第2話  サンマ


あの日を境に母さんは、ほとんど家に帰らなくなった。

冷蔵庫の中に食品が追加されているのを見ると昼間に戻っている気配を感じる。

時には料理が作られて置いてある日もあった。


夏休みに入りアルバイトが始まった。家に帰ると焼き魚の匂いがした。

テーブルの上に骨になったサンマが1尾と片面だけが食べられたサンマが置いてあった。


「お兄ちゃん、ごめん。冷蔵庫に何もなくて」

美月が申し訳なさげに白飯をよそって置いた。

片面だけになったサンマの横に・・・。


「お前達は食べたのか?」

「うん、ゆーちゃんと裏側食べたよ。」

「・・・」

僕はチラリと骨になった1尾のサンマに目をやった。

「こっちはお父さんが一人で食べたの」


はぁ~


僕は溜息しか出なかった。

そして、近所に住む祖父母の所に相談に行こうと決めた。






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