古城へ
冒険騎士ホラインとトレジャーハンター・ダーバイルは古城を目指し、サーコーの山に登る。誰にも知られぬ古城というだけあって、そこへと続く山道は険しく荒れ果てている。
獣道のごとく草木に隠れているだけならまだしも、ある所では断絶し、ある所では右に左に曲がりくねって何本にも分岐して。
それでもホラインとダーバイルは物ともせずに進んでいった。沢を渡り、崖を越え、道なき道をひたすらに。
「さすがは冒険騎士様だ。途中でへばると思いきや、まだまだ行けるというお顔」
「そうでなくては、冒険騎士は名乗れまい。長旅も山歩きも慣れている」
「なるほど、そいつは頼もしい。さあ着きましたぞ、ご覧あれ」
そう言ってダーバイルが指した先には、土と木に覆われた古びた巨城。大きさだけなら都の城にも引けを取らないが、ほとんど土に埋まっている。
ダーバイルは城の中へと続く大きな洞窟に、ホラインを案内する。
「ここから中に入ります。ついてきてください」
松明を灯して進むダーバイルの後を、ホラインは慎重についていく。
洞窟の壁と天井は石造り。ここもかつては城の一部だったとわかる。
ホラインは先を歩くダーバイルに問いかける。
「ところでダーバイル」
「嫌ですね、ダバで結構と言ったはずですが」
「ではダバよ、ここには何があるというのだ?」
「何ってそりゃあお宝ですよ。いきなり何を言うんですか」
「宝だけではあるまいて。そなた一人ではどうにもできぬ、危険な何かがあるのだろう?」
ダーバイルはそこで初めて振り返り、弱った顔を彼に見せた。
「……さすがは冒険騎士様、ご明察にございます」
「媚びへつらいはやめろと言ったはずだが」
「こいつは一本取られました。旦那に何とかしていただきたいのは、宝の番人で。なぁに正面からバカ正直にやりあうことはないですよ。ちょいと時間を稼いでいただければ、その隙に」
そんなことだろうと思ったと、ホラインはため息をつく。
「そんなに手強い奴なのか?」
「そりゃあもう。オレの勝手な見立てですが、あれには城の兵士が束になっても敵わないでしょうね」
「ふーむ、そいつは楽しみだ。ぜひとも手合わせしてみたい」
不敵に笑うホラインにダーバイルは苦笑い。
「自信があるのは結構ですが、どうなっても知りませんぜ。オレは戦いは専門外。何かあってもお力にはなれません」
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