ファンタズマ文庫『よーたろくんと天使ちゃん ~ぼく、可愛い天使と同居することになりました~』
「やあやあ後輩君! 今日はクリスマスイブだね! セックスにする? セックスにする? それとも~、S・E・X?」
「? すみません、日本語わかりません」
「そういう作戦で来たか」
「というか先輩のボケがワンパターンすぎます。事あるごとに性的な単語をどストレートに連呼するだけじゃないですか」
「普通にダメ出ししてくるじゃん。じゃあどう鎮めろっていうんだよこの私の荒ぶるちんちんをよ」
「今までに読んだラノベのお嬢様系ヒロインを思い出して真似するとか」
「うふふっ。ごきげんよう、後輩さん。わたくし、低俗な言葉は使わないよう、ばあやに教育されておりますの」
「お、その調子です」
「ちんぽですの」
「耐えられなかったか……」
ファンタズマ文庫『よーたろくんと天使ちゃん ~ぼく、可愛い天使と同居することになりました~』
~あらすじ~
葉太郎くんは、小学五年生の男の子。将来りっぱな大人になるため、毎日、勉強をがんばっていたのですが……子供部屋で宿題をやっていたら、とつぜん天国の天使が降りてきて!?
「ふあ……。あなた、だあれ?」
「こっちが聞きたいんだけど!?」
そして始まる、天使ちゃんとの生活。天使ちゃんの予想できない行動に、葉太郎くんは振り回されてしまいます。
「よーたろくん、ぎゅー、しよー?」
「ちょ、待って! 待っ……あぁ~~」
まじめな男の子と、ふしぎちゃんな女の子による、のんびりふわふわ幸せラブコメ、はじまります!
「今日はこのラノベを紹介していこうと思うよ」
「なんか可愛い系ですね」
「でしょ? あらすじ読んでるだけで幼児になった気分になれるよな。男子小学生が主人公のラノベってのは割と珍しいけど、前例は意外とあったりする。ただ、可愛さに振り切ってるって意味では、もしかしたら初かもしれないんよね」
「女性受けも良さそうな感じが」
「うん。もともとこれはweb小説だったんだけど、アクセス解析かけたら女性の読者も多いらしくて、書籍化の際にそのへんも宣伝材料にしてたね。イラストも、男女双方に受けそうなキラキラ感があるんすわ」
「表紙の絵も、男の子と女の子が同じくらい目立たせられてるんですね」
「こっちが葉太郎君で、こっちが天使ちゃんね。ロリだけでなく、ショタも可愛く描かれてるのポイント高い。本文の内容もそれは意識されてて、ロリとショタへの愛に満ちあふれてるなって思った。やっぱり小さい子の可愛さはすごいよな……あっ閃いた! 後輩君、こんど後輩君の小学校の卒アル持ってきてよ」
「何に使われるのか想像するだに恐ろしいので嫌です」
「ストーリーの内容としては、ほのぼので甘々な不思議ラブコメ。シリアスみたいなのはちょっとしかない。でもちゃんと盛り上がるところがあるってのがすごいな~って思った。天使ちゃんがやってきたおかげで葉太郎くんは不思議体験をするんだけど、その体験が毎回びっくりするというか、画的にも動きがあってわくわくするのよね。終盤とかすごかったし。でも中盤までの大部分を占めるのは、葉太郎くんと天使ちゃんの、可愛らしい掛け合いなんだ」
「あらすじからして可愛い会話がありそうでした」
「じゃあ軽い紹介のために一部朗読してみるね」
「は? 先輩の根暗ボイスを当てられる天使ちゃんが可哀想だとは思わないんですか?」
「えぇ~っ?(萌え声) わたし根暗じゃないもんっ! きゃるんっ☆」
「ちょっと吐いてきます」
「私も吐きたい」
「自分でダメージ受けてるじゃないですか」
「葉太郎くんが天使ちゃんにお願いされて、ドーナツ屋さんにいくシーンがあるんだけど、そこ読むね。
『ようやく追いついた……。待ってよ天使ちゃん……全力ダッシュする必要ないでしょ』
『だって、てんしのわっかやさん、たのしみ』
『天使の輪っかじゃなくてドーナツね』
『……! ……しょうげきの、じじつ……』
『ドーナツのこと天使の輪だと思ってたの!?』
『だって、これ、たべれる』
天使ちゃんは葉太郎くんの目の前で頭上の光輪を外し、一口かじった。
『うわーー!?』
『ぽんでりんぐあじ』
『登録商標!!』」
「あ……面白くて可愛いな」
「でしょー? あとこのへんも尊いのよ。
『ほら、天使ちゃん。このへん人通り多いよ。あまり離れないで』
『ん。じゃあ、おてて、つなぐ』
『えっ。わ、わかった……はい』
『ぎゅ。えへ。あったかいね』
『う、うん……』
『うぎゃああああ無垢ロリと恥じらいショタ尊いんじゃあああああ!!!! フワァーーーーーー(昇天する音)』」
「途中からキモオタクの心の声が入ってましたけど」
