4. アンドレイ
「――ケイ! ケイっ!」
声がする。
「起きろ! おいケイ! 起きろってば!」
ぐらぐらと、三半規管が身体の揺れを訴える。
どこか懐かしい感覚だ。
幼い頃、船に乗って酷く酔ったときのそれに似ていた。
「……やめろ、揺さぶるな」
吐き気をこらえて呻きながら、うっすらと目を開ける。
「!! 目が覚めたのか!」
視界に飛び込んできたのは、オレンジ色の――これは、夕焼けに染まった空だろうか。そして、自分を心配げに見下ろす、黒い影。
金髪碧眼。黒鉄の額当てに、全身を覆う黒装束。
ひとりの"NINJA"が、そこにいた。
「……ここは?」
自分が仰向けに倒れていることに気付き、ケイはゆっくりと上体を起こす。
周囲を見回した。茜色に染まる、一面の草原。
振り返ると、背後にはごつごつとした、大きな岩山がそびえ立っている。
草原はともかくとして、この岩山には見覚えがない。
「……どこだ、ここ」
「オレにも分からねえんだ!」
寝起きのように霞みがかった思考のまま、ぽつりと呟いたケイの言葉に、NINJAが反応する。きついロシア訛りの英語。
「気付いたらここにいて……でっ、でも、見てくれよケイ! ほらこれッ! どう考えてもおかしいんだ!」
NINJAはそう言って、足元の草を引っこ抜いて見せた。
草の根に付着していた土が、ぽろぽろと地面に零れ落ちる。
「……何だと?」
ぼんやりとしていた頭が、一気に冴えた。驚愕に目を見開いたケイも、手元の草に手を伸ばす。
無造作に引き千切った。
ぶちぶちと、繊維がちぎれる感触が指先に伝わる。
草の青臭さが、土の匂いが、鼻腔をはっきりと刺激した。
指先に付着した草の汁を、舐めとってみる。
もちろん、苦かった。
「……そんな、バカな」
手の中の草は、引き千切っても消えることはなく。
五感すべてに、その存在を訴えかけてくる。
地面の土も、その粒子の一粒一粒に至るまでが、全て知覚できた。
「なっ!? おかしいだろ!?」
「あ、ああ」
必死の形相で詰め寄ってくるNINJAに、少し気圧されながらも、ケイは頷いた。
いくら世界最高峰の物理エンジンを誇る【DEMONDAL】といえども、土壌や雑草などのオブジェクトへの干渉は、幾つかの例外を除いて大幅に制限されている。そんな微細な物体の運動までを演算しようとすると、情報量が多くなりすぎて処理が追いつかなくなるからだ。
故に、ゲーム内では、特定のアイテムを除いて、植物や地面は『不干渉オブジェクト』、すなわち『破壊不可能』に設定されている。
――設定されている、はずだった。
それがどうだ。
今、ケイの手の中には、ちぎられた葉がたしかに存在している。
ぶわり、と草原の風が吹きつけて、手の平から草を吹き飛ばした。
ざあぁ、と草擦れの音を立てて、湿り気のある草と土の匂いが運ばれてくる。
くるくると風に舞う草を、ケイはただ呆然と目で追った。
視線を上にやれば、茜色に染まる岩山。
その岩肌が所々、きらきらと瞬いているように見える。
露出した鉱石の一部が、夕日の光を反射しているのだ。
さらに頭上を仰げば、夕暮れの空に雲がたなびいている。
ゆっくりと形を変えていくそれは、断じてグラフィックの使い回しなどではない。
風によって為される、自然の造形。
かつてないほどに、圧倒的な。
圧倒的すぎる、情報量だった。
――そう、それはまるで、
「
ありえない、と真っ先に理性は否定する。
もしここが現実であるならば。
この体は、何なのだ。
籠手も革鎧も、腰のサーベルも。
足元に放り出されていた朱塗の弓も、全てが『ケイ』のものだ。
ひょっとすれば、いや、ひょっとしなくとも、顔も『ケイ』のままだろう。
