チェウの大湖
そんなこんなで二人はチェウの大湖に着いた。平原に広がる大湖は大海のよう。対岸は遠くかすんで見える。
岸辺には多くの野生の動物が群れていた。はではでしい水鳥に、黒い水牛、レイヨウ、シマウマ。ここは荒野のオアシスなのだ。
ホラインとビリーは二人、動物を刺激せぬよう茂みに隠れ、様子をうかがう。
「怪物はここにいたのか?」
「ええ、そうです。その時はたった一匹で、なぜか他の動物はいませんでした」
「では、今はいないということか」
「そうですね……見当たりません」
二人はしばし隠れたままで、怪物の出現を待つ。
◇
時は経ち、日は頂点に達した後、ゆるゆると西へ沈む。昼下がりも終わる頃、動物たちの姿はまばらになってきた。
ホラインは待ちくたびれて大あくび。一方でビリーは気を張り、待っている。
やがて動物は数匹になるも、状況には変化なし……と思いきや、みな一斉に何かに気づいて顔を上げ、一目散に逃げ去った。
これを見てビリーは横のホラインの肩を揺する。
「何か来ますよ!」
「ああ、わかっておる。そう慌てるな」
ホラインは震えるビリーの手を払い、じっと湖を観察する。
現れたのは、不気味な獣。真っ黒い大きな体に、長い首を地に這わせ、のろのろと歩いてくる。
ホラインはビリーに告げた。
「うわさ話が本当ならば、あの目を見ると死ぬらしい」
「えっ、そんな!」
「あくまでうわさ。真偽のほどはわからぬが、いざとなったら逃げれば良い」
「ホラインさん、何をなさるおつもりですか?」
「どれほど危険か確かめる。凶悪な害獣ならば、今この場で滅さねばならん」
ホラインは茂みから出て、うわさの幻獣カトブレパスに立ち向かう。
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