第10話 難病の治療

皆さんも、もうお分かりと思いますが。

大多数の難病は、原因が不明です。

原因がわからないので、治す方法もまだわかりません。

せめて、症状を楽にするお薬でもあればと思いますが、それすらありません。

こういう状況は、人間を不安にさせますね。

自分がなぜ病気になったのか、これからどうしたら良いのか。 

何もかも、不明です。

もちろん、お薬が出来て、少しは治療が出来るようになる。

希望は、捨てられるわけありません。

しかし、大多数の難病患者は、とてつもない不安と悲しみ、夢も希望も持てないことを知り、絶望して、寝たきりになる。

作者の周りには、そうならない難病患者がたくさんいます。

神経難病患者が多く入院している病院に訪問すると、あまりの静かさに、少し怖さを覚えます。

動けなくなる神経難病では、ドクターの思いより早めに、寝たきりになる患者が少なくありません。

不安と絶望から、寝たきりを選ぶのでしょう。

ただ、作者は考えます。

未来将来を悲観して、自殺する患者がなんと多いかと。

それはたしかに、未来はありません。

夢とか希望は、まず間違いなく叶わない。

たとえば明日、新薬が発見されたとしても、一般的に使えるようになるには、30年はかかるでしょう。

現在発症している患者は、そんなに生きていられるのでしょうか。

もちろん、発症直後で年齢もまだ若い患者なら希望は持てなくもないのだが、それでも、30年というと、病気は少なからず進行している。

となれば。かなり劇的に改善すること。もしくは、治癒するお薬でないと患者にとっては、さほどの意味はないのです。

SBMA(球脊髄性筋萎縮症)にも、昨年(2018年8月)数十年待ちに待ったお薬が承認されました。

そのお薬は、元々、子宮筋腫や子宮ガン・前立腺ガンの治癒薬として使われていたリュープリンという注射のお薬です。

研究によって、遺伝子CAGの異常伸長が男性ホルモンのアンドロゲンの受容体に影響していることがわかり、もしかしたらで、アンドロゲンの受容を抑制する効果があるお薬ですので、マウスで実験の結果から、SBMA(球脊髄性筋萎縮症)の進行を遅らせることがわかり、臨床を繰り返し、ようやく使用承認されたのですが。

たとえば作者は、すでに、ほぼ全ての機能を失っていた。

発症から、だいたい15年ぐらいで、完全に車椅子生活になると統計上は、わかっている病気で、発症後、すでに18年と推定される作者の場合、進行は、ほぼ最後に近くところまで行っていたのかもしれません。

約1年間で、8回の注射をしたが、作者自身が、徐々に悪化していることを実感しているしだいです。

約15年で、完全車椅子生活になってからの症状の変化は、どんな資料にも掲載はありませんので、作者自身も、自身の現状把握が出来ていませんでした。

SBMA(球脊髄性筋萎縮症)においても、早期発見と早期治療が、かなりの運命を握っているようです。

早期発見なら、リュープリン注射で進行を抑制しながら、医療用ロボットHALで立ち上がりと歩行のリハビリをすれば、ほぼ悪化せずに平均寿命までいけるのではないかと考えております。

神経難病の専門病棟があれば、すごく静かなことに驚かれると思います。

入院患者さんの約9割が寝たきりです。

騒々しくなれないのです。

神経難病の患者さんの場合は、とにかく精神的な支えが必要です。

神経難病は、プロの専門家ですらわからないことだらけです。

当然、家族や友人からの理解が得られるはずがありません。

とにもかくにも、孤独感が、強烈な敵になります。

作者が皆様にお願いしたいことは、おおよそ病気というものは、難病に限らず、生命にかかわる病気でも、早期発見早期治療で、かなり軽減できるということです。ですから、病院に行かないことを自慢するようなことはやめて、早期発見と早期治療で長い健康寿命を確保していただきたいということです。

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難病ALSの影に隠れて 近衛源二郎 @Tanukioyaji

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