忍者の秘密

 忍者其れは、非生命的存在。

 人間の身体能力を遥かに上回る存在。怪物の肉体。肉であるのにそれは鉄よりも、タングステンよりも固い。鍛えられた肉体は、放射線をも通さない。鉄壁であり、かつその格闘スキルとセンスはあらゆる生物を凌駕する。

 忍者の里。九里賀には、忍者が集まる。忍者は殺しあう。強いものだけが生き残る血なまぐさい世界。里では、殺し合いがいつも行われる。人が死ぬのが日常の異常な世界。

 里には、忍者に成れそう人間が国から選ばれ、里に入れられて毎晩殺し合いをサセラレル。国の方もいい忍者が出来れば、他国への抑止力にもなるし、情報集めもできるので、積極的に里に協力した。里は軍事費用をたくさん得ていつの間にか、国も手を焼く存在となっていた。

 忍術には、火、水、雷、土、風の五行と、陰と陽があるが、それらは、人間をやめた者にしか使えないものだ。それぞれの属性のは宝玉があり、その玉は自然現象を封じ込める作用を持つ、その玉に力を吸い込ませる事で、宝玉は色をもつ、赤、青、黄、茶、緑、黒、白。忍術はこれ以外にも霧や氷、引力など多数あるが、大抵の忍者は五行の忍術さえ真面に使えない。

 宝玉は人を選ぶので、命令に従って炎を出したり、水を出すとは限らないのだ。それは、かつてこの世界の設計者がそのようにプログラムしたとされている。

 人間をやめるには、過酷な修行が必要で、手術で細胞を鋼に変えたり、脳をアップデートさせたり、其れは壮絶なものだ。

 そうして狂人にならないと、使える代物ではないのだ。

 まず、宝玉は放射能を放つので生身の人間は近づくことさえできない。機械を使って動かすのが関の山で、ロボットに操作させるしかなかった。

 忍者は、もう人間ではないため、火を噴いたり、水を出したりできるのだ。

 ここでいう、忍者とは、サイボーグであり。かつ、暗殺術の達人の事である。忍者は何が目的なのか。それは、暗殺と強い奴との殺し合いである。

 闇中 暗はアサシンである。幼き時分は、遠い島国の侍の家系であった。が、暗は忍びとして育てられた。音を立てない歩き方。相手の油断のさせかた、行動の読み方...。あらゆる忍としての作法を学んだ。 

 宝玉の存在を知った暗は、細胞の鋼化を行い脳をアップデートさせ人間でなくなった。

 そして、宝玉を使って、忍術を飛躍させた。人智を超えた力に、人間も国家も彼を畏れ追放した。

 行くあてのなかった彼は仮面の集団のアジトへ行きつく。そして、アナスタシアドミナントフスキーに認められ。組織の一員となったのであった。

 

 宝玉を喰うことで、暗は体の細胞単位で変化が起き、完全な能力者になった。日と水と雷、風、土を自在に操った。玉には大嵐や地震、核爆弾、大火事、などの自然エネルギーが丸ごと保存されており、其れを喰って術を創るのだ。


 科学者は陰陽五行説を酷く古臭いものだと糾弾した。忍者など古臭いモノだといった。忍者や侍が活躍したのは、科学が未だ此処まで発展してはいなかった時のことで、其れが超能力を持って戦うのはアニメや漫画の中だけだといってどうして忍者如きが空想の世界ではあんなに強いのか。


 身の熟しは、体操選手の方がきっと忍者の数倍は科学的で理に適っているし、あらゆる点に於いて忍者は時代錯誤なのである。忍者という名称はどうであれ、殺し屋といっても弱そうである、格闘家か、武芸の達人といった処かと考えた。ボクシングだとか空手だとか柔道だとか武道は幾つも在るが、闇中 暗はそういった武道の達人でかつ人間を超えた存在だということだ。


 血生ぐさい、暴力が得意で、殴り合い、蹴り合いが彼の本業であった。そして、突出すべきは、暗殺業である、誰にも気づかれずに殺せるのである。それは、殺意を殺して近づき殺す。蛇のような暗殺拳さえ可能だった。気配を消す事が出来るのである。そして、隙を狙ってひと思いに殺すのである。

 

