狂愛…?

低迷アクション

第1話

狂愛…?


「出張先のデリで、呼んだ子が偉い可愛い子でさ。そっこーLINE交換して、

遠距離だけど、時々会ってんだ。」


行きつけのバーの馴染み客“Y”は営業マンで、日本や海外への出張が多い。

その出先で会った女とすぐに恋に落ちる。出張の数だけ、恋してるんじゃねぇか?と

思うくらいだ。


要するに惚れやすい男である。その分、冷めるのも早いと言うオマケもつくが…

今回出会った女について、飲みの席で得意げに自慢を始めたという次第だ。


「肌の白さがまた絶妙でさ。一緒にシャワー浴びた時も、柔らかい肌触りと献身的に尽くしてる姿勢がマジたまんねぇんだわ。本当に最高だよ?未だにいるんだな、あんな子ぉっ!」


余程、惚れたと見えて、酒が入ってるからこそ出来る卑猥な内容を大声で話す。聞いている

メンバー達も“やれやれ”と言った様子で顔を見合わせていた。


「オマケに凄いのはよ!ベットに入った時に気づいたんだけど、彼女の肩にさ、俺の名前が入ってんだ。偉く難しい書き方だけど、自分の名前だから、わかったよ。


それ聞いたら優しく微笑んでくれてよ。“誓いの印”だって!こりゃ、俺もそろそろ身ィ固めっかなぁ!」


陽気に笑う彼に飲み仲間達も、楽しくなり、ささやかな祝杯のようになっていく。


「だけどよ。不思議なのはよ。てか、その時になって改めてなんだけどよ。気づいたのはさ!


彼女の体さ?黒子だって思ってたのが皆、その難しい漢字なんだわ。俺の名前と同じ感じの!よくよく見ると、それがいくつも書いてあるっていうか、彫ってあってよ。


なんか、神秘的っていうか、エキゾチックだよな~」


メンバーの顔色が一様に変わったのは、その時からだった。酔っ払い、奇声を上げて、話を続けるYとは裏腹に、皆の顔が腑に落ちないと言った感じで、恐怖に歪んでいく。


「おいっ!」


とたまらず声をかけたのは、一番年かさのメンバーの1人だった。


「何だよ?」


と返事をするYに低い声で


「呪詛だぞ…それ、マジ、おっかねぇぞ…」


と警告に近い声で諭し、それが合図で、言葉の意味を理解出来てないYを残し、

何となくの解散となった。


それ以降、Yは店に訪れていない‥‥(終) 

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