第2話流れ星

そんなこんなを考えながら、父とホテルの大浴場に入った。僕は、すぐに体をシャワーで洗い流し、後から42℃熱めと書いてある温泉に浸かった。後から、父も入ってくる。父の方から、「そろそろ露天風呂入ろうか。」と言われ、僕は「うん」とだけ頷き、露天風呂に向かった。


 目の前が沼で、上を見上げると、星が輝き、辺りは紅葉で色気づいている。そんな、ハイパーグレートな露天風呂で、流れ星を見た。これは生まれてから初めての経験だった。それは、赤く光っていて幾分、ゆっくりではあったが、これは流れ星だど信じていた。そして、父にもこれ告げると、「じゃ、願いごと3つしなきゃ。」と言った。僕が、思いつく願いごとなんて1つに決まっていた。She と付き合いたい。She と付き合いたい。She と付き合いたい。しかし、隣の湯船に浸かっていた60代くらいの白髪のおじさんから、「あれは飛行機だね.......。」その一言で僕のロマンスは、虚しく崩れさっていった。


 おじさんは、僕のロマンスなんてお構い無しに、ありったけの星にまつわる知識を僕と父にレクチャーしていた。「あそこに、見えるのが天の川で、あれが北斗七星、それからあれが彦星。」父は、熱心に聞き入っている。前方では、体を上下に動かしストレッチしている、小太りの男性。僕は、飛行機だったことが、脳裏から離れない。She のことが頭に浮かぶ。次に、また飛行機がやって来た。今度は明るい白いライトを照らし、明らかに''飛行機ですよ''と分かるように僕たちの頭上を通過していった。最初からそうすれば区別がつくのにと、僕は不満をこぼす。結局、館内の説明を最後にShe に会うことはなかった。また流れ星見つけるぞ。やるせない思いはあったが、僕はそう思った。次の日、僕はいつ来るかもわからない青森に思いを馳せ新幹線に乗り込んだ。僕はきっと、探せる。流れ星も彼女も青森で。そして、居場所が分からなくなったら聞くんだ''Where is she ?''ってね。

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流れ星ロマンス カネコ @kaneko_1

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