或る宇宙のはじまりとおわり

 2020年、人間から神様になった、だとか神の子供だとか磔にされて蘇ったといわれる、人類史上の有名人が誕生してからそれだけの年月が過ぎた。グレゴリオ暦といって世界中で利用されている暦だ。宇宙と聞くと漠然としていてイメージが沸きにくいだろうが、其れの始まりが135憶年前とされている、どうして其れが分かったのか不思議に思った人は宇宙背景放射と調べてみるとよい、宇宙はインフレーションの後ビッグバンが起こって始まったとされているが、その時の宇宙線が地球にも飛んできているというわけだ、宇宙はインフレーションにより膨張をはじめ、宇宙は膨張し続けているとされている、その膨張速度は測ることができるのだ、人工衛星から測っているのだが、その速度と宇宙背景放射が地球や人工衛星に届く速度から宇宙の始まりがいつ頃なのか大体わかるのだ。最近の観測と研究では137憶年といわれている。地球の年齢は46憶歳とされている。地球の年齢は月の石の年齢から測定した結果だ。


 地球では42憶年前ごろから、生命の基本が出来上がったとされている。地下でウランの核分裂が天然の原子炉が太陽の代わりをして、炭素や水、燐からdnaや脂肪酸、を生成したのだ。そして、41憶年前には、細胞が作られ嫌気性の細菌が生まれたそれらがシアノバクテリアをつくった。元始大陸アヌがマントルに沈み込む事でプレートテクニクスが開始され海中の好酸性、塩基性が中和されはじめた。光合成による酸素で鉄は参加され沈み込み海は青くなった。カンブリア紀から冠進化のより脊椎動物の祖先である魚類が生まれた。生物は絶滅の危機に晒される度に進化した。進化の仕組みやメカニズムは今日の科学を持ってしても謎が多い。


 人類は700万年前に誕生しその中の新人だけが生き残った。


 科学者は、考えた。生物に特定の刺激を与えることで、自由に生物の形状や特徴を変化させ、生物をデザインすることができないかと。


 それは、紀元前の古代文明でさえ、生命の操作を想像していた。


 だが、決して実現することは無く。いずれの文明も滅びた。


 古代よりa国とb国は仲違いしてきた。二国が友好的になることはまずないだろう。何千年前から重大ないざこざがあるのだ。a国とb国は戦争する。近い将来必ずだ。何方が強くて上で正しいのか決めなくてはならないのだ。1200年前のあの戦いはb国の命運を分けた。それ以前にも1800年以上前から戦いがあったことが碑文に記されている。


 なんであれ、歴史を歪曲する、b国は滅びるだろう。


 正しい歴史を継承せず、a国に敬意を払わないb国は潰されて当然だ。


b国の政府の方針は歴史の示す通りa国への被害者意識を強め、二国間の確執を深めるものである。


 洗脳教育により、半a国感情を煽るものである。


 1200年前b国のある王朝がc国に服従しa国を陥れたあの瞬間からb国はc国のに奴隷的依存の態度を見せるようになった。


 敗北者が、何時までもその恨みを他者(国民)に植え付けその歴史を歪曲させている、これは戦争にベクトルが向いている。


 c国に支配されて独立せず、悪の学問の思想で歴史を歪曲させた800年前から600年余り続いた王朝は愚かだった。


 同じ肌の色をしているだけである。b国人がa国語を流暢に話していれば、別の国の人間はb国人がa国人に見えるだろう。

    

 国民性とは、何なのか。彼は外国語の学習をしながらそんな事を考えていた。


ふむふむ。確かに言語の違いにより考え方も変わるようだ。では、何か国語も話せるこの人は何人なのだろう。


 やはり、肌の色で判断するのだろうか。それとも国籍だろうか。そもそも国籍とは何なのか。差別のない世界には国籍は存在しないのだ。


 自分の生まれた国に思い入れはありますか。


幼いころからなのだ、国を転々と度してきた修には、国籍がなかった。無国籍の浮浪人で48か国語を操った。


修は自分が何処で生まれたのかさえ教えてもらえなかった。母も父も何人であるのかわからなっかった。手掛かりはやはり肌の色や生物学的特徴だけなのである。


残酷な事だと思う。肌の色やdnaに人間は束縛されるのだから、しかし仮面をつけていた修の両親は自分には人種はないのだ自由なのだといっていた。


仮面の集団は、国を嫌った。皮肉なことは、その集団は、崇拝され神のように祀り挙げられたことだ。集団はいついかなる時も民族性を否定し、文化を嫌った。誰なのかと聞かれても、彼等は答えなかった。自由なのだ。しかし仮面の集団は匂いによりそれが何人かわかってしまったのである。生き物で或る限り体臭がある、生命の奴隷なのだ。人間は幾度も神を作り出し生き物であることを否定してきた。


匂いは消せない。仮面の集団は香水を創って、生き物の匂いさえ偽ってデザインした。皮膚にまで匂いを焚きつけて、自由を追い求め。差別を無くそうと努めた。


世界は異端な彼等を蔑視していた。が世界もまた人種差別的であり、激しい貧富の差は埋まらないのだ。


政府の支援も寧ろ邪魔なくらいだ。政府もまた格差社会なのだから。


強い奴が勝つ、弱肉強食の原理は、この世の理で、政府などというもののなかに、議会と裁判所がある。多数決の原理により、全ては是正される世界。


能力がこの世界のすべて。能力のない奴は殺される。そんな過酷だったはずの世界もこの世界では、意味をなさない。能力のない人間さえ、生き残れてしまう社会福祉が充実しているのだ。狩猟採集を行っていた、かつての人類は老人や弱い子供は斧で殺した。


それが生き残り選択の上で最善だったからだろう。


最悪と最善は紙一重なのだ。その人にとっての最善があの人にとっての最悪なのだから。


修は政府の目の敵にされている。政府の役人にとって修は敵で悪、正義は一体だれの所有なのだろう。人種差別なのだろうか。両親は差別への嫌悪から生物学的真実を捻じ曲げてまで自由を希求した。イメージと科学で肉体を無機物に近くした。


「修、あなたはダイヤモンドか花のどちらが価値あるものだと思う。」


母にかつて問われた質問だ。


僕は質問の意図が分からなかったけれど、


「さあね。わかんないや。価値なんて僕が決めることだ。見てない花もダイヤモンドにだって価値はないんだ。」


といった。


彼女は絶句して。


「ああ、そうね。」


といった。


アレクサンドルビーチェそれが母の名前だといいう。ビーチェは何時かは無くなるものを嫌い、永遠に憧れた。


「永遠は死と同義だが、其処が素晴らしい。死体には何の価値もないがミイラは永遠に近い存在だ。いつかは枯れるものも、それが枯れず永遠に咲くのならば、其れにこそ価値がある。」


それが彼女の信念だった。普遍的なもの以外はゴミだといった。金も家族も子供も無くなるもので、役に立たないといった。金はあんな紙切れよりも金や銀のような決して無くならないものの方が価値があるのだといっていた。


「燃えてなくなってしまうなんてやわなのね。」


そういって、生き物の不憫さに失望した。


館があった。ダイヤモンドより丈夫なもので作られた館だった。其処に住んでいた。人気のない洞窟のなかだった。その近くに店があってインタネットを介して世界と繋がっていた。仮面のグループは、総勢5名の組織で、世界中に散らばって活動しておりその本拠地はこの館にあるのだ。


 悪の黒い花。

 ブラックフラワー

 

 黄色い金儲けの詐欺師。

 片霧 賢


 殺しの達人

 闇中 暗


 ダイヤモンド

 ビーチェ アナスタシオン

 

 仮面の魔術師

 ドミナント アナスタシオン


 の五人がこの組織の構成メンバーだという。


 この団体の理念は、生命からの脱退と不死への渇望にあった。永遠と完璧、朽ち果てることのない美を渇望した。差別を嫌い自由を求めた。永遠の若さを求めた。


 片霧 賢は、世界市場に影響を与える実業家で、世界を欺いていた。世界中の誰もが彼の手の内にインターネット上の個人情報が管理されているとは、思わなかった。有名ないいIT産業の会社の社長で、あらゆる人間は彼の会社のパソコンやスマートホン、インターネット回線を使っていた。多くの社員を従え、年商は100兆を超えていた。


 賢兄さんと言って幼いころの修は彼を兄のように慕っていた。


 「ねえ。僕はどうして学校にいけないの。如何して国は僕を狙うの。」


 「君の両親が罪人だからだよ。ははは。大変だね。君は。」


 と、彼は言っていた。


 いつも難しそうな本ばかり読んでいた。ビジネスの話になると口が止まらなかった。


 「きっと、御前は、立派に育つよ。ドミナントなんかよりずっと聡明なやつさ。彼奴はバカな野郎だからそう長くはないね。政府に消されるのが見えてる。彼奴はそれを承知で喧嘩を売るわけさ、そんなバカなところが、放っておけなくってこの組織に加盟したんだぜ。」


 と話してくれたのを覚えている。


 その後、父は世界政府と争って、死んだ。其の形見に父は国の重要な機密と鍵を取ってきていた。化け物憑きの力と言われる其の力は、悪魔の力の宿しかた。命の実の真実。


 組織は、その力を受け継いで、天上の国イライザを建てた。

 

 ブラックフラワーは死を運ぶ。生けるものを凍らして黒く死なせる。彼女に触れたものは、黒く塗り潰される。

 闇中 暗は、忍者の末裔で暗殺の天才。


黒色のドレスに赤黄青の色の花を持つ。薔薇の花、アネモネの花、秋桜の花…。そして、三色の組み合わせで無数の色をつくる。生き物を花の形に変えてしまうバイオテクニカルな能力。錬金術。ブラックフラワーは生き物の形や機能を改変させる能力をもっていた。


男。女。御鍋。御釜。全てはくだらない生物学的制約なんだ。


生まれてくるまえに、男、女が決まる前に、赤色の玉と青色の玉があってどっちか選ばされる。それが男女の別なのだ。黄色や緑は、中性で単為的だ。それでは、紫は一体何なのだろうか?男であり女でもある紫は魔術師か何かだ。バイセクシュアルだとか、男の気持ちも女の気持ちも解るとかではなくて、魔術的で知的、宗教的で科学的、人間の作り出す文明に男女差がなくなりつつあるのに拘らず、どうして生物学的束縛は、未だに赤か青なのだろうか。


赤にも青にもなれるのである。役者に思われるかもしれないが、人間は社会の中で自分の役を演じているに過ぎないのだ。


家庭的とは何だろうか。子育て中の母親からは無限の愛を感じられる。連綿と受け継がれてきた生命の営みなのだろう。子供には、母親は大地であり、湖なのだ。


まだ、何もできない、子供をあやすのは母親であり、父親ではないのか。


生物学的に、男は子育てや家事に向いていないのではないのか。


それでは、男は、何を生きがいにすればよいのだろうか。


何もない。のではないのか。戦争で死ぬこともできず、あるのは魔術的な政治活動か、書記体系による学問か、何か、決まったルールの中だ競い合うスポーツか、商売くらいなものだ、、、。しかし。そんなものは女でもできてしまうのだ。


暴力だろうか。男の特権は。女は優しいから、暴力にも限りがある、殺しはしないだろう。だけれども男は落とし前で殺す。


人情っていうのがわかる、人は、どうだろうか。この人情っていうやつは、唯一人間の持つもののなかで、美しいものかもしれない。


宗教でもなく、決まりきったものでもないのに、湧き上がってくる情は、人が生まれつき持っているものもあれば、経験で人からもらったものもあるだろう。


情けは人の為ならずという言葉があるが、情という概念に頼り過ぎた人間への戒めだろう。


愛の崇拝の宗教があるように、科学崇拝の宗教もある、しかし、情はその時起こっては消えていく儚いものなので変わりやすく、失いやすいのだ。


弱い人間が強い人間か将又、女に情を掛けられたときの、屈辱は死にも勝るだろう。これは、男女差別的だろうか。とブラックフラワーは考えた。優しくされて、苦しませている場合もあるのである。プライドはバカにはできないものだ。


生まれた町は、社会的弱者の集まる街だった。時代錯誤でかつ、薄汚い大人が街を統治していた。子供の時から町の仕組みも法則も、世界のルールも変えて、合理的で自由で、効率的な世界に変えて、既存の利益を貪っていた上級社会のエリート共を引きずり落して、効率性の元に晒そうと思っていた。非合理性を嫌った。全てを自動化させ。権利を持つものは居なくなるのだ。


お金は、無くなり、全てが無料で最も効率のいい方法で、夢が叶い。書記体系により、自動化される。人間の思考も、権力者も障碍者もなくなる。そんな社会には、もはや、違いは無く、間違いも失敗も無く、完全に近い存在になっていた。


人間は、人工知能を宇宙船に乗せ旅立たせた。人類はこうして、地球の終焉と共に滅び去り。機械が知的能力を獲得し、宇宙地図を作るのだ。

 

未だ見ぬ世界は、南極か北極、宇宙位なものだ。人間の生物学的に制限された体には限度があるのだ。人間は、自らを機械化し、電子化するようになるだろう。そうするしか、自らの情報を残す術がないからだ。DNAにも限りがあるが、書記体系による記述には限度が無いからだ。其れほ保存し動かすことが出来るようになれば、人格は統合され、他人は自身になり、あらゆる生物の遺伝情報を保存し、惑星の仕組み宇宙さえもコントロールできるようになるのだ。

 

 

 

 


 





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る