第5話 齬

あなたのことを一番知らないのは私だと思う

こんな文章を書いておいてなにを、と思うだろうが


あなたのことをわかったような気になる

あなたののことは単純な人だと思っている

なのにあなたがわからない


矛盾が生じている

あなたはただの八方美人

四方八方にいい顔をしている

まったくもって褒めていない


自分にですら媚びを売って自分で幻滅する

昔は自分が大好きで自分が何にでもなれると信じて疑わなかったのに

いつだろうね

あなたが自分に失望したのは


理想であり虚像であった自分とのギャップに苦しめられたあなた

それを気づいてからあなたは自分に言い聞かせるように理想になろうとした

誰とでも仲良くなる自分に


八方に美人になりきれない人

あなたは八方美人と呼ばれることに喜ぶだろう

八方美人になれている状況に対して喜ぶだろう


美人になりきれていない自覚があるから

だから絶対にあなたにその言葉は使わない


あなたは四面楚歌


中途半端に敵を作り

中途半端な宙ぶらりんで独りで捕まり場所を無くす

自分で切った道に自分で苦しめられて今


可哀想な被害妄想と屈辱感で勝手にいなくなる

ここにいられるのもあと少しだろうか


あなたがいなくなってくれることを想像すると至極幸せな気分になる

もうこうやって嫌いなあなたのことを意識しなくていいのだから

それではまた次回

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背伸びし続けるあなたへ Ley @Ley0421

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