「……メニュー画面が出てこないんだ。何度やっても」
傍らで、NINJAが震える声でそう言った。
何かを堪えるかのように拳を握りながら、俯いてじっと地面を見ている。
「…………」
困惑の表情で、ケイはNINJAを見た。
メニュー画面が出てこない、という情報も大切だが。
この黒装束に身を包んだ人物も、ケイの混乱を助長させる一因であった。
「……? ど、どうしたんだよ、ケイ」
黙りこくるケイに、そして
「いや、その――」
言い出そうとして、口をつぐむ。
逡巡することしばし。
「……何だよ、どうしたんだ?」
「う、うぅむ」
意を決して、ケイは問いかけた。
「お前、――誰だ」
「……は?」
なに言ってんだコイツ、と。
呆気にとられたNINJAの口から、間抜けな声が出る。
「――おいおい、ショックで頭がイッちまったのか? 勘弁してくれよケイ! いや、気持ちは分かるけどな?」
こいつは参ったぜ、と言わんばかりに、ぺちんと額を叩いて見せ、
「アンドレイ! "NINJA"のアンドレイだ! ……忘れたとか、言わないよな?」
雨の日に捨てられた子犬のような、不安げな顔でケイの表情を伺う。
アンドレイ。
予想できていた答えだ。
(いや、それは分かるんだが)
違う、俺が聞きたいのはそこじゃない、とケイは眉間を押さえる。
ケイのことを『ケイ』と親しげに呼び、かつ、全身黒ずくめで背中にサーベルを背負っている人物など、ケイの交友関係の中には一人しか存在しない。というより、【DEMONDAL】の全プレイヤーの中でも、一人しかいないだろう。
しかし、それでも。
目の前の"NINJA"と、ケイの知る『アンドレイ』とでは、
「……OK, 『アンドレイ』」
顔を上げたケイの視線が、真っ直ぐに『アンドレイ』を捉える。
真剣な眼差し。
「な、何だよ」
「その、気を悪くしないで欲しいんだが」
「おう」
「ひとつ、お前に聞きたいことがある」
「……何だ?」
「あくまで、確認なんだがな? その……」
「まどろっこしい奴だな、何だよ!?」
普段のケイらしからぬ、奥歯に物が挟まったかのような勿体ぶり方に、『アンドレイ』が声を荒げる。
ケイは、困惑の表情のまま、おずおずと問いかけた。
「……なんでお前、『女の子』になってんの?」
「……へっ?」
本日二度目の間抜け顔。『アンドレイ』の動きが止まる。
「……何言ってんだよ?」
「いや、だって、それ……」
ケイが指差す先をたどり、『アンドレイ』も視線を落とす。
自分の胸元に。
より正確に言うならば――
「……ぇあっ?」
奇声。『アンドレイ』の目が点になる。
「えっ? なんで? えっ?」
恐る恐る、といった風に、『アンドレイ』が自らの控え目な胸に手をかける。
むにゅ、むにゅ、と。
「……あ、ある」
どこか呆然と、呟く。
そして、はっ、と何かに気付いた様子で、そのまま股間に手を伸ばした。
もぞ、もぞ、と。
「……な、ない」
何が。ナニがである。
「……なんで?」
「知らんがな」
忍者のコスプレをしたひとりの
†††
火打石で火を起こすのは、実はさほど難しくはない。
よく揉みほぐした麻綿と、乾燥した火口、それに火打金があれば完璧だ。きちんと手順さえ守れば、子供でも容易く、そして意外なほど素早く火を起こすことができる。
まず、片手に火打石と火口を併せて持ち、逆の手で擦りつけるようにして火打金を振り下ろす。
飛び散った火花が火口につけば、それを麻綿でくるみ、息を吹きかけるなり軽く振るなりして空気を送り込む。
すると白い煙が立ち上り、数十秒も待てば燃え始めるだろう。
これで、火種の出来上がりだ。あとはそれが消えないうちに、あらかじめ用意しておいた枯れ枝や枯れ葉で火を育てていけばよい。
「よし、できた」
焚き木の火勢が安定したことを確認し、ケイは満足げに頷いた。
火打石セットを腰のポシェットに仕舞い、手を擦り合わせながら頭上を仰ぎ見る。
「……冷えてきたな」
仄暗く染まりつつある空。太陽は既に地平の彼方へと沈み、代わりに星々が瞬き始めていた。今宵は新月か。頭上に生い茂る枝葉の隙間、僅かに覗く空は、どこまでも暗い。
草原に面した、木立の中。崩れかけた石造りの廃屋の影で、ケイは粛々と、野営の準備を進めていた。
遭難したときに最も大切なのは、大まかでも周囲の地形を把握することだ――と、何かの本で読んだことがある。その定石に基づいて、ケイは混乱から立ち直ったあとは、すぐに周辺の探索を実行した。
そして見つけたのが、岩山の南に広がる深い森と、その入り口に佇む廃墟だ。そこには崩れかけた二面の石壁と朽ちた屋根が残るのみであったが、タイルの床のおかげで体を横たえられるだけの充分なスペースがあった。それでいて周囲には程よく草木が茂り、旅人たちの姿を覆い隠してくれる。
あくまでゲーム内での経験則ではあるが――草原のように開けた場所で、暗い中、火を焚くのは危険を伴う。見晴らしがよければ炎は目立ち、何かよからぬものを引き寄せかねないからだ。
人か、獣か、――あるいはそれ以外の何かか。分からない。何も分からない。しかし、警戒には値する。
マントの前を打ち合わせ、ケイはほぅっと溜息をついた。揺らめく焚き火の明かりが、廃墟に長い影法師を作る。時折吹きすさぶ風は、凍える夜の訪れを予感させた。本来ならば、こんな見知らぬ土地で火を焚きたくはなかったのだが、暖も取らずに過ごすには、今宵は少々肌寒い。
また、暗いのもいけなかった。『視力強化』の呪印を持つケイは、星明かり程度でも充分に闇を見通せるが。ケイの『相方』は、そうもいかないだろう。
「……さて、」
視線を戻す。焚き火を挟んだ対面。
平石の上にちょこんと腰かけて、火に当たり暖を取る人物。
「寒くはないか?
「……
Rにきついロシア訛りの入った英語。ケイのからかいの言葉に、憮然として答えたのは、『アンドレイ』――もとい、金髪のコスプレ忍者少女だった。
「……それと、別に寒くはない」
ぼそり、と付け加えて、むすっとした顔のまま目を逸らす。
薄手の黒装束と革のマントだけだったが、それほど寒がっているようにも、強がっているようにも見えなかった。
(そういえばこいつ、ロシア人だったな)
この程度の気温では『寒い』の範疇に入らないのだろう。ひとり納得して、「ならいいが」と返す。
「…………」
しばし、沈黙。
焚き木が爆ぜる音だけが小さく響く。
お互いに何かを話したいが、何を話せばいいのか、と。
そんな、遠慮にも似た、迷いのある空気。
しかし黙り込んでいるうちに、早くも焚き木が燃え尽き始めていた。追加で焚き木を放り込み、ケイはおもむろに口を開く。
「……なあ、そろそろ、話さないか」
「ん。そう、だな……」
ぼんやりとした雰囲気で、少女は答えた。
「……本当に、『アンドレイ』なんだよな?」
疑うような言い方になってしまうのは、仕方のないことだろう。平石の上、体操座りで爪先を眺める彼女に、ケイは今一度問う。
「ああ、そうなる。オレは、『アンドレイ』だ」
ゆっくりとした口調で、少女は肯定した。
「それは、お前は本当は女だったが、ずっと男キャラを使ってた、ということか?」
「その解釈であってるぜ」
「うぅむ……」
それを聞いて、嘆息とも、溜息ともつかぬ呼気が、ケイの口から洩れる。
ゲーム内で、ケイが"NINJA"アンドレイと出会ったのは、今から2年ほど前のことだ。
最初に近づいてきたのはアンドレイの方だった。生粋の忍者スキーであるアンドレイは、ケイが『日本人である』というだけで、なんとなく興味を持って接触してきたのだ。
話してみれば意外に意気投合し、互いにソロプレイヤーであったこともあり、それ以来何かと一緒につるんできた。しかし、
「女だったとは、なあ」
その中の人が異性であるとは、ついぞや考えたこともなかった。
――女々しい野郎だ、とは常々思っていたが。
「でも、なんでわざわざ男キャラ使ってたんだ?」
「そりゃあ女キャラだと筋力低いし。NINJAするなら、男の方がいいかな、って……」
「たしかにな」
昨今のゲームでは珍しいことだが、【DEMONDAL】においては、男女のアバターに明確な能力差が存在する。
基本的に、男キャラの方が身体能力全般に優れており、対して、女キャラは手先の器用さに補正がかかる代わりに、筋力などのステータスが伸びにくい。
つまり、純粋な戦闘職を選ぶならば、男キャラの方が明らかに有利な仕様というわけだ。女キャラは本来、細工などの生産系で本領を発揮するが、大工などでは筋力も要求されるので、女キャラならば生産全てに向いている、とはいえない。
もちろん、キャラクターの種族や血統によってはその限りでなく、また女キャラにのみ高い適性を示す魔術なども存在するが、何処となく不平等感が漂うのは事実だ。
このアバターの性能差は、ゲーム内外で様々な議論を呼んだが、結局【DEMONDAL】の運営会社がそのスタンスを変えることはなかった。下手な平等主義で世界観を歪めることはせずに、あくまでリアリズムに徹したのは、【DEMONDAL】らしいといえばらしい選択といえよう。
余談だが、男キャラにも弱点はある。
股間に攻撃がヒットすると大ダメージを受け、高確率で
「あと、わざわざ女だってバラしても、良いこと無いだろうし。だから黙ってたんだ」
「なるほど。既に『アンドレイ』のときから人気だったしな、お前。中身が女だってバレたら、もっと面倒なことになっていただろう……」
「……よしてくれ」
ケイの言葉に、心底気持ち悪そうな顔を浮かべる少女。
端正な――というより、耽美系の顔立ちをしていた『アンドレイ』が、その道の諸兄らから根強い支持を受けており、ファンクラブまで存在していたのは【DEMONDAL】では有名な話だ。
祭り上げられた本人は迷惑そうにしていたが、キャラを作り直して雲隠れしようにも、既に結構育ててしまったあとだったので、やむなく育成を続行したらしい。
「……それにしても」
目の前の金髪忍者ガールを眺めながら、ケイはしみじみと、
「今の姿だと、アンドレイって呼ぶのはやっぱり違和感があるな……」
その言葉に、少女は渋い顔をした。
「……『アイリーン』」
「ん?」
「『アイリーン』。オレのホントの名前」
ちら、と少女――アイリーンは、顔を上げてケイに視線を合わせた。
「アイリーン……か」
青色の瞳を、見つめ返す。
小柄で華奢な体躯に、すっと通った鼻筋。
猫科の動物を思わせる、釣り目がちな瞳。
艶やかな金髪は長く伸ばされ、邪魔にならないよう、後頭部で束ねてある。
(こうしてみると、『アンドレイ』の面影もあるな……いや、『アンドレイ』が『アイリーン』に似せてあるのか)
キャラメイクのときに、無意識に自分の姿を投影してしまったのか。
「……あんまりジロジロ見るなよ」
などとケイが考えていると、アイリーンは顔を少し赤くして目を逸らしてしまった。
「あ、すまん」
「なあ。……ケイは、どうなんだ?」
「……どう、とは?」
「名前とか」
「ああ。俺の名前は、『圭一』だよ。ケイイチ」
枯れ枝を手にとって、地面に『KEIICHI』と書いた。
「ケイチ?」
「んー。ちょっと違うな、ケイイチ、だ」
「ケ、イ、チ」
「ゆっくり言っただけじゃねえか。ケ、イ、イ、チ」
「ケェ、イィ、チ」
「あー、まあそんな感じ」
「……言いにくい。ケイの方がいい」
ばっさりと本名を否定するアイリーン。同じ母音が連続する『ケイイチ』は、外国人には発音し辛いだろうな、とケイも思う。
「別に俺は『ケイ』でいいよ。呼びやすい方で呼んでくれ」
リアルでもそう呼ばれてたし――という言葉は、呑み込んだ。
焚き火の炎に視線を落したまま、再び沈黙が訪れる。
何を話すべきなのか。考えが、うまくまとまらない。
ゆらめく炎を眺めていると、全てがどうでもよく思えてしまう。思考を停止させたままでいるのが、心地よい。
ふと顔を上げると、アイリーンはぼんやりとした表情で、両足のふくらはぎをむにむにと揉み解している。焚き火の明かりを照り返す、艶やかな金髪を眺めていたケイであったが、それに気付いたアイリーンがちらりと視線をよこした。
「……ケイは全然、顔変わってないんだな。……元から、そういう顔、なのか?」
少し遠慮がちに、しかし好奇心には勝てなかった、といった様子で、アイリーンがおずおずと尋ねてきた。
「顔か……」
ぺたりと、自分の頬を撫でる。先ほど、腰の短剣を鏡代わりに確認しようとしたが、思ったほど刃がピカピカではなかったので、ぼんやりとしか見えなかった。
それでも、アイリーンが『変わっていない』というのなら、そうなのだろう。きっと、ゲーム内での『ケイ』の顔のままなのだ。
しかし、それが実際の顔なのか、と聞かれると。
「……分からない。リアルでは、鏡なんてもう何年も見てないからな……」
「えっ」
遠い目で呟いたケイの言葉に、アイリーンがぎょっとした顔で硬直する。
"
死神の異名をとるほどの、恐るべき弓の腕前で知られるケイだが、それと同時に【DEMONDAL】で指折りの廃プレイヤーとしても有名だ。
事実、準廃人のアイリーンから見ても、ケイの廃人っぷりは半端ではない。ログインしたときに、ケイがいなかった試しがないのだ。
二十四時間ぶっ通しでログインし続けている、という噂も、あながち嘘ではないのかもしれない、と。アイリーンも、薄々そうは思っていたのだが――
そうは思っていたのだが、年単位で鏡を見ていないレベルとなると。
「そっ、そうか……」
笑顔が引きつり、目が泳ぎだすアイリーン。一気に挙動不審になる彼女に、ケイは思わず苦笑いした。
(……まあ、そうなるよな)
ケイのあまりの廃人っぷりに引いてしまったのか。
それとも、
別にケイ自身は、アイリーンにどう思われようともそこまで気にしないのだが――常人ならば、気まずく感じてしまうのは道理だろう。
(しかし、タイミング的にはちょうどいいかも知れないな)
いずれにせよ、現状を考えるには、避けては通れない話題だ。
「アイリーン」
「ん?! な、なんだ?」
「そろそろ、本題に入ろうと思うんだが」
「お、おう」
真剣な雰囲気のケイに、アイリーンが表情を堅くして居住まいを正す。
「…………」
「いや、別にそこまで畏まらなくても」
自分から真剣に切り出しておきながら、借りてきた猫のような豹変っぷりに、思わずケイは吹き出してしまった。
それにつられて、アイリーンも小さく笑う。
特に意味もなく、二人でくすくすと笑いあってから、「いや、すまん」とケイは言葉を続けた。
「それで、本題ってのは、今の俺たちの状況についてだ」
「……ここが何処なのか。そして何故、オレたちはここに居るのか、って話か?」
「
話が早い。
なかなかその話題に踏み込めずにいたのは、どうやらケイだけではないようだった。
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