四つの世界と四番人
世界は四つあった。
サイン、ガルド、ベール、ヘルムの四つの世界と、その世界を統括する四番人。
この制度が始まったのは、約135憶年前。
二千三十一年現在、の番人は、
サイン 紅葉柱
ガルド 天上
ベール 数色
ヘルム 左利
の、称号を得る。
紀元一年
四番人は百三十五憶年の歴史の中で一度も変わった事は無い。
紅葉柱 夜
天上 善悪
数色 波
左利 徹
は、四つの世界を、任された。何者かがその制度を作り、彼ら、彼女等は、任命された。それ以来、白の空間で、真理の探究を続けた。或る者は、知性と心、感情、欲望、生と死のある人間を作り。或る者は、不老不死の機械人アイアンを創った。また或るものは、龍や、鳳凰、麒麟、霊亀などの動物を作り、或る者は、死の世界を創った。
其々の世界には、宇宙があり、星があり、物理法則があり、生物か機械かの自律的に活動し文明を作る者を住まわせていた。
アイアン族に、人間、妖怪、完全な知能を持つ機械、悪魔、天使。
そのいずれもが、最終的に人間の能力を参考に作り直された。人間の心。人間の精神。圧倒的力を持つ、他の者に比べ弱者であった人間を、四番人は最高傑作だと称賛した。
白の空間の碑文には、 文字が刻まれる。 時空を超えて、この空間の未来が記述されるのだ。
「天上 一。これは一体何者だ。この四つの世界を終わらせる。この少年は。一体...。」
「この、白の空間に入れるものは、ガルド界の不始末でこの場所に気づいてしまった、人間 だけだ。神賀峰財閥の神賀峰 悟とその娘の神賀峰 聖 だけだ。」
これは、千九百九十九年 三月 十一日のこと。
時間の概念の通用しない、時間が自由に操れる、白の空間に於いて、日付などあってもないようなものだが、その時分の話である。お腹の中で、天上 一の胚が出来たのもこの時分のことであったと記憶している。御母さんになるんだと思った。耳ヶ里 ミクルは、彼の事大事に育てた。
耳ヶ里一族の絶滅。
耳ヶ里 夜風は、反逆者。四番人の住処。その中央ガルド界の高い塔を破壊し、世界秩序を崩そうとした、ガルドの政府は彼を追放し一族と関係者諸共殺した。
ミクルは苗字を,笹見原に変えた。
それが、千九百九十年 七月三十一日の事であった。一は生まれた。
ミクルは、天上一族の当主、天上 与一と子を残したことを隠して、国を抜け、子供に無限転生の力を授けて、死んだ。これにより、一は正解の未来にたどり着くまで、何度も人生を経験する能力を手にする。正解の未来は、天上 一が四番人になることである。ミクルはこの無限転生、人生リセットの力で、三千年前の時間を経験していた、その間にこの世界に四番人が存在すること、この世界がガルドで、その他に三つ別世界がある事をこのガルドから見た異世界のサインの来訪者、 紅葉柱の家系の、アナスタ家初代棟梁、ドミナント・ミリクリン・アナスタシオンの乗ってきた船とその古文書から、私は推察し、その船を改良し時空を超えたことで、三つの三原色の世界を創り、この世界の真実に辿り着いた。
しかし、全世界の統治者からの追放を受け、私は死んだ。死んで蘇り、また死んだ。そうして、何とか、天上の家系と接触し、三原色の世界を創り、決戦の準備を整え終わった頃には三千年の月日が流れていた。
私は、予言どうり、自身と天上 与一との子供に天上 一と名をつけ、無限転生の力と、魔力を授け死んだ。私の後継は笹見原財団の研究により開発された、デジタルワールドにより復元しその箱として、小さな女の子の箱にデータを入れた。この女の子は、生体実験の結果偶然、私のデータと99%一致した人間で、この体に私のデータと魔力を入れた。
そして、予言と違う事件が起こった。それが、数色 波による命の実の完成と、西條 茂樹の発生であった。この西條 茂樹は異端中の異端で、生まれてくるはずではなかった、其れがこの世界のバグとでもいうべきなのか、あのような、能力者を生み出してしまったのだ、奴は私の計画より、二千年早く、四番人の存在に気づき、思念によって、時間を遅らせ、四番人の持つ鍵の権限を解読し、世界の権限を獲得していた。
四番人でさえその高度なハッキングに気づいていない。
完全に、四世界は乗っ取られたのである。
これは、想定外だった。すぐさま与一と私は討伐部隊を編成し、西條 茂樹討伐に向かった。茂樹は、未だ五才の身なりをしていたが、実の年齢は世界のはじまりからであり、無限に近い、四番人と同等の時間感覚の人間である。
その、力は時間の錬成から、加速、失速、マイナスのエネルギーによる時の逆流空間のマイナス操作、空間の歪曲、世界最強化と思われたが記憶喪失魔法により、記憶を奪い、何とか難を逃れた。
その後、茂樹は天上家に住む事となり、数色 司、天上 一、西條 茂樹の三人は、同世代で切磋琢磨し、遂に、その四番人の住処を当ててしまう。茂樹は、四番人の手により、存在そのものを消され、実験としてロボットに改造された。司と、一は逃げに逃げて、海辺に戻た。波の音が海からの風が、強く吹いていた。
ミクルは、ガルド界に国を創り。ガルドの中央政府との決戦の準備を進めた。国名は、日の国。一は母は幼い頃に死んだものと教えられていた。が、ミクルは、日の国の建国者であり、支配者でもあった。
呪われた体。解けない術式の組み込まれた体。この体は、世界に呪われた人間の体。魔力の異常に高いこの体。私は雪の降る寒い極東の街に生まれた。幼い時から、魔物が見えた。或る日、魔物に食べられそうになった、誰も助けてはくれなかった。魔物の餌になるところだったが、精霊が私を包み込み、魔法を覚えた。業火に包まれ魔物共は消えた。
私の魔力の高さに気づいた、ミクルという機械のデータがいた。そのデータは自律できて、高度な知識と頭脳を持っていた。霊感からこの人は元人間で、三千年は生きていると分かった。
「あなたの体を私にくれないかしら。住まわせて呉れないかしら、あなたの箱にこの私を。」
その機械は、自分の体と魔力を子供に託して、機械に記憶のデータをインプットして魂だけ人形で代替してあるようだった。
「厭だ。これは私のものだ。」
「あらそう。私は物知りよ。あなたの知らない世界の知識もある。私をあなたのなかに飼ってくれないかしら。」
「いやだ。きっと。精神を乗っ取られるんだ。」
「残念だわ。」
「死ね。ばばあ。三千歳のくそばばあ。」
ミクルは困り果てていた。体が見つからない。此の儘では、計画が。私は手に掛けた、幼い少女を殺して、箱として魂を宿らせた。通常人間は一つの体に一つの魂しか宿らない。少女の体は、二つに分裂した。
「私の体の半分を返せ。貴様,笹見原 ミクル。」
「半分の力でこの魔力か。しかし、半分では不十分だ。」
「私を喰え。闇夜 斬流、私の押しつけの願いを聞いてくれ。」
「それは、何だ。」
「国を創り、一を導く。其れを、私は使命としている。しかし、私には体がない。だから、私の記憶と魂を授ける。私の代わりに世界の終焉へ時を変えてくれないか。」
「ヤダね。そんな、事したくないやい。」
「強くなりたくないのか。私を喰えばお前は知らない世界の魔法も技術も知れる、その魔力があれば使える。」
「私はそんなに貴重な、存在なのでしょうか。確かに五歳の頃から成長は止まりました。魔力の高い私の家系は身体の成長が魔力量と反比例しています。其の為、闇夜一族は、気味悪がられます。身長も体格も子供の儘大人になるからです。」
「そうだ。闇夜一族がどうして、そこまで高い魔力を持っているのか知っているか。」
「其れは、禁断を犯したからと、聖書にかかれています。」
「そうだ。闇夜の一族と、耳ヶ里一族はともに呪われた魔力の家系。魔力の実。デスフルーツを食べた悪魔憑きの始祖だ。」
「耳ヶ里は、滅びた。君も知っているはずだ。世界中で報道されていたからな。」
「私は、唯一の耳ヶ里の生き残り。半分以上は死んだも同然だが。魂だけは、逃れた。」
会話が続いた。耳ヶ里の生き残りが居たのかと、闇夜 高貴は驚いた。滅びたものかと思っていたと感嘆し、事の次第を聞いた。
「あなたの、事と、デスフルーツのこと、一族の伝承と、闇夜と耳ヶ里の因縁。」
紀元前 三千三十一年の、或る夏の日の事。其れは起こった。あの探検隊の宇宙探検団の派遣と、地球に振って来た巨大隕石を破壊する為に犠牲になった古代文明の記憶である。古代のガルドに高度な文明があった。その文明は地球を一周し、宇宙に舟を飛ばし、探検隊を派遣した。探検隊には、高位の能力者が用意された。科学より魔術の盛んだったこの頃は、重力魔法により中を浮き、空を飛んだのだ。
しかし、宇宙はあまりにも過酷な為、一部の優秀な科学者に舟を作らせ、その舟に乗り宇宙探検団五人を決める倍率一万はくだらない試練を課した。其処を通過して探検団に選ばれたのが、闇夜 幻夜 、耳ヶ里 峰子、笹見原 海渡、黒悪 花子、黒柱 叶である。五人は舟に乗り宇宙中を旅した。
宇宙は、途轍も 無く広かったが、探検団は、レーダーにより、高度な文明をもつ星だけを回った。
千年後の、紀元前二千三十一年頃。其処の星の住人達は、赤星銀河団といっていた。銀河の始まりの樹の星 樹星 に到達した探検団は、驚いた。
「此処は、一体。」
旅をはじめて千年が経過していたが、魔力による老化抑制の為、彼らは実質の歳は取っていなかった。魔力持ちは不死身か。というとそうではない、事故や、呪い、大きな物理的攻撃により絶命する。現に彼等が星を出発後、三十一年後に巨大隕石の落下により、地球上の魔力持ちは、魔力の大半を失った。その石は、魔力を吸収する、不思議な魔石だったのだ。
「樹だ。それも、生命を作り出す。原初の樹。」
此処で全ての生き歳生ける、生命の設計図が作成されているのか。宇宙の全てがここで創られ、其れが転送され、別の世界で具現化する。この世界の全てが随時製造され、消えていく。
「これは、なんて綺麗な木の実なんだ。」
そこは、多くの樹が立っていた。林檎の樹にそっくりな樹であった。其処に輝く虹色の木の実デスフルーツが実っていた。
其処に住んでいた、長老の宇宙人、容姿は丸い形で空中を浮遊しており、目がカメラの様なレンズでできており、口や耳、が無い代わりに、孔が開いておりそこから、スピーカーとオーディオインターフェースの様に、音を出したり受信する、機械のような生き物が、やってきて、
「その木の実を食べてはなりません。死にますよ。」
其れは、言語を扱った。
「如何して、地球の言語が話せるんだ。」
「天上の作った星の人間の言葉わかる。我々は、此処の監視人。実験場の見張り人。この木の実、魔力値を引き上げて異常にする実で、喰った人間死ぬ、肉体と魂が魔力に喰われて死ぬ、決して触ってはならない、喰ってはいけない。」
「ご忠告ありがとう。」
この隊の隊長の闇夜 幻夜は言った。
隊は、隊長、副隊長、戦闘員、技工士、医者の五人で編成される。
「この星の生命は何という名前で、如何して、我々と意思疎通ができるのか?」
「其れは、簡単な事ですよ。かつて、人間が我々を創ったのですから。」
「かつて、或る四人の人間がこの宇宙の最果て迄来ましてな、その時彼らはこの木の実を食べて強大な魔力を手にいれました。しかし、其の代償に体が縮んだ。彼等は相当な修行を積んだもの達で、この世界の覇者、四番人だとかなんだとか言っていました。四番人というのは、神のような存在で、この世界の始まりの樹に魔力を与え、実った実を食べに来たのです。この実を食べるにはあなた達は弱すぎる、この星の隣の惑星 デスノックで生き残れた者しか、食べられない実だ。試しにその樹に近づいて見るといい、身体が弾き飛ばされ、粉々になってしまう、様々な周波数の波が色になって、物質を無に帰すのだ。」
この、丸い機械。アイアンロウンド族の統領、クロッカスはそう我々に助言した。この宇宙探検の目的、使命は、宇宙のデータを集め、地球の社会生活、科学技術に貢献するという大義の上にあった。
「私は、強くなりたい。」
闇夜 幻夜はいった。地球では、一位、二位を争う魔力の使い手であった、幻夜は、己の鍛錬を更に積みたいようだ。他の四人も賛成だった。
そして、デスノックに旅立った。
デスノックには、猛獣や、古に伝え聞いていた、化け物が棲んでいた。五人は其々、別々に修行した。その修行により五人の能力は大きく向上した。
デスノックには、高度な技術をもつ職人や高度な医療、化け物との闘技場、があり、各々は修行した。
その、六年後、彼らは樹星にやって来たが、その時、その惑星は、滅びようとしていた。何者かの襲撃によるものであった。木の実は僅か二個しか残っていなかった。その二個を誰が食べるかジャンケンで決めた。
「そして、その力を得たのが、闇夜の一族と、耳ヶ里だってわけだ。」
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