【異世界結婚式】600字以内

雨間一晴

異世界結婚式

「この聖剣も、もう使わないで済みそうだな」


「そうね、でも、白いタキシードに、黒い聖剣バロムワーツがよく似合うわ、素敵よ、あなた」


「君も純白のドレスが眩しいよ」


「そんなありきたりなセリフで、喜びませんよ、全く」


「はは、君は嬉しくなると、エルフの長い耳がパタパタ揺れるから、可愛くて仕方ないよ」


「うるさい!早く指輪をはめなさいよ!」


「やれやれ、お姫様がお怒りだ。これをどうぞ、私のお姫様」


「ふん、分かればいいのよ、あんたも早く指出しなさいよ」


「へいへい、ムードってものがあるだろ、そういうとこ、小さい時から変わらないよな」


「おほん、ここに、魔王を倒した二人の婚約を認めます。では、誓いのキスを」


「早くしなさいよ」


「お前なあ、ムードがあるだろ、かかとあげろ」


「うるさい、うん。……ん。ふふ、愛しているわ、あなた」


「俺も愛しているよ。結局可愛いからずるいよな、お前」


「うるさいわよ!」


「大変です!我が空中都市に、見たことのないドラゴンが現れました!」


「やれやれ、夫婦初めての共同作業とするか」


「ええ、そうしましょ。ふふ、少しは手応えあると良いのだけど」


「そうだな。あ、ごめん、ちょっとトイレ」


「あなた、こんな時に余裕ね。ふふ、待ってるわよ」




「ふう、可愛いなあ、エルフ。はあ、現実にも居ないかな。結婚してえなあ。VRの向こうが現実なら良いのに……」

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