 音速の3倍のスピードで走り周り、音も発てずにに近づき殺す狙われた人間は自分が死んだことにさえ気が付かないのである。


 空を飛ぶ事も出来るのである。武道会では、逝かれた超人達がどちらかが死ぬまで殺し合うのである、その殺し合いは、忍者の里、九里で行われるのだ。毎年1億人程の武道家が参加し生き残るのは一人である。九里での対戦の前に戦闘ロボと戦い其れに勝てなければ予選にさえ出られない、ロボは鋼鉄でできた人工知能ロボでいIQ180である。腕や足は重火器や拳銃、ナイフ、ハンマー、ロケットに切り替えられ、その威力は、速度3000×重さ100キロで密度は鉄である。


 一溜りもない速度と重さ形状の攻撃をしてきて、知能の高いロボで、それにより生き残るのは、僅か100人程。そこから、トーナメント形式で殺し合わせ、生き残ったのが、闇中 暗である。 


 浮空術が使え、体は鋼鉄、術によって自然現象の一部を操る暗は化け物じみていた。


 「任務だ。」

 そう、告げられたのは昨晩の昼下がりの午後3時頃、化け物のように凶暴で獰猛な巨大生物が棲む未開の地を探索中のことだった。


 担当官の総務省の人間は、長身の180CMに長い髪、切れ長な目の20代後半の男だった。


「君の暗殺技術の高さを知っている。あの武道会で優勝できた人間はこの世に50人といないよ。」


担当官の名前は笹嶺 零といった。


「君には、緊急で暗殺の依頼がきている。次の戦争で敵の大将、首席、大統領、国王を撃つ時に予め、敵地に潜入し、毒で速やかに国の要人を殺すという簡単な業務だ。」


「・・・。強い奴。敵。戦争。血の匂い。」


「君、戦争は、もう懲り懲りなんだよ。国のものも国民も核の放射能で死ぬんだからね。生き残れるのは君のような生体実験に成功したものだけさ。」


「お前つまらない。殺し合い。御前強い匂いする。戦う。御前殺す。」


と、目に見えない音速の3倍のスピードで殴った。が、零はそれをひらりと躱し単純でくだらない攻撃だ。と吐いて捨てた。そして腹に打撃を加えた、鋼鉄の体の筈の暗は吹き飛び近くにいた巨大生物に貫通しながら岩までとんでいき、岩を砕いて止まった。


 「彼奴、調子に乗り上がって、殺してやる。」


三日後、暗は進化していた。それは、闇の忍びだった。気配ガなく見えない速さで飛べるようになった、巨大生物を殺し1万体は殺しその肉を喰らい生体反応で進化したのだ、狩る時に頭を使うので知能が急速に上がり化け物になっていた。


 「よし。何処にいる彼奴。」

気を読んで、零の居場所を探り、音速の100倍の速さでとんでいった

 「忍法火達磨。」

 体を炎で包み、秒速300万キロメートルで突っ込む。


 零はものの見事に丸焦げのなり腸に穴があいた。


「クズが。この程度か。」


と終わったかに見えた次の瞬間背後から五人の零が同時に鎌鼬を放った。暗は不意を突かれてその鎌鼬を喰らったが、すべて受け流してしまった。


「影分身ですかー。本体はどいつかなー。」


「驚いたな今のを避けるだなんて。影分身を出していなかったら完全にやられていたよ。」


「本体はお前か。」


影の忍術使い。自分の影に魂を宿して使役する、高等忍術。


更にスピードを上げて攻撃するが、零の影法師達はそれらを全て揺ら揺らと受け流し暗を追い込んでいった。


「影使いと戦うのは初めてのようだね。」


暗は、怒り狂い重力忍術で影を吸い取ってしまった。


「此処までか。」


零は両手を上げ降参の態度を示したが、直ぐに暗に拘束され国の連中の情報を聞き出した。

 

この世界の国は、中つ国、日の国、合衆国、共和国、連邦、王国、帝国の7つに分けられる。それぞれの国は開発を行い、兵器を作り出し、忍者やスパイ,スナイパー、剣士などの武道家を雇った。 


人工衛星を世界で初めて飛ばした連邦の宇宙開発とその軍事的応用は合衆国の警戒心を強め、合衆国は宇宙開発機構を発足し月に到達した。


どうやら、この零は日の国の忍者で、武道会優勝者の暗をスカウトに来たらしい。


だが、暗は国際社会から追われている身の上だ、安易に了解できるはずもないし、あの性格だから、強い奴を見ると戦闘モードに入って手が付けられなくなるのだ。


「また、殺しちゃった。」  


と、地面に転がった零を診ていた。零は一切口を割らなかった、情報はポケットに入っていた、国籍だけだった。


「しかし、彼奴の影を喰ってしまったなあ。」


彼の、重力圏で未だ奴の影は動いていた。


「厄介な能力だ。倒し方がわからない。不死身か此奴は。」


本体は死んだはずだが、影は動いているのだ。


不気味だな。と暗はいった。

 

