後日談
その翌日、騎士ホラインは騎士団に呼び出される。
何用かとベレトの城に出かけてみれば、ひげ面の騎士団長がお出迎え。
「騎士ホライン、城下での私闘は固く禁じられている。騎士の剣は見せ物にあらず」
騎士団長の説教に、ホラインは返す言葉もなく沈黙。
酔っ払いや荒くれにからまれるのは騎士の常。無視して相手にせぬものと、騎士の間で決められている。
だがホラインは騎士の法に反するとわかっていながら、あえて乗った。
「申し開きがあれば聞く」
騎士団長はホラインに情けをかける。
しかし、彼は
「いえ、浅はかでありました。調子づく若者に痛い目を見せようと、心が
やれやれと騎士団長はため息をつく。
「あの若者、相手がキミで良かったな。負けを知らずに増長を続けていれば、どこぞの
「いえ、それは買いかぶりにございます」
否定するホラインを見て、騎士団長は苦笑い。
「ああ、そうだな。いかなる大義名分あれど、無法は無法。まねをする者が現れては困る」
「はい」
「騎士ホラインに厳罰を命ず。一つ、今より
「……騎士像の修繕費、もういくらか負かりませぬか」
「いや、ならぬ。本来ならば、全額百十二枚のところ。差額は騎士団の有志が負った」
「かたじけない」
「以後、気をつけよ」
ホラインと騎士団長はともに
金貨以外の厳罰は旅の身のホラインには軽いもの。
これにて騒ぎは一件落着。
◇
また数日後、弓使いラムシハンの騒動もすっかり収まり、ホラインは再び流浪の旅に出る。今度は南、ダレスの国へ。
彼の旅が終わる時は、その命が終わる時。
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