第5話 情報整理と今後の方針

 眩い光に包まれた三人はホテルの自室へと戻っていた。


「素晴らしい」

「お見事です」

「うふふ。ありがとう」

 

 ドレッドとバリスタの称賛にネーゼは笑顔で答えている。


「これからどうされますか?」

「まずは情報の整理ね」


 ドレッドの質問に微笑みながら答えるネーゼ。

 大判の紙に情報を書き出していく。


 目標……人身売買組織……毒蛇パイソン

 首班……アール・ハリ・アルゴル……レーザ星系のアルゴル族

 憲兵隊クリエス大尉……アルゴルとズブズブの関係

 反目関係……ドルト少佐、ヘールマン少佐……憲兵隊の上役

 ハ帝国の重要人物が背後にいる可能性……大貴族? もしくは皇族?


「こんなところかしら」

「ええ。さらに付け加えるなら、ベルグリーズ王国内にハドムス帝国と繋がっている勢力があります」

 

 バリスタの一言に眉をしかめるネーゼ。


「その勢力は……あのシュランメルトとどういう関係なのかしら」

「敵対関係と言って差し支えないでしょう」

「シュランメルトはベルグリーズ王国側。そして私達アルマ帝国とは友好関係にある」

「そう結論付けました。あのAsrionアズリオン、ララ皇女の鋼鉄人形ゼクローザスを撃破した魔導騎士ベルムバンツェは、我がアルマ帝国へ危害を加える事は無い。むしろ彼を援護し、その敵対勢力に対して攻勢を強める方が我らにとっての利益となる」


「そうなのね。分かりました。では私たちは……」


 と言って言葉に詰まるネーゼ。

 ドレッドとバリスタは心配そうに彼女の顔を覗き込むのだが。


「飲みましょう。さあ、夜の街へ出かける用意を」

「そうおっしゃると思い、パブを数軒ピックアップしております」

「気が利くわねっ!」


 両手を上げ喜んでいるネーゼ。

 ドレッドは眉をひそめている。


「バリスタ。君も来るんだろう?」

「いえ。私はクリエスの背後を調査します。今夜のネーゼ殿下はお任せします」

 

 がっくりとうなだれるドレッドだった。

 ネーゼは皇室一いやアルマ帝国一のだと噂される酒豪なのである。


 そしてバリスタはスッと姿を消し、ドレッドとネーゼは夜のとばりが降り始めた繁華街へと向かうのであった。

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