「こんな感じの可愛いやら尊いやらのふたりの絡み合いが描かれているんだよね。ページをめくるたびに表情筋がふにゃふにゃになるわこんなん。でも時々、ちょっとドキっとするような言葉が天使ちゃんから飛び出したりする。こことか」
「このセリフですか? ……え、これ本当に天使ちゃんのセリフなんですか? いつもひらがなで喋ってたのに……」
「詳細は本作を読んでほしいんだけど、天使ちゃんはどうやらただ可愛いだけの生命体じゃないようなんだ。このセリフが登場したのは、神様から天啓を授かるシーン。白い翼を広げ、光の環を輝かせて、天使ちゃんは天啓を呼び寄せるんだけど……このシーンはけっこう衝撃的だったな。だって、いつもふわふわな天使ちゃんが突然『端末TN-4よりcanopycloudsへ天啓をリクエストしました。divineoracle_4024822535(12987).godをダウンロードしています。しばらくお待ち下さい。』とか言い出すんだもん」
「ページ数的には序盤の後半あたりですか。気になる要素ですね」
「ただ、このセリフが出たのは天使ちゃんとの日常パートでのことだったんだけど、日常に異質感を残しつつそのまま何事もなかったように日々が続いていったので、途中まで私は天使ちゃんの謎について忘れてたレベル。やっぱそれだけほのぼの感がすごかったなって思うよ。ただ、終盤になると謎要素というか、不思議要素が濃くなってくる。何せ、葉太郎くんはある日、一言も喋らなくなってどこかへ行こうとする天使ちゃんを追いかけて、天国へと生身で赴くことになるからね」
「不思議な冒険ですね。天国には神様がいるとかですか?」
「そ。というか、ある一柱の神様の身体を天国として使っている、みたいな感じらしい。その中に、別のいろいろな神様が住んでいたりする。神様たちは複数いるようでもあり、その実、ひとつの存在らしくて……まあこのへんはふわっとした説明しかなかったからよくわからないんだけどね。たぶん物語の雰囲気を壊さないように、あえて説明しなかったんだと思う。神様は自分あるいは自分たちのことを
「天国に帰る……。でもそれじゃあ葉太郎くんは」
「そ~~なのよ~~。葉太郎くんは寂しくなっちゃうんだよね~! 妹のように可愛がっていた天使ちゃんが、天国に戻らなくちゃいけない運命にある。ドラマよな。天使ちゃんは神としての羽化を間近に控えて、徐々に感情を失っていく。喋らなくなった最初の方はまだ笑顔を向けてくれたりしたんだよ? ハグまでしてくれて……それはお別れのハグで。葉太郎くんも、一度は『さよなら』と告げた。でも忘れられなかった。忘れられるわけないんだよなあ! だって……真面目でお堅い葉太郎くんには、ふわふわフリーダムな天使ちゃんが必要だったんだ。
天国へと続く長い長い階段を上って、天使ちゃんを追いかける。一方、天使ちゃんはすでに天蓋雲に辿り着いていた。光あふれる荘厳な情景を前にして、天使ちゃんは神として目覚めようとする……そこへ葉太郎くんが追いつく!
天使ちゃんを抱き締める葉太郎くん!
泣きながら思いの丈をぶつける葉太郎くん!
感情を失ったはずの天使ちゃんの目に、涙が光る……!」
「ベタだな~」
「そらもうベッタベタよ。しかしですよ後輩君? 読者は今まで見せられてきたわけだ。素直になれないけれど本当は天使ちゃんが好きな葉太郎くんを。めちゃくちゃ素直に葉太郎くんとずっと一緒にいたいねと言っていた天使ちゃんを。愛するふたりの少年少女を! そのふたりがだよ!? 片や諦めて別れを受け入れ! 片や感情を喪失し! どうなってしまうんだとハラハラしたその後に! あの救済ってなわけよ。もう完全に安心して、体液を漏らしちゃったよね」
「普通に泣いたって言え」
「ま~そういうわけで、尊みの塊だったわけですわ。さっき続刊決定のお知らせがツイッターに流れてきたし嬉しい。最高のクリスマスプレゼントだよ」
「そうですか」
「後輩サンタからもクリスマスプレゼントほしいな~」
「僕の股間を凝視しながら言わないでください」
「やだやだやだああ! 後輩君の童貞ほしいいい! 先輩サンタからは処女あげるからあああ!」
「クリぼっちの哀れな末路だ」
「うおおおおおおこうなったら強制収容だあああああああああ!!(スカートの下のパンツだけを脱ぐ)」
「えっ今日の先輩ガチか。やばい逃げろ」
「イーーーーッヒッヒッヒッヒ!! ウッヒャッヒャッヒャ!!」
「うわやばいってマジで逃げろ!!」
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