子女に優しく紳士たれ
ホラインは気まずくなるも、抜いた剣を納めはしない。
「いかに相手が女とて、卑怯なまねは見過ごせぬ」
「女に剣を向けるのは卑怯じゃないのか、騎士様よ」
女剣士はホラインに向け、エストックを軽く突く。
ホラインは剣と盾で受け流し、苦しまぎれの言いわけをする。
「剣を納めよ。そなたと戦う理由はない」
「こちらはあるぞ。さんざん人のやる事にケチをつけておきながら、今さら弱気になられても、容赦するわけにはいかぬ」
女剣士は少しずつ突きの速度を上げていく。
受け続けるのも限界で、ホラインは反撃した。
「かかって来るなら、こちらとて容赦はせぬぞ」
そう言いつつ剣を振るも、女剣士はひらりとかわす。当たるどころか、かすりもしない。かなりの腕前。
「何と立派な騎士様か。女に傷をつけぬため、剣を狙って打とうとは……浅はかな。あまりにも見え透いておる」
かさにかかって攻め続ける女剣士に、ホラインは堪忍ならぬと、手心を加えながらも胴を狙う。
しかし、やはり加減しては当てられない。女剣士は勝ち誇り、にやりと笑う。
「おや騎士様……今、胴を打たれたか? 女相手に騎士ともあろうお方が、まさか負けを恐れて?」
これはもう言いわけできない。すっかり気が萎え、ホラインは剣を納めた。
「女と思い、あなどった」
「まだ勝負はついていないが、ここで負けを認めるか?」
女剣士は剣先を宙でもてあそび、確実な勝利を決めにホラインの首筋に突きつけようと手を伸ばす。
しかし、彼女はホラインの力強いまなざしに危険を感じて手を引いた。
ホラインは逆に笑って問いかける。
「いかがなされた?」
「女ごときに剣はいらぬという事か」
余裕を見せるホラインに、女剣士は憎々しげに言い放つ。
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