これはある異能を授けられた少年の物語ーーーーというと、逆転、無双、ハーレムとかいう話を思う人がいるかもしれません。
しかし、
全くそうではありません。
苦しみながら、失敗しながら、プレッシャーに苛まれながら、立場を悪くしながら、主人公はもがきます。
そして、得るどころか色々失ってもいく。
その果てに待つものとは?
主人公に幸あれ😭
また、本作には物理的なバトル要素はないのですが、台詞を書き換えるという能力の応酬は、剣や魔法の撃ち合い以上の緊張感を持っていると思います。剣や魔法を食らった読者はほぼいなくとも、言葉の恐ろしさは皆が知っているものだから。
面白いです!
他人の言葉を操る秘術があるならば……あなたは使ってみたいですか?
他人が思っている言葉ではなく……自分が言わせたい言葉を言わせられる……。そんな秘術があるならば……。
言葉は凶器にもなります。
だから、私は使ってみたいとは思いません。
どんなに憎い相手でも……いや、憎い相手だったら使ってしまうかも💦
でも、面白半分に使いたくはありませんね。因果応報と言う言葉もありますし。
使うなら覚悟を持って使わないと。
そんな秘術を授けられ、悪い心根で秘術を使う者を探す役目を背負ってしまった主役。
主役は優しく、人の言葉操ることはしぶしぶやっています。
中盤からが、特に! 面白い隠れた(?)名作です!
是非、御一読を!
人と人とを引きつけ、つなぎ、時には仲違いさせる「言葉」。
その言葉を、それも他人の言葉を、操れる者がいたとしたら……?
本作はそんな言葉を操る異能者たちの物語です。
報道なら、言ってもいないことを言ったことにしたり、内容を捻じ曲げたり、というのは良く見かける話ですが、本当の異能者たちは、本人が発する言葉そのものを捻じ曲げてしまう、本物たちです。
そんな危険な能力を手にした主人公ですが、他人の人生を変えてしまうことに後ろめたさがあって、なかなかその能力を使うことができません。
悪党を相手にした「そこはやるところだろ!?」というところでも一歩踏み出せない彼の、人の言葉を捻じ曲げるという悪の重たさを知っているところが大変魅力的です。
キラキラした魅力的な異性たちがいるハーレムものではありませんけど、その主人公の善良さに一見の価値があります。
次回作も楽しみですね。