夢と現実のギャップに打ちひしがれた青年が『変わらないもの』に心を救われ、もう一度顔を上げて歩き出す。
こういう話、とても好きです。
ちりばめられた『対比』が見事だな、と思いました。
恵まれた体格にもかかわらずしょんぼり項垂れて町を行く主人公。理想とは程遠い今。内心の暗さとは裏腹な商店街の賑わい。背の高い彼と小さなお婆さん。そのように描写で揺さぶられたところに『変わらないもの』をそっと差し出されると、しょう君と一緒に読者の気持ちも安らぐのでしょう、つい涙ぐんでしまいました。
ちょっと口は悪いけれどパワフルそうなまゆみちゃんの存在も、明るい未来を予感させて好感が持てますね(最後まで声だけなのは勿体ない気もしましたが)。
秀逸な一編をありがとうございました。