第二章:ギリギリな彼女が魔法少女を続ける理由
1:新しい日常
「サイネリア・ファニー」
「どうかしました、ササキさん?」
「いつも付けている、変装用のウィッグは?」
「え? あ!?」
※
「ササキさん! 角材で頭を叩いちゃダメなんです! 突くのもダメです!」
※
「サイネリア・ファニー?」
「ど、どうか、しましたっ、ササキさんっ!」
「坂道を転がるダンプを二人で止めてしまったら、誰が増援を呼ぶんだい?」
「え? あ!?」
「あ、ダメ! いま放したらああああああぁぁぁぁぁ……」
「ササキさぁん! ご、ごめんなさいぃ!」
※
「ササキさん! ビールケースの角で頭を叩いちゃダメなんです! 辺もダメです!」
※
「サイネリア・ファニー」
「どうかしました、ササキさん? 今日は、上手くいきましたよね?」
「うん。評価も上がると思うよ。ただ、俺のジャケットをあげるから、着てくれないか?」
「え? どういうことです?」
「あっちにテレビクルーがいるよね? で、君の衣装、ダメージで胸元が……」
「へ? あ、あぁ!? え、いつから!?」
「落ち着いて。これ着て、車に戻って。カメラマンと『交渉』してくるから」
「その辺で拾ったレンガを構えながら、言わないでください! 怖いですから!」
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