいお菓子よっ」

 

だってその魔法にかけられればお菓子を渡しざるを得ないもんね。いいなー私も仮装して家を回ってお菓子をたくさんもらいたいな~ジュルリッ…。あ、また可愛げなお化けが来たぞ~可愛い男の子だ~。あのドラキュラの衣装凝ってるな~。最近のコスプレはネット通販とやらでも買えるらしいし現代いまの子は衣装がすごいんだなぁ。


「んー!んーー!…はぁ。」


あーインターホンに手が届かないのねぇ〜。あー愛くるしい〜!頑張って頑張って!


「よいしょっ!ふぬっ!…はぁはぁ。」


やっぱり届かなさそうだなぁ。よしっ!押してあげよう!!


ピンポーン♪


「ん?はぁ!!とりっくあーとりーとー!」


「よく来たわねぇ〜、よくインターホンに届いたわね。今お菓子を持ってくるからねぇー」


よし、上手くいった〜。そっかー最近じゃインターホンなんだ。昔なら玄関の前で叫んでたのにねー。

さてと、ちょっと都会に出てみようかしら確かあそこの交差点はすごい人だったわよね。また変なお化けはいないか見に行こうっと。。。



「「「ガヤガヤガヤガヤ」」」


うぇー、今年も去年に負けないくらいのカオスだわ。まるでアリの巣みたい。でも、みんな楽しそう。私も混ざりたいなぁ。でもあんな人混みの中に入ったところで海に一滴だよね。今年も上からの景色を楽しもう。



今日も月が綺麗に昇ってる。

高いところに吹く風は下からも熱気のせいか風が感じられる。

毎年毎年日本中がお化けになっちゃって大暴れ。

小さな物、見えないものに目もくれず、

あの綺麗な月さえも街灯やビルの光で気づきやしない。

そしてハロウィンも終わればお化けを怖い怖いって、

人間勝手が過ぎるよな〜。

お化けだってもっとかまってほしいだろうに。

今日も1人かまってちゃん。

いや、

私と同じ人は何にもいるんだろうけど…



今年だけはちょっと人混みに混ざってみようかな〜。よいしょっと。


「お前怖いなぁ!」


「もっと仮装して来いよ!!」


「ねぇ写真撮ろー?」


うわーやっぱりうるさいなー。そしてこの人混みすごいなぁ。押し潰されそう…うわっ!


「いって!誰だよぶつかったの!!」


そっちがちゃんと見て歩かないからでしょ!痛いのは私なんだから!!ホントに。。。ホントに私何してるんだろ。



高らかに混ざり合う雑踏、

ハメを外しすぎた人間。

すなわちお化け。

お化けでもこんなにゴミは散らかさない。

まぁ当然よね。

人間は死んだらお化けになるんだし、

ここはその予行練習みたいなもの。

そうだここで叫んだってどうせ気づかれないよね。

なら叫んでやろう!



「人間の馬鹿やろぉぉぉぉお!!!!!」


あれ?!もしかして聞こえちゃった!?まずいよまずいよ!


「誰が叫んだんだ?」


「誰〜??」


あわわわ、、、とりあえず早く今のうちに逃げよう!!


「人間のクソやろぉぉぉぉお!!」


え??


「おぉ!共鳴したぞ!!www」


「そういやハロウィンだから許されるよな。俺らも叫ぼうぜ!!」


「人間は馬鹿だぁぁぁぁあ!!」


「消え失せろ人間!!!!」


「「「人間の馬鹿やろぉぉぉぉお!!」」」


ありゃありゃ。変なコール始まっちゃった…まぁバレずに済んで助かったぁ。今のうちに帰っちゃおう。


やっぱり静かなところのハロウィンの方が趣があるわよね。変に分かってるフリした大人より純粋な子供の方が可愛い。

でも、もう時間的にも子供たちも家に帰宅する時間よね〜。私も最後イタズラして帰ろうかな!


ピンポーン♪


「はいー?」


トリック・オア・トリート!!!!


「誰かいるの??…あら、悪戯かしら。こういう日に便乗する嫌な人もいるのね」


あ、そっか。私死んでたんだった。私ったらいつも最後はノリでやっちゃうんだからw


でも今日はハロウィンだからいいよね?

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