後日談
ハバーロを出たホラインは、バイダの都に折り返し、次なる旅の目的探し。酒場の主人にあれこれと、うわさ話をたずねていると、そこへドタドタとダーバイルが駆けこんで来た。
「あっ! ホラインの旦那、ここにいましたか! ああ、大変、大変なんです!」
「おお、ダバか。いったい何があったのだ?」
そこへさらにもう一人、息を切らして駆けこむ者が。ダーバイルの後に続いて現れたのは、何と質屋の若旦那。二人そろって青い顔。
ダーバイルが舌を噛みそうな早口で事情を話す。
「それが金貨が無いんでさぁ! 竜の宝玉を売った金! 質屋とオレと旦那の分、しめて金貨一万枚、まるっと消えちまったんで!」
これを聞いてホラインは、天を仰いで大笑い。
「そう来たか! なるほどこれは傑作だ! やはり悪魔は信用ならぬ」
「笑い事じゃあ、ありやせん! いったいどういう事なんで?」
困惑顔のダーバイルに、ホラインは
「ラビターンが言っていた事を思い出せ。無い物ねだりはできないと、はっきり言っていたろうに」
「へえ、そりゃ……つまり?」
察しの悪いダーバイルに、ホラインは苦笑いした。
「ベレトの王が願った金貨一万枚。その
「ああ何と! そりゃあんまりだ!」
ようやく事情を理解して、ダーバイルは頭を抱えひざを折る。一方で質屋の若は何が何やら惑うばかり。
ホラインは涼しい顔で締めくくる。
「これで全ては元の鞘に納まった。竜の宝など初めから無かったのだ。顧みるに、我が王はやはり
大金も高価な玉も、旅の友にはなりやせぬ。
彼はホライン、冒険騎士。まだ見ぬものが彼を待つ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます