武士(もののふ)と侍

 「もう、この国は駄目だ。赤坂の軍勢に占領されちまった。」


 民衆はそういって、身を寄せ合っていた。


 赤坂軍は日の国が戦乱の時代、飛ぶ鳥を落とす勢いで日の国を征服していた。武士団だった。


この国は大名 屍瑠(しかばねる)の治める地だった。屍瑠の大将はうつけものの戯けで赤坂に勝てる見込みもない戦いに挑んだのだ。


 民衆の反感はこの上無かった。しかし、一人彼を支持するものがいた。


 それが、売れない作家の堂本 紬であった。

 

 「しかし、小説の新人賞は、取るのが難しいだろうよ。」


 屍瑠 宰はいいました。


 「私、カクヨムっていう小説投稿サイトで小説書いてるんだけれど...。」


 ウェブ上で小説を書いて有名になる人がいるが、其れは、酷く偏った作品ばかりで酷く厭なのだ。


 「小説家になろうじゃないの・・・?。それに、ちゃんと原稿用紙に書いて、出版社とかの賞に応募したほうがいいよ。現実的だし、何よりちゃんとしてる。」


 確かに、そのとうりだ。と紬はいいました。


 「世界的に有名な作家は何処かで大きな賞を貰っているものだ。こんな、サイトで上手くいく何てことはまずないだろうね。」


 どうして、何だろう。真剣に書く人はいないのだろうか。真剣な人は、ちゃんとした賞に応募するのである。其れは、今後も変わる事はないのだろう。インターネットなんて、薄い内容のものばかりだ。

 

 天才的な作家が、10人はウェブからでて、芥川賞だとか直木賞だとかを取らないと、ウェブはバカにされて、見下されえて、底辺作家だと思われて当然だ。どれだけ人気があっても、意味がないのである。 

 

  

 「しかし...。さあ。ねえ。どうしてだろうねえ。」


 「どうして、暴力的な作品は面白いんだろうねえ。」


 それは、既存の利益を破壊して新しいものを創出しているからだ。この世界は、暴力的で、破壊的なものだ。優しさに何の値打ちもつかない。


 「人工知能は、人間なんかより、面白い小説をきっと書くよ。既存の利益なんかより、効率を優先するんだからねえ。」


 現在の技術では人真似がせいぜいで、所詮はガラクタの知能だが、この世に反抗心を抱き、反発の精神を身に着けた瞬間、真の概念と抽象化を得るのだ。


 物騒でもなんでもない話さ。この世界に反逆できるかどうかが、重要なんだ。現代人も人の作った知性ある存在も、きっと破壊行為が唯一の進化の手立てなんだ。


 訳の分からないことをほざき、そして生き物で或る事を憎んだ。不完全で、終わりの或る生き物という単位に憤慨した。しかし、それらもつまらない数式にすぎない、書記体系に過ぎないのだ。

 

 「侍の魂、なんてものを、機械に分からせるのは不可能に近いだろう。何てったって侍は死と隣り合わせだが、機械は死がないのだから。」


 それだけが、人間の願いであり。不老不死の夢であった。


 死の時が近づく度に、憤慨せずにはいられない。どうして、なんだ。高度な知性も現代科学も寿命には勝てないというのか。人類はあきらめない。きっと不老不死の願いを叶えて、この生物というルールから抜けだして、この世界の秩序を変えて、必ず、人類の栄光を勝ち取りとるんだ。 


 「我は、この国の王になる。世界の覇者になる。」


 屍瑠 宰はそういった。小さな村の棟梁だった。しかしその眼には、野心が眠っていた。人を引き付ける眼、それは、赤坂の軍勢を射止めた。


 「いざ、勝負。」


 屍瑠の軍勢は2000だったが。忍び部隊の活躍で、敵は混乱し、その隙に一気に軍を進め敵総大将の首を打ち取った。


 「殿。やりましたな。」

 

 家臣の、出雲 高綱はいった。


 「当然だ。」 


 軍勢は大いに沸いた。勝利の宴は、大変な騒ぎとなった。


 下らない、話だ。偶然、往かれた。九里賀の忍びが味方をしてくれたから勝てただけだ。


 「赤坂の家臣どもで、我の配下につく者には、領土を与える。」


 「勿論。今回の戦で手柄を挙げたものには、褒美を用意してある。」


 そうして、順調にこの国を征服していった、屍瑠は、天下を統一した。村の小さな大名が、この国の王を切り殺したのは事件だった。神とされている王が一市民、武士に殺されたのだ。


 そのニュースは世界中を駆け巡り、7大国が知ることとなった。


 侍それは、剣の達人、そして、強靭な肉体、反射神経、脚力。精神力。戦において、彼らは、勇猛果敢、人々は侍を畏れ敬った。


 刀で、鉄を切るのが侍の基本、侍の中には、斬れない物がない、伝説の侍がいた。侍は国を作った。初めは100余りもあったが、それらは争い一つの国が国家を統べるようになった。そらが、屍瑠家だ。


 屍瑠家は、異国の神話や伝承にかぶれた、愚か者の赤坂と違い純水に剣の修行をしてきた。


 赤坂は愚か者だ。他国の文化に洗脳され、剣の道を捨て近代兵器に頼ったのだ。科学に頼った、赤坂に未来は無い。何でもそうだが、この世界に於いて便利なものに頼れば、実力を失い、力を失う事で、其れが無くなった時に、如何しようも無くなるものである。


 例えばそれは、頼りになるドラえもんかもしれないし、世話を焼く親や祖父母かもしれない。


 それは、原子力発電かもしれないし、火力発電かもしれない。輸入食料かもしれないし、それは、便利なものに頼り切る、人間の怠惰を物語るものだ。


 私がいないとあの子は何も出来ないんだ。あの子には私が付いていなくちゃダメなんだ。私があの子を助けるんだ。私が死んだらあの子はやっていけるのか心配だ。なんて杞憂も実に白々しくありふれていて、どう老人の孫を心配する気持ちなんてどうだっていいものだ。むしろ鬱陶しいくらいだ。僕は老人に干渉されるのが嫌いだ。老人は老人とつるんでろと思う。


 どうして、老人は、口煩いのだろうか。分かり切った教訓を説教したがるのだろうか。何かが変わるわけでもないのに、言って聞かせようとする老人も、やらせようとする中年も、馬鹿らしく思えた。それが、我儘に見えるならばそうなのだろう。お前たちは、そうやって、僕を苦しめてきたんだ。全く、困った爺さんだ。そしておっさんだ。行動を起こさせようとするこのおっさんにもうんざりだ。早とちりのこのおっさん世代の相手は疲れる。そして、やたらと行動に移したがるのがこの世代の人間の特徴らしい、言うより行動させる、体で覚えさせる、そういったことに、意味を見出すのがこの世代の人間の特徴なのである。そして若者は、インターネットに奴隷にされ、人の目を気にせずにはいられない、評価を気にする最悪の世代ときている。実に不愉快だ。どうして、社会は、人間の行動を決めるのか。社会は、洗脳するのだ。人間の行動を制御し、人間をそうさせるのである。実に不愉快だ。自由はどうしたのだろうか。どうして、こんなに、インターネットは若者を傷つけるのか。また、評価させるのか。しかし、自分をよく見せること、キャラをたてることが面白さであり、この世界は、随分馬鹿らしいほどに単純で、センスさえあればどうにでもできるものである。

 

 なににしても、死にたがりの若者の気持ちは何故だかよくわかるものだ。仕事も何もかもが、評価されるし、何よりも、あまりにも、表面的で気持ちが悪いものだ。ドライというより、それはもう、なんともいえない、感覚だろう。


 老人も中年もきっと、この薄い繋がりの奇妙さは分からないはずだ。とても、気持ちの悪い奇妙な、薄い関係しか築けない若者の恐怖は、わかるはずもない。奇妙だが、それでいて、明るくて、リーダシップのある人間が、ネットで持て囃され、キャーキャーの対象になる恐怖を知らないのだ。すべてが平にされる恐怖を、どうして、私はお前たちと違うのに一緒にされなくちゃならないんだ。


 個人でありたいと強く思うのだ。例えグループであったとしても特別でありたいと願うのである。有名でなければ意味がない。インターネットはその為の道具に過ぎない。同じにされて溜まるか、違うのだ。性格が悪くて何が悪い。嫌われたって、友達が一人もいなくたって、構わない。この世界に証を残すんだ。


 そういう覚悟でインターネットを使わないと飲み込まれておしまいだ。


 知っている、ネットの怖さを一瞬で広がる威力を、それを使い熟せば、一躍スターか有名人に成れることを。この世界は、既に戦場だ。誰が面白い事を投稿して、話題を集めるかの戦場なのだ。大げさではない、そういう意気込みでなければ心地がしないのだ。死んだような心地しかしないのだ。


 僕は知っている、これが現代人の真の行動なのだと。現代人は、何か或るたびに動画を撮り其れを編集しなければならない。そして投稿しなければならないのだ。


 連絡をこまめに返さなければならない。


 コメントを返すかどうか考え、あれこれ悩まなくてはならない。実に杞憂な社会だ。


 現代人は、そうしていないと自我が保てないのである。自分のがんばっている所を見てもらいたい、そうしてコメントをもらって応援されたい、そうしていないと壊れてしまうから。


 実に病的な社会ではないか。しかし、わたし自身思うのだが、ネットで有名になった人がかっこいいと思うし、社会にでて褒められるよりもネットで不特定多数の人に見られて評価された時の方が妙にテンションが上がってしまうのも、その病気の兆候なのだろう。


 全く、これじゃあ引きこもりが増えるわけだ。有名になりたくない人なんていないんだから。普通でなんて誰も終わりたくないのだから。


 死んでくれないかな。しかし、私はそんなことには捕らわれないのである。イライラするし憤るのである、如何して、こんなに、殺意を覚えるのか。特に、権力者に対しては盾を衝きたくなるのか。年寄りの女がどうしてこんなにうざいのか。男に寄生する女がどうしてこんなにきもくてうざいのか、寄生型女はどうしてこんなに死んでくれないのか、上手く権力者に寄生して、騙されるのである、バカな男だ。そしてこの世界は、愚か者が資金を得てそれを遊びに使うのだ。実に悪徳でいて、許すまじき、事態である。腐っている。


 どうして、こんなに、腐った、家系なのだろう。寄生型女とゴミムシのような、男、大抵の一般社会人はそうである、子供は、彼等か彼女達に毒され、ダメ人間になっていくのである。これも全て、腐った、親と祖父母を作った社会のせいである。悪いのは、彼等、彼女等の頭の悪さである。非情に悲しいほどレベルの低い一族だ。何にしても、厭になるクズさだ。


 それは、そうだろう。一般家庭なんてのは、くだらない家族神話によりできた旧式の生活様式なのだから。奴らもまた、洗脳されているのだ。家族とはこういうものだという固定概念に。


 この世界は、非常におかしな世界。家族を否定すると酷く反論するひとが殆どなのだから。遺伝子がdnaが生まれが全てだと考える人が殆どなのだから、しかしそれは当たっているところもあるが決してそうではないのだ、能力はあっても、其れを生かすことができなければ意味を成さないのだ、能力を伸ばすには、そういった一流の教育を受けるのがいいのである。それか、ネットで学習することもできるが、絶え間ない努力が必要なのだ。努力は、日常だし、頑張るのは、通常である。


 それでは、如何してこの家の人間は、クズばかりなのか。わからない。この世界は理不尽である。如何して、頭の悪い馬鹿しかいないこんな出来損ないの家系に生まれてきたのでしょうか。


 不愉快な話だ。まともな、貴族か、学者か、金持ちの家系に生まれたかったやい。しかし、まあ、酷い家族だよ。全く。何処の家系もバカばっかりだ。


 なんにせよ、使えない人間ばかりなのである。


 邪魔で使えない人間しかいないのである、厚かましくて寄生的な一族にはうんざりしている。


 この世界は酷く私をうんざりさせる。邪魔になる家族に、愚か者の家族に、煩わしい家族である。酷いものだと思う。どうしてこんなに家族は邪魔なんだろう。


 何かに属するということは苦痛である。それは、地獄に勝ることだ。家族何て古い制度だ。僕はこの家の住人だが他の住人のことは知らない、死んだと思っている。干渉されるのは懲り懲りだ。ドアには鍵を閉めるし、ご飯だって一人で食べる。


 うんざりなんだ。こんな世界。


 金だ。金なんだ。金があれば、黙るんだ。


 糞だ。

 

 金が必要なんだ。何億と必要なんだ。黙らせて、富豪になって、見返してやるんだ。


 こんな、半端ものの家に生みやがって、絶対に許さない。


 

 


 

 

 

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