モヨヨの異常な愛情 または私の「東京D奇譚」は如何にして公開停止になったのか?

諸星モヨヨ

モヨヨの異常な愛情 または私の東京D奇譚は如何にして公開停止になってしまったのか?

 まずは、私の小説をわざわざ読んで頂いている親愛なる読者の皆さま………ほんとうに、本当に申し訳ない!!

 今私は途轍もなく後悔している。それは決して拙作『東京D奇譚』が諸事情によって公開停止になった事にではなく、今現在の私の姿を皆様にお見せできないからだ。


 カクヨムに画像投稿機能があればどれほどよかったか。

 私は今、謝罪を込めて全裸で土下座し、足枷を嵌められた両足の向こう側では、山羊らしき生物が塩をたっぷり塗り込まれた私の足裏をざらついた舌でベロンベロンと舐めている。

 向こうの方では、詳細は私もよく知らないが鉄でできた金色の牛が熱せられている。恐らく、次の罰が私を待っているのであろう。


 ともかくとして、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


 拙作、東京D奇譚は本編でも書いた通り、私の東京ディズニーランドでの体験をもとにしたホラー短編集だった。無論、話は基本すべて作り話だし、フィクションであることも付していた。

 が、今回カクヨム様よりのお達しでという事になった。


 ディズニーがらみで公開停止となるとやはり、皆さま頭に過ることがあるのではないだろうか?

 

ディズニーは著作権に厳しい、というアレである。ネットで見ると幾つもその逸話が残っている。

一番有名なところで言えば、滋賀県の某小学校で卒業制作としてプールにミッキーとミニーマウスの絵を描いたところ、ディズニー社からお叱りを受け、絵を塗りつぶすことになったという事件だ。これはほぼ事実としても、その他真偽の分からないディズニー著作権がらみの事件が数多く出て来る。


無論、私の小説がこうして公開停止になった事実がある以上、皆さまは恐らく「やっぱりディズニーは著作権に厳しいんやッ!」と思われたかもしれない。




 そう、老い先短い命を削って語らせて頂けるのであれば………全てお話しよう。

本日お昼過ぎ、昼食を食べている私の元に彼はやって来たのである。


 最初、女子社員の歓喜にも似た声で私はそれに気が付いた。窓口に巨大な彼が立っているのだ。誰もが知っている彼に私も驚き、そして興奮を覚え立ち上がった。


 しかし、どうも様子がおかしい。

 彼の手にはドラムのついたトンプソン。

 それが違和感の正体だ。

 質感とその構え方から、元海兵隊の私は実銃であることを悟った。


「諸星モヨヨはどこかな?」

 聞き馴染みのある甲高い声で彼が言う。


 「は?」ッと女子社員が返す暇があったのかどうか、私は反射的に「危ないッ」と叫び、机の下に飛び伏せていた。


 頭上で火を噴くトンプソン。耳をつんざく銃声は悲鳴すら掻き消していた。

 銃火が収まると辺りには硝煙の香りが立ち込めた。

 やっと、悲鳴が聞こえて来る。どうやら数人やられたらしい。


 私は這いつくばりながらデスクを仕切るコンパートメントを移動した。


「諸星モヨヨ………本名は……」

 私の本名を呼ぶ声が聞こえる。

 身を乗り出してみると私のデスクを指さす社員が見えた。


 死ぬ。

 まさか、私があれだけ愛し、小説まで書いたキャラクターに命を狙われるなんて!

 ん? その時気が付いた。まさか、奴は私の書いた小説の為に……命を狙っているのか。



 私は情けない体勢のままコンパートメントを移動し続け、会議室へ逃げ込んだ。

 そこで電話が来た。

 非通知だ。不安な私は電話を取る。

「命と小説。二つに一つだ」

 とぼけた声がそう伝えた。


 私は命を取った。






…………なんてことは一切なく、カクヨム様から一通のメールで公開停止になったことを知らされた。(これまた公開停止になりそうだなぁ……)


 理由は至極単純、ということである。



 これに関しては私が甘かった。

 無論、カクヨムでは二次創作が一部を除き認められていないことは知っている。しかし、今回の拙作はあくまで場所やテーマからインスパイアされたものなのでグレーだな、とばかり思っていた。(言い訳)


 公開停止等々、何らかのアクションはこの小説を思いついた時からある程度は覚悟していた。勿論、敢えて名前を伏せたり分かる人には分かるようにすることも考えた。だが、私はアニメなんかで登録商標をもじったコケ・コーラだのが出て来るのが何となく苦手なのだ。


 だから、こんな弱小作家が名前を使った所で………と思ったが。


 やはりアウトだったようだ。

 場所とは言え、ディズニーランドは商標にもあたるのだろう。(加えてホラーというマイナスイメージも悪かったのかもしれない)

 これは100%私が悪い。読者様に純然な娯楽を提供しきれ無かったのはやはり創作者としてはまだまだ未熟であることを痛感させられる。


 勘違いして欲しくないのは決してディズニーだからアウトだった、ではない。

 カクヨム様の規約に違反していた、ただそれだけの理由だ。別にディズニーでなかろうが、何らかの二次創作をやらかせば同じような対応になっただろう。



 確かにディズニーが著作権に厳しいという話は聞く。対して、いやいやそんなことはないむしろオープンだという話もある。


 個人的に調べたイメージを言わせて頂ければ、ディズニーだから厳しい、甘いなんてことはない。普通の企業と同じく、基本的には二次創作はNGなのである。


 

 だから、今回の事でディズニーを悪く思ったりはしないで欲しい。(前田敦子言う所のモヨヨの事は嫌いになってもディズニーランドのことは嫌いにならないでください!だ)

 


 私自身、こんなことでディズニー、そしてディズニーランドを嫌いになったりはしないし、恨んだりもしない。これからも私はディズニー作品を見続けるし、ディズニーランドにも行き続けるだろう。


そう、常に【BIG D is watching you】 なのだから。






PS:当初、別の場所で連載再開も考えましたが、ちょっとまだ分からない所があるのでこれにて一旦東京D奇譚に関して公開終了になります。(残り半分ぐらいの短編は何らかの形で………来年の文フリ東京少し期待してもいいかもよ)

次作もいくつか考えていますが何分、ストックが無いのでもう少し時間が掛かると思いますがまた、皆さまに楽しい作品をバンバン提供して行けるよう精進いたしますのでこれからも諸星モヨヨをよろしくお願いいたします。


さーて、なに書くべか………

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モヨヨの異常な愛情 または私の「東京D奇譚」は如何にして公開停止になったのか? 諸星モヨヨ @Myoyo_Moroboshi339

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