付き合いがある人は、基本的に地雷が多いっていう話

変な奴が入ってきた。

いきなり何の話をしているんだって人は、とりあえず前回の話を思い出してほしい。

まず、橘が戻ってきた。

正直、何かしでかさないかと警戒はしているが。

そしてその橘が連れてきたやつが問題だ。

ホストでシナリオライター。

顔立ちは普通。本当にホストなのか?って聞きたくなるくらいだ。


そしてそのあとの会話でもっと勧誘する話になった。


簡単に言うと、こんな所だな。


正直、あまり基盤が整ってないところで、新たに人を入れるという事には抵抗はあった。

でも、内心実はもっと人手がほしいというのもあった。

色々と自分の中で葛藤をした結果、とりあえずダメ元で知人をあたってみることにした。


さて、こんな長々とモノローグを聞かせてしまって申し訳ない。

こんなモノローグを聞かせている最中に何をしていたかというと、その知人に会うために準備していた。


まぁ何かと色々と縁がある人ではあるが、正直本当は頼りたくない苦手な人だったからだ。


───そんなこんなで場所が変わって、通学路途中にある橋まできた。


俺は、昨晩あんなことを言われて、困ったが故にとりあえずという体裁で

ある一人にこんなメッセージを送っていたのだった。


『おつかれ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど、明日時間作れないかな?』


………我ながら若干どころか、かなりコミュ障がすぎるメッセージじゃないか?

そんなことをスマホの画面を見ながらげんなりして待っていると。


「おっす。きたよ。で、頼みたい事って?」

声のした方に振り返ってみると、本当につくづくみると小さいな……小学生かなって思うくらい小さい女の子が立っていた。


彼女の名前は桜沢楓

ショートポニテで髪をまとめていて、Tシャツでフレアスカート姿の女児。

目の前には今いった姿まんまの女の子が気だるそうに立っていた。


「ちょっと。黙ってるとわっかんないんだけど」


っと、いつまでもモノローグに逃げているわけにもいかないか。

やれやれ。


「ああ、ごめん。ちょっと色々と考え事をまとめていたんだ。」

「考え事?」

「ああ、お前の事もそうなんだけど、これからのサークルの事を考えると

 ちょっとね…」

「ふーん…で?そんな事より話があったんじゃないの?」

「…いや、そんな事ってかその話ともつながるんだけどな。」

「え?まさか同人サークルを手伝えって話?」

「まぁ、端的に言うとそういう事になる。やってくれるか?」

「まあ、別にやっても構わないけど、正直何すればいいわけ?」

「そうだな。とりあえず、お前声優の専門スクールいってるだろ?だから、そこで手伝ってほしい」

「やっぱりそういうこと。」

「ああ。別に難しそうってことは理解しているんだけど、やれそう?」

「やっても構わないけど、結局そこで私は何をしたらいいわけ?」

「俺のサークルに滝沢っていう、もう一人ボイスアクターがいるんだけど、そいつと一緒にヒロインをやってほしい」

「メインヒロイン?」

「いや、さすがにいきなりそこをしてくれとは言えないよ。もちろん滝沢と比べてみて、お前の方がよかったら次回から、メインやってもらおうと思ってる」

「なるほどね。まぁじゃあとりあえず、やってみてって感じになるのかな?」

「ああ。すまん。いきなりこんなこといって」

「別にいいよ。面白そうだし。適当にやるよ」

「ありがとう。それじゃ、そろそろ俺学校だから」

「うん、私も。それじゃまた何かあったら連絡してね」

 こうして、なんとか人員を確保したというわけだ。


まあ、結果的に見たら人員を確保できた。

それは正直うれしい。

ただ、正直桜沢に対して複雑なところはいくつかあった。


まず、桜沢と俺の接点だけど、これも不思議な縁で、滝沢と一緒にやってた

MMORPGで知り合った子だったんだ。


リアルイベントとかでも挨拶するようになって、聞いてみたら住んでいる地域が近いのもあって、連絡先を交換するようになったってわけ。


……彼女?バカいうな。リアルイベントで彼氏連れて来てたわ。変な誤解はするんじゃないぞ。


そんな事もあって、実はちょっと純粋にMMORPGのイベントが楽しめなかったといううのもあって、苦手な部類な子だったんだ。

まぁ本当にダメ元だな。

さっきも言ったけど、結果的に見たら人員を確保できた。

だからよかったけれど、正直声をかけたいかどうかって言ったら、かけたくはなかった。


まぁでも正直これも自分たちのサークルのため。

声優の専門スクールに通っていることもあるし、さすがに収録時はちゃんとやってくれるだろう。


俺はこの時、大きな思い違いをしていたことに気がついていなかった……。



俺はそれからホストシナリオライターがかいたシナリオを読んで監修して、いろいろ調整をしてあっという間に収録日になった


「「おはようございます!」」

スタジオに入って、受付の人に元気に挨拶をする。

マイクのセッティングをして、声出しをしてもらい、収録はつつながなく終わった。


ノイズ除去ソフトを使って、ノイズ譲許はできるから、とりあえず音割れさえしていなければ問題ない。

本当にいい時代になったもんだ。

知り合いのおじさんに聞いた話によると、昔は手作業でその波形からノイズを見つけて消してたんだって。本当にすげえよな


通しで取り終わり、いざ全体のつながりから違和感のある言い回しをリテイクしようとした、その時桜沢から声かけられた


「ねえ、もう帰っていいー?」


は?

俺は振り向いて彼女の顔をみた。

そこには得に何の不満もなく、というかむしろ満足気な表情をした桜沢が立っていた


「いや、なんで?」

俺は当然の疑問を口にした


「だってもう収録終わったでしょ?」

「いや、まだこれから…」

「え?だってさっきとったじゃん」

「いやだから」

「とりあえず、今日はもう帰っていいー?」

彼女はずっと『ねぇねぇ』『かえっていい?』という言葉をずっと繰り返していた。


俺はミキサーエンジニアをしていたこともあって、鬱陶しかったのでその場でいいよ。と言ってしまった。

何か用事があったんだろう、と思ってふとSNSとかを覗いてみたら彼氏とディズニー行っていた事が発覚して、俺は何とも言えない気持ちになった。

結局桜沢が帰ってしまったから、そこで滝沢だけ直しても浮いてしまうので、結局イントネーション等しか直しができず、後々メロダインで修正したものをアップロードした。


結果から言うと、やはり声優の演技が機械的という評価をいただいて、その作品も売ることができなかった。

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どうしてこんなに頑張っているのにその努力は報われないのだろうか ジョリアン @jorian0702

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