復讐の果てに
白髪の男に族長の死をどう伝えたら良いものかと、騎士ホラインは思案しながら空き家に入る。ところが男はまだ寝たまま。そればかりか少しも動いた様子がない。
ホラインは不審に思い、白髪の男を起こしに向かう。
「これ、起きよ。大事な話が……」
そう言って男の肩に触れた時、ホラインは理解した。
「……死んでおるのか」
男はすでに事切れて、冷たく硬くなっていた。
これも自分のせいだろうかと、ホラインは自責する。こうなるならば、決闘などさせねば良かった。そう思うが、後悔は先に立たぬもの。ゆえに後悔。
ホラインは白髪の男が死んだことを、正直に集落の者に話すと決めた。死体を置いて一人去ることもできたが、騎士として無責任なふるまいは許されない。
◇
ホラインが白髪の男の
しかし、男の死体を見ると、みな動揺をあらわにした。
「そいつはどうした?」
「死んでおる。復讐を果たせなかったと思い込み、失意のうちに死したのだ」
「……それならば、その死体は置いてゆけ。そうすれば、お前のことは見逃そう」
「死体をどうするつもりなのだ?」
「お前の知るところではない!」
そう言われ、「はい」と応じるホラインではない。
「亡骸を
ホラインと若者たちはにらみ合う。
そこへ族長の子が間に割って入った。
「やめないか! 族長の最後の言葉を忘れたか!」
だが、若者らは聞き入れない。
「これはメンツの問題ぞ」
「よそ者が我らの身内に手を出せばどうなるか、見せしめねばならんのだ」
「八つ裂きにして野にさらす!」
いきり立つ若者たちに、ホラインは言う。
「どうか許してくれないか。復讐に囚われすぎれば、どうなるか……この男が身をもって示している。この男は――」
ホラインは白髪の男のこれまでを語る。
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