第4話2020年1月8日

あなたに会えなくなって数か月が過ぎた。

2019年が終わって、今日は2020年。また年を取るの。

もうこの恋の運命も私の中で区切りがついたと思っていたの。

だって会えないってことは運命が終焉を迎えたということだから。


この数か月にあったこと

あの子が私の前にまたかわいい笑顔であらわれたの

あの人がわかりやすい気持ちの伝え方をしたの。髪型も変えて、私色に染まっている。

彼は私に対する執着が強くなったわ。


冬の雨のみじめな午前、隣駅のおしゃれなカフェに入ろうとした私は、なんとなく予感がよぎっていた。

今日は彼とけんかをした。今日はあの人が私に対する気持ちを表さない気がしていた。何より今年になってあの子がまた遠くなってしまった。

もう私の街のあのカフェに私の仕事と生活の環境が変化して足が遠のき、あなたがいなくなり、そして私も行かなくなったけれど、私はそのかわり隣町のあのおしゃれなカフェを利用し始めていたから。


ロータリーをのぞむその席であなたはまっすぐ前をむていパソコンに向かっていた。

私はその瞬間に大きな声を出してしまったの。通りすがりのサラリーマンたちは一様に私を笑ったわ。そしてドングリの眼の輝く先を追った人もいたはず。あなたは相変わらず、ジャージを着て、同じ髪型で、私と同じパソコンを使っていた。

自分でもあなたを見つけた瞬間の胸の高鳴りと目の輝きと顔のほころびは子供みたいだったって今思い出してみても愛しいくらい。

その先を急がなきゃいけないこともないのに、離れなきゃいけない気がして、距離が離れていくのに、あなたから目が離せないで後ろ向きに離れていったわ。

あなたは私に気づいていた?

私は知っている。気づいてあの瞬間パソコンから視線を外に向けたことを。それなのに、あえて私をとらえなかったことを。


いつものカフェではあなたの顔も姿もまっすぐに見ることができなかった。

でも、今日は、カフェの内と外の関係だから、しっかりとあなたを見つめることができた。

あなたの顔はあいかわらず素敵で、笑顔一つないその真剣な顔が私の中の一番かわいらしい笑顔を導いてくれる。

今年ならあなたに声を掛けられそうな気がしている。

別のカフェで行き合えるなら、会釈くらいはできそうな気がする。

また特別な偶然と運命がはじまりますように。

今度は話しかけてなんて言わない。

私が笑顔で会釈する。そうして、今度こそ失わないようにする。

だってやっぱりあなたが好きだから。


ひとつ気づいたことがある。

あなたはあの子への気持ちを埋めるように私の目の前にあらわれる。

だから、私も誠実さを示さなければならない。

あなたに誓う。今日、誓う。あの子より私はあなたを選ぶことを。

愛している。ううん、欲しいの、あなたが。

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STARGAZING アサノ アメミ @tsubaki-yanai

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