アジトにはドミナントフスキーの姿はなかった。。世界大戦で遂に死んだらしい。


暗は天上だとか、化け物の力だとかに興味は無かったし永遠にも全く興味がなかった。強い奴と戦う事が彼の信念であり、生き様であった。


ドミナントを殺した奴らを殺す其れが、暗の目標になっていた。


暗は国際軍事機関に乗り込む支度をしていた。


隠密として影の能力は打ってつけだが、使い方は分からないし、影使いなんて世界に10人と居ない希少な者だった。


人を殺すたびに影は大きく濃くなった。初めは人の生き血に呼応していると思ったが、違うらしく、心の闇の部分に生まれる翳りだと理解した。零の闇の部分が暗と呼応して影は消えなかったのだ。


影の力を使い熟せるようになった暗は、世界政府に戦いを挑んだ。


政府は飛んでもない化け物を飼っていた。その化け物の強大さに為すすべなく、暗はその怪物の影を取る事だけに成功した。


ドミナントフスキーはあの化け物相手に、国宝を盗んできたのか。あの靄のような実体のない化け物生成の源のような存在から、暗は恐怖した。


政府が絶対的な力を持っている理由はあの、化け物の間にあったのだ。もはや其処は、地獄の概念に等しかった。生身の人間は即座に死ぬであろう、間であった。


暗は死ぬ気でその靄に突っ込んでいった。最速の速さで突き抜けた先には。


世界の記憶が眠っていた。


暗は其処で、息絶え死んでしまった。かと思うと死んだ暗の情報が其処には保存されていた。


随時、世界の情報を保存する装置、管理システム、それが、世界の秘宝か、、、。  


其処で、忍者の歴史をみた。如何して忍者が存在しているのか。も保存されていたし、自身の生まれた里についても記録されていた。


私の名前は.....。天上.....。誰だ。


分からない。しかし、その記憶が流れてくる。


「おい。忘れるな。次は、、、。きっと、神を殺すんだ。この世界を変えるんだ。」


誰なんだ。一体。この声は。


何者かが語り掛けてくるのである。


何故か分からないが涙が溢れていた。


「何なんだ。如何して泣いてるんだ。」


そして、暗闇に沈み込んでいった。


実にくだらない話だが皆さんこの世界で唯一予言できない事ってなんだと思いますか。それは、ですねカオスなものでしょうな。花びらの落ちる様子だとか。恋に落ちる瞬間だとか。そう言ったものはコントロールしようのない事ですからねえ。あいつを殺したなだって、衝動的なもので、毒にやられて狂人になって、気が付いたときには、死体が転がっていたって不思議じゃあありません。


これは、理性と本話ではなくて、衝動の話なんです。突然の閃きの話でもあるんです。急にやってくる、現象やカタストロフィーの話なんです。


原子力発電所のメルトダウンもそうですし、どうしたわけか始まった世界大戦もそれです。大地震や津波、疫病もそれです。


原因のわからない。なんて話しはありません。起こったものには証拠が必ずあります。


それでは、起こる前に予測できないはあります。それがカオスなのです。想像と違った、カオス。実に汚らわしい存在だ。


予言装置に予言できない事などないのだ。


恋愛...。なんと汚らしい。


純愛。なんと美しく尊いものか。


愛とは汚らしいものだ。恋は突然来るカタストロフィーなのである。


恐ろしい。体が震える程の恐怖。


コントロールできない。衝動である。


化け物染みた話だ。


そうして、心中したのであった。


つまり、カタストロフィーは人を殺させる。つまり、カタストロフィーに殉じるのである。


世界の終わりに殉じるのだ。


いつ死んだっていいように。


死に場所を作っておいて、強大な力に食べられて死ぬ。


大量絶滅のたびに、進化してきた生命の歴史。


果たして、生命とは何なのか...。


ウイルスと生物の違いはなになのか。無機物と生命の違いは何なのか。


そんな事が頭に浮かんでいた。


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