第十八話:作者



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 やあ。こんにちは、座って。


 お、座らないね。反骨精神豊かだ。そして床で寝る、と…。うん、面白いキャラクターだね。


 え?なに?キャラクターじゃないって?



 ああ、そっか、君は捨てられたんだったね。

 なら、なんで呼べばいいのかな。


 10456895からのこびん番かあ…うーん、長くない?面倒だから「君」でいっか。


 え、なんでこんな風に世界が文字で構成されてるのかって?



 それはね、




「それは、私が作者かみさまだからだね」

 …自称神様は、そういって、にっこりと笑った。



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 ん?ああ、バグってるな、待ってね。君の体じゃ、この世界は合わないらしい。…うーん、これか?


 ちょっと確認してるからさ、君、暇なら回想でもしててよ。よろしく。




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 946jgm19>かかかかかかかかかかかかかかかかか

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 最後の日、最後になる予定の日、わたしはいつか会った校長に呼び出されていた。…いや、あれを会ったといっていいのかは分からないけれど。

 縫は、校長室の扉の前まで付いてきて、「僕もいく」といって聞かなかったので、わたしは縫に腹パンして、その隙に校長室に滑り込んだ。…縫が心配してくれるのは嬉しかったけど、わたしは縫の邪魔になるようなことは決してしたくなかったのだ。




 校長室に入ると、校長が禿げ上がったてかてか光る頭をハンカチで拭きながら、誰かに向かって、「大変イカンのイ」という言葉を繰り返していた。その電話が切れるのを待ってから、わたしが来たことを「先生」が校長に伝えると、その瞬間、校長は茹で蛸みたいに真っ赤になって、わたしが書いたあの冊子をばしん、と強く床に叩きつけた。それをぐしゃぐしゃと高級そうな靴で踏みながら、「不良品」だとか、「出来損ない」だとか、「我が校の恥」だとか、そんな言葉をわたしに吐いた。




 …どうやら怒っているようだ、と分かったけれど、今日死ぬかもしれないと思っている人間にとって、説教も権力も本当にどうでもいいものだった。わたしはつかつかと歩いて、校長室の椅子の上に立った。くるりと回る。それから、立ったまま校長を殴り飛ばした。校長は戸棚にぶつかって、上から落ちてきたトロフィーで頭を打ったけれど、もう知らない。


 それから、「先生」と目があった。校長に殴られたのか、「先生」の左目には、大きな青痣ができている。わたしのせいか、もしそうだったら大変申し訳ない。


「…空乃。小説、読んだよ」

「先生」は、地面に落ちて、校長に踏んづけられていたわたしの小説を、拾い上げた。





「……。「先生」は、先生ですか」

「先生」は、わたしの問いに、まるで人生の哲学の問題を突きつけられたかのような顔をしてから、無意識にか、自分の右目の部分を触った。少し逡巡するように校長室にしかれている絨毯の模様を左目でなぞった後、わたしのことを片方の目で真っ直ぐに見る。


「「先生」は、佐乃賀々吏だよ。空乃。…お前がアンケート書かないから、俺はいつも上に怒られてたんだぞ、しってたか?」

 わたしは、初めて「先生」という人間が、人間になったような気がして、妙に嬉しく感じた。わたしがけらけらと校長の椅子の上で笑っていると、佐乃先生は、そんなわたしをみて釣られたように笑ってから、ひどく苦しそうな顔をして、絞り出すように言葉を吐き出した。




「…「先生」なんかより、俺なんかよりずっと、お前の方が正しいよ。……大人も、みんな高校の時はお前と同じように苦しんで、悩んで、踠いてた筈なのに、いつしかそれに慣れちまうんだ。


 お前は正しいよ。…「先生」としては何も言ってやれないけど、ただ一人の人間として、俺はお前を誇りに思う」


 それは、いつもの授業の時なんかよりも、ずっと稚拙な言葉だった。わたしはぽかんと口を開けて、その言葉の羅列を受け止めた。…ああ、そっか。わたしは勝手に大人はみんな敵だと思ってたけど、そんなことはなかったのか。…悩んでたのは、きっと、わたし一人だけじゃなくて。


「…佐乃先生。アンケートは…わたし、結局埋められなかったけど。…先生がいつも、…わたしに付き合って、遅くまで残ってくれたのは、感謝してます」





 わたしはそう言ってから、校長の椅子の上から飛び降りた。そして、伸びていた校長の手から電話を奪い取る。この先に繋がっているのが、教育委員会。そしてその先が。





 わたしは目当ての電話番号を見つけ出し、呼び出しボタンを強く押した。…さあ、神様に会いに行こう。


「じゃあね、先生」


 わたしはひらひらと手を振って、何でもないことのように、世界の壁を超えた。





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「勝手に人に回想させないで」


 電話をかけて、出た人間は作者かみさまと名乗った。…神様はわたし達の世界を、地球儀みたいにくるくると回すことも、人一人を電話一本で異界に行かせることもできる。…さっきみたいに、わたしの頭に「設定」を加えて、回想させることも。作者かみさまにとって、世界もわたしたちも、どこまでも小さくて、どうでもいいものなのだろう。彼らにとって、蟻よりも、わたしたちは矮小な存在なのだ。


 …校長室からよくわからない白塗りの壁に囲まれた空間へ、そのあとは深海のような宇宙のような空間へ、そしてさらにそのあとには、オーロラの中のような空間に世界移動させられたわたしは、心底それを思い知って、嫌な気分になった。


 わたしの前の神様は、なにか能面のようなものをかぶり、わたしのことを見下ろしている。


「流行ってるの?」

「え?ああ、これ?…いや、神様っぽくした方がいいのかなーって思ってさ」


 神様はそういって、能面を床に放り投げた。その下に出てきた顔は、マトリョーシカみたいに全くおなじ能面だった。…なんだこいつ。殴りたい。


「君バイオレンスなこと考えるねー。ジョークだよ、神様ジョーク」

「…面倒だから、早く結論を言って」

「結論?」


 神様はすっかり惚けた顔をして、わたしの言葉を鸚鵡返しに答えた。…あれだけ昨日悩んでいた自分がバカらしくなってくる。…というか、こんな奴らのせいで、わたしは、生きるとか死ぬとか、そんなことを悩まされていたのか?






「ああ、君のこと捨てるか捨てないかって話ね。

 …ちょっと悩んだんだけどね、捨てることにしたよ